AI時代に働きはじめることのむずかしさ、について考える。
こんにちは。Voicy代表の緒方です。
この「声の履歴書」という連載は、Voicyがこれまで歩んできた道のりや、いま考えていることについて創業者の私があれこれ語っていこうというシリーズです。よかったらマガジンをフォローしてくれると嬉しいです。
5月、GWも終わると、4月から新社会人となった方もいよいよ本格的に業務に取り組みはじめる時期かもしれません。同時にいろいろな悩みも出てくると思います。
今年の新卒社員といえば、やはり「AI」がひとつのトピックとなりそうです。若手ビジネスパーソンはAI時代にどう成長していけばいいのか。ぼくもいろいろな人と議論してきましたが、そのなかで思ったことについてまとめてみます。
この4ヶ月で起きた技術の進歩と社会の変化
いまは完全に「AI以後」の時代です。若い人たちと話すと、「これからどうなるんだろう」とか、「どんなスキルを身につけたらいいのかわからない」とか、不安の声を聞くことが多いです。
でも、それは新卒社員だけじゃなくて、社会人何年目かの人たちも思っているはず。僕らみたいなスタートアップの社長も、この4か月くらいは目のまわるような忙しさでした。
いろいろキャッチアップしたいけれど、1週間ごとに1年分くらいの技術の進歩と社会の変化が起きる。そのたびに「こんな仕事がなくなるんじゃないか」とか、「こんなことまでできちゃうの?」という驚きとともに、「それじゃあこれもできるよね!」という期待もあり、この数ヶ月、みんなで繰り返し議論し続けてきました。
よく言われるのが、「AIが多くのホワイトカラーの仕事を奪う」とか、「人間がやらなくてもいい仕事が増えるから、逆にクリエイティブな仕事ができる」という意見。でも僕は「そんなの杞憂だろうな」と思っています。
要は、AIで仕事が奪われる人と、AIでクリエイティブな仕事ができる人は別なので、そんなに簡単にはいかんぞ、と思っているわけです。
わかっているのは、これから最も活躍するのは「AIを上手く使って仕事をする人たち」になってくる可能性が高いということ。
じゃあそういう人たちって、どんな能力を持った人なのでしょうか。ここで大事なのは2つです。
つまり、「AIに対して何をオーダーすればいいかがわかっていること」と、「AIによる成果物が正しいか、間違っているかを判断できること」です。
これらの能力が最低限必要だろうと思っています。
しかし、この「何をオーダーすればいいかがわかる」ことと、「何が正しいか、間違っているかがわかる」ことは、これまでにいろいろな経験を十分に積んできていないとむずかしいわけです。
いきなりゼロベースで仕事をはじめて理解できるかというと、そうではないと思います。
上司が仕事を若手に投げなくなる?
いままでは、そういう仕事ができる上司が、業務を細分化して、自分の時間内にはできない仕事があった場合に、「ちょっとこれやっておいてよ」といろんな人に投げていました。
これからはどうなるか。上司がAIに直接仕事をオーダーし、その成果物の可否を判断することになる。
若い人たちに仕事を割り振らなくなる現象が起こり得ますし、実際にそうしている人もすでにいます。
では業務が降ってこないなかで、どうやって経験を積めばいいのでしょう。
この間、海外の著名なAI分野の学者が、「下積み仕事を学ぶ用の仕事を、AIがつくってあげないといけないよね」という話をしていたんです。つまり、AIを適切にコントロールできるだけのお仕事スキルを身につけるまで、AIを使って成長しないといけないよね、と。
まぁそれはさすがに極端だとしてもです。
いまの新社会人の人たちにとっては、どうやら、これまで上の人がやってきたような形で成長できる、というわけではなさそうです。これからの時代の生き方やスキルの身につけ方についてはめちゃくちゃ考えないといけないでしょう。
最近は「AIに対してこういうプロンプトを入力すればOK」とか、「こういう命令が便利」みたいなノウハウばかりが出回っていますけれど、あれを覚えることにはほとんど意味がないと思っています。
たとえば「こんな内容で良い小説を書いてください」と命令したとしても、自分で何度も書いて、何度も何度もレビューされたことがあって、そこで初めて「良い小説とは何か」がわかるわけです。AIだけを使って「できました」と言ってるだけではきびしいです。
たとえばAIは契約書の雛形やメールの文面をつくってくれますが、それが本当に状況に即しているかを判断するには社会経験が必要だったりしますよね。となると、それがわかる人がAIを使ってやってしまう。
なにしろ、AIは瞬時に答えを出してくれるし、雑に命令しても全然キレないし、メンタリングもしなくていいし、評価やフィードバックも返さなくていいので、上司にとってAIを使うメリットは圧倒的に大きいです。
これまで何度もあったように、おじさんはAIによって置いてけぼりを食らうのかというと、残念ながらそうではないでしょう。なぜなら、AIに指示ができるおじさんにとっては、AIが鬼に金棒になる。
なので、おじさんもけっこう強いよ、ということです。
この部分は以前のインターネットができて使える若い子の方が有利っていう時と少し事情が違うと思っています。
自分というハードスキルを鍛えよう
ただ、やっぱり変化の時代はチャンスです。明治維新でも産業革命でもそうですけれど、ものすごく大きな変化が起きるときって、若い人にチャンスが巡ってきました。
そういった変化が起きるときの振る舞い方としては、なにが正解なのでしょうか。
ソフトスキルとハードスキルという言葉があります。人間のからだが「アプリケーション」と「OS」に分かれているとしたら、ハードスキルというか、OSとしての自分自身を強くすることを意識する必要があるのでは、と思っています。
小手先の技術やテクニックはすぐに時代遅れになります。1つのアプリケーションを使い込んだり、アプリケーションの種類を増やすことはそれほど重要ではなく、自分自身の「つよさ」が必要です。メンタルもそうですし、いろんなことを経験して(それがむずかしくなってくるのですが)、いろんなことに適応していく姿勢です。
自分の中でもまだ結論が出ていなくてふわっとしていますが、こんなことを最近は考えたり、話したりしていました。
みなさんはAIとともに生きるこれからの時代、人はどんなスキルを身につけ、どんな成長を目指すべきだと思いますか。よかったらご意見聞かせてください。
ーー最後まで読んでいただきありがとうございました。
声の編集後記
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