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[好きじゃなかったのに大好きになった話]

春が待ち遠しいような、暖かな今日。
昨年の秋に購入した車を水拭きした。

ペットボトルのお水をかけ、布で軽く擦ると、
みるみるうちにキラキラ輝いていく。
日差しに照らされて磨けば磨くほどピカピカになる車を見ていると、
なんだかこちらの心まで晴れやかな気持ちになる。

「磨けるものを磨くとどんどん綺麗になるから
磨いた方がいい。そういうのを見ていると
自分も磨いたら綺麗になるかなって思えるものよ」
という好きな言葉を思い出す。


7年前に娘と二人暮らしを決めてから
ずっとノーマイカー生活を送ってきた。
しかし引っ越しして娘の生活スタイルを鑑みて、
6年半ぶりに車を迎えることに決めた🚗

中古車屋の知人に伝えた条件は
"予算内であること"と
"2年半、壊れずに走ってくれること"。
オークションで探してもらった結果
予算もスペックも申し分ない車が見つかった。
ただ、色は自分の第一候補ではなく、
20年前の車というだけあって〈いかにも中古車〉といった深い緑色だった。

「この年式にしては内装も外装も綺麗だしおすすめだよ」
知人の言葉に後押しされ、これを逃すと次はいつになるかわからないという思いもあり、少しの妥協とともに
「それでお願いします」と返事をした。

「自分が本当に欲しい車を買えるのは、まだ先かなぁ」
そんなふうに少し落胆しながら迎えた納車日。
いざ実物をお迎えすると、
20年前の車とは思えないほどピカピカで、前オーナーに大切に使われてきたことが伝わってくる車だった。
「思っていたより可愛いかも」
と、少しずつ愛着が湧き始める。

そして、極めつけの一言で私の気持ちが大きく変わった。
娘に「車決まった!あんまり色は好きじゃないけど」
と写真を見せると、第一声に

「ひいおばあちゃんと同じ色の車やん!」と。

ハッとした。
ひいおばあちゃん(私の祖母)は
娘が小学校に入ってすぐに亡くなってしまった。
娘のことが大好きでとても可愛がってくれた。
週末になると、80歳を超えるのによく自分の車を運転して遊びにきてはいろんな場所へ連れ出してくれていた。

私や母、妹でさえ"おばあちゃんの車"と"新しい中古車の色"は全く結びついていなかった。
それなのに、娘はうちにやってきたピカピカの車を見て
大好きなひいおばあちゃんとの思い出と瞬時にリンクさせるほど、娘は強く〈おばあちゃんと車〉を記憶に残していたのでした。

大切に乗られてきたマイカーが、娘も私も大好きだったおばあちゃんと同じ色のマイカーに重なる。
そう思った瞬間、たまらなく愛着が湧いたし、
どこかで見守ってくれているような気がした。

「2年半、壊れなければいい」
なんて気持ちはどこかへ消えてしまった。
これからは、思い出をいっぱい乗せて走れる車でいてね。
心の中で唱えながら撫でるようにピカピカに磨く時間は、
これからの私の、日常の大切なひとときになりそうだ。

flower created by @ohanabako

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