見出し画像

「重いウエイト」vs「軽いウエイト×多い回数」——研究が証明した、同じ結果になる意外な事実


「重いウエイトを扱わないと筋肉は付かない」

僕も最初、そう考えていた。
本業のエンジニア業務と掛け持ちしながら、週3~5回のジムで「重さがすべて」だと信じていたから、いつも限界まで重いダンベルやバーベルを握ろうとしていた。

ところが、あるトレーニング研究が目に入ってきた。
2024年の最新論文だ。

結論は、意外だった。

「重さを上げるのと、回数を増やすのとで、筋肉の成長に差がない」

正直、これはハッとした。
忙しい会社員にとって、この知見は単なる情報ではなく、トレーニング戦略を大きく変える可能性がある


用語解説

この記事で出てくる用語をまとめます。

  • プログレッシブ・オーバーロード(段階的過負荷):継続的に訓練の強度や負荷を高めるという筋トレの基本原則。筋肉の成長には必須。

  • 1RM(ワン・レップ・マキシマム):1回だけ持ち上げられる最大の重量。筋力を測る標準的な指標。

  • 大腿四頭筋の外側広筋(vastus lateralis):太ももの前面外側にある筋肉。脚トレで最も発達しやすい部位。

  • 筋横断面積(CSA):筋肉の太さを断面図で測ったもの。太いほど強い。


この研究で何がわかったか

2024年、ブラジルの研究チームが39名の未経験者を対象に、10週間のトレーニングを実施した。
左右の脚を別々のプログレッシブ・オーバーロード方式に割り当てた

結果:重さを増やしたグループも、回数を増やしたグループも、筋力も筋肉の太さも、ほぼ同じだけ成長した

重さで成長:52.9kg → 69.05kg(31%増)、筋肉の太さで成長:21.34cm² → 23.53cm²(10%増)

回数で成長:51.67kg → 66.82kg(29%増)、筋肉の太さで成長:21.08cm² → 23.39cm²(10.8%増)

有意差なし——つまり、どちらでもいい、ということだ。


なぜそうなるのか

ここが重要だ。

筋肉が成長するのに必要なのは、「重い」ことではなく、「筋肉が十分に疲弊する」ことだ。

重いウエイトを低回数で上げても、軽いウエイトを高回数で上げても、筋肉に与えられるトータルの刺激量(負荷 × 回数)が同じなら、成長の信号は同じになる。

むしろ大事なのは、「限界に近い状態まで追い込むこと」。
重さだけで追い込まず、回数でも追い込める——これが今回の論文が示唆することだ。

さらに、未経験者ほどこの傾向が顕著になる。
初心者は、まだ神経-筋肉の連動がうまくいっていないから、どちらの方法でも十分な刺激になるのだ。


会社員が月曜から使える実践法3つ

その1:重さ追求プランと回数追求プランを使い分ける

月曜と水曜は「重さで攻める」(5回~8回・限界重量)、金曜は「回数で攻める」(12回~15回・軽めの重量)というように、同じ種目でも方式を変えてみてほしい。

飽きが来ないし、関節への負担も分散される。

その2:軽いウエイトでも「限界まで追い込む」なら効果は同じ

仕事が遅くなってジムに行く時間がないときでも、軽いウエイトで高回数(12~15回×3セット)をやり切ってほしいんです。

時短トレーニングになっても、効果は変わらない、という確信を持つことが大切。

その3:「重さの執着を手放す」のが、実は強くなる道

エゴで重いウエイトを扱って、フォームが崩れたり、関節を痛めたりするより、コントロールできる重さで確実に筋肉を追い込むほうが、長期的には強くなる。

ケガなく継続する——これが会社員の最大の武器だ。


私の実体験コメント

実は僕も、過去にデッドリフトで手痛い教訓を得た経験がある。
自己ベスト更新に燃えていた時期、「もう1枚プレートを足せるはず」とエゴを出した結果、腰に激痛が走った。ぎっくり腰だ。
2週間、まともに動けなかった。

ジムに行けないどころか、デスクワークすら辛い。
せっかく積み上げてきたトレーニング習慣が、一瞬の判断ミスで止まってしまった。

この経験で気づいたのは、「重さを追うこと」と「強くなること」は必ずしもイコールじゃない、ということ。
復帰後は重量を少し落として、コントロールできる範囲で回数を増やす方式に切り替えた。

今回の論文の結論を見て、当時の自分に教えてあげたくなった。
「軽くても、ちゃんと追い込めば同じだけ成長するよ」と。
長く続けられる人が、結局いちばん強くなる。


まとめ

筋肉の成長に必要なのは「重さの絶対値」ではなく、「筋肉への刺激量」だ。
重いウエイト&低回数、軽いウエイト&高回数、どちらでも同じ成果が出るなら、自分のライフスタイルに合わせて選べばいい。

会社員パーソナルトレーナーとして、この知見は僕の仕事の効率を大きく変えた。
あなたのウェイト選びも、もう変わるはずだ。


参考文献

Effects of Resistance Training Overload Progression Protocols on Strength and Muscle Mass

著者:Chaves Talisson Santos、Scarpelli Maíra Camargo、Bergamasco João Guilherme Almeida

掲載誌:International Journal of Sports Medicine(2024年)

PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38286426/

いいなと思ったら応援しよう!