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ダナンの熱帯夜、絶え間ない車の流れを手をつないで渡り切ったことを忘れない

ダナン空港に到着し、ライドシェアアプリのGrabで車を呼んで乗せてもらった。無数の車とバイクがびゅんびゅん走る目抜通りを行く。すごい交通量だ。「パッパッパー」とクラクションが鳴り響き、海外に来たなぁと実感する。信号は少なく、交差点ではぱっと見では全然わからないルールで車が縦横無尽に走る。途中並走したバイクには4人も乗っていた。前からこども、大人、こども、大人のサンドイッチ。いいのか、あれ……?交通ルールはめちゃくちゃだけど、みんなヘルメットはかぶっている。そこはちゃんとしてるんだな。

ホテルに到着して荷物を置き、夜ごはんを食べに出かけることにした。現地の時刻はもう21時過ぎ。日本時間の23時でもういつもなら寝ている時間だ。だけどハイテンションで眠気なんて感じない。3時まで営業しているシーフード料理店「BENI2」へ10分ほど歩いて向かうことにした。

しかし、歩いてBENI2まで行くには、あのめちゃくちゃな交通量の道路を歩いて渡らなければならない。目抜通りに至っては片側4車線、中央分離帯があるほどの大きな道だ。なのに車を停めてくれる信号などない。タイミングを見計らってえいや!と渡るしかないのだ。まるで、子どもの頃に熱中した、カエルになって車を避けるPCゲームの主人公になった気分。息をひそめ、全身に神経を集中させて、車とバイクの隙間をすり抜ける。一歩間違えればゲームオーバーだ。

車を避けながら、なんとかBENI2に到着。10分ほどしか歩いていないのに、なにかやり遂げたような気分になる。

夜に浮かび上がるド派手なネオンサイン。汗ばむ肌にまとわりつく熱気とネオンの光がこれぞ東南アジアの夜だと感じられた。BENI2では新鮮なシーフードを焼く、蒸す、揚げるなど好みの調理法で料理してくれる。

新鮮なシーフードというのは店内にいけすがあり、そこでまだ泳いでいるカニや貝を調理するのだ。

いけすに近づくとたくさんのカニがうごめいており、うおおおお、とビビる。カニは注文できなかった。命がリアルすぎる。エビのガーリック炒めと、せっかくだから聞いたことない貝を食べてみようとサルボウガイ蒸しを頼んだ。

テーブルに魚介が運ばれてくると、見慣れたエビの姿で安心する。おいしそう!0.5人前にしたのだけど、かなりのボリュームだ。店員さんがていねいに殻まで剥いてくれて、食べやすかった。ぷりっぷりのエビは、ガーリックの食欲をそそる香りを放ち、口に入れて噛んだ瞬間、旨みがじゅわっと広がる。サルボウガイは磯の香りはするけれど、味は淡白で、ビールのつまみにはちょっと物足りなかった。

東南アジアらしいさっぱりした薄めのビールと一緒にシーフードを楽しんでおなかいっぱい、ほろ酔い気分で店を出ると、夫が言った。「今夜、あとひとつやるべきことがあります」と言う。一体なんだろう?「水? 買い物?」と首をかしげる私に、夫は言う。「あの目抜き通りを、歩いて渡ります」と!たしかにホテルに戻るには交通量の多いあの片側4車線を渡らないと。しかもアルコールが入って難易度は上がっている。行けるのか?一大ミッションだ。

目抜通りまで来て車が途切れるのを待っている間、なぜかおかしくなってきて、わたしはケラケラと笑い出した。こんなに心臓がドキドキするのに、楽しいのはなぜだろう。わたしたちは手をつないで、笑いながら、車やバイクの間を縫うように渡っていった。渡っている途中でバスが曲がってこちらに向かってきた。「わーっ」と言って手を繋いだままちょっと走った。なんだかやけに楽しくて、こんな夜がまた何度もあればいいと思った。

たった10分の道のり。でも、車とバイクの洪水の中を、夫と手をつないで渡り切ったこの夜は、きっと忘れられない。まるでゲームをクリアした時のような達成感と、予想外の楽しさだった。


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