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エンディミオン・ユニットってなに!? 【最終回】TV版『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』感想・解説・考察

「人がそんなに便利になれるわけ、ない」

セイラ・マス『機動戦士ガンダム』より

INTRODUCTION

 はじめましての方ははじめまして。劇場版『Beginning』の感想を読んでくれた方はお久しぶりです。
 格ゲーマー兼Webホラー小説家兼プロ官能小説家兼、ただのガノタの大萩おはぎです。2025年6月25日、ついにTV版『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』最終回『だから僕は…』が放送されましたね!
 テレビを持ってないので、僕はアマプラで観ました!
 そして観終わった今、結論から言えば――。

 面白かった! いろいろ言いたいことはあるけど、劇場版が放送されてから半年間楽しかった! ありがとうジークアクス!

 です。興奮冷めやらぬ今、この感動を共有したい! と思い感想記事を書くことにしました。
 前回の記事ではガンダム初心者の方もたくさん読んでくれたようなので、今回は可能な限り解説も挟んでみます。今作で初めてガンダムに触れたというあなたにも、ガンダムにさらに深くハマれるきっかけになれたら幸いです。

 ※本記事がnote編集部の記事で紹介されました!
 また、6/26にシュウジについての仮説を追記しました。


1.『ジークアクス』の”世界線”とは?


 『ジークアクス』作中では、パラレルワールド。いわゆる並行世界とか並行宇宙の概念が登場しています。劇場版の時点から、『機動戦士ガンダム(以下、ファーストガンダム)』と違う歴史を辿った架空戦記であるという解釈がなされてきましたが、最終回で改めて『シャロンの薔薇』の真実が明かされたことで、少しだけ違ったと明らかになりました。
 ではまず、『ジークアクス』における主要な三つの”世界線”について考えてみましょう。

 第一の世界線:ララァがシャアを庇って死んだ世界(『ファースト』類似世界)


 さて、『ジークアクス』における『オリジナル(正史)』世界あるいは『向こう側の世界』は結論から言えば『ファースト』の世界そのものではありませんでした。似て非なる世界です。
 それはララァ登場回から最終回までで明確に描かれていましたよね。
 最終回、池田秀一さんが声を当てるシャアと、潘恵子さんが声を当てるララァが”白い悪魔”と戦っているシーン。ちょっと絵柄がジークアクスと違って、『ファースト』に寄せられています。
 これはTVアニメ『機動戦士ガンダム』でも描かれた戦いなのですが、途中までは同じでも結末が違っています。『ファースト』作中ではシャアの赤いゲルググを庇ってララァのエルメスが撃墜されます。『ジークアクス』の正史では逆で、ララァのエルメスではなくシャアのゲルググが撃墜される。結果が逆転したことで、深く絶望したララァはシャア生存の道を探し幾多の並行世界を巡ることになったのです……。

1point考察:ゲルググの見た目が違いすぎじゃね?
 僕は正史世界で撃墜されたシャアが乗っていた機体を『ゲルググ』と表現しましたが、『ジークアクス』でシイコさんが乗っていたゲルググと見た目違いすぎじゃね? と思った方も多いでしょう。『ジークアクス』では多くの機体がリデザインされていますが、世界線が変わりオーパーツの流入などの影響で技術体系が変化したことを表現したと思われます。しかし、正史あるいはそれに類似した『ファースト』世界の機体デザインを踏襲していることがほとんどです。全く違う機体になっているのはゲルググくらいです。ていうか間違いなくジークアクス版ゲルググはジムのリデザイン版です。なぜこうなったのでしょうか?
 これは『ジークアクス』世界におけるゲルググの位置づけが、”ガンダムの量産型”になっているからです。『ファースト』における”ガンダムの量産型”は地球連邦製の”ジム”という機体でした。しかしガンダムをシャアが奪取した『ジークアクス』世界線では、ガンダムの量産をジオン側が試みることになります。つまり機体としてはジムと同じなのですが、ジオンが作ったから”ゲルググ”という名前に変わったということです。
 ここまでの解釈はファーストを履修した人ならば難しくないでしょう。しかし最終回で少し違う解釈もできたんじゃないでしょうか? そう、ララァの意思の介入です。シャアは『ジークアクス』世界が別世界(正史世界)から来たララァの意思によって歪められていると考えていました。彼女を排除しようとしたのもそれが理由です。『ジークアクス』世界がララァの意思で歪められたとするなら、本来のゲルググが消えてジムみたいになったのもその現れかもしれません。だって正史世界のシャアが搭乗して殺されたトラウマの機体ですからね。ララァの絶望の原因の一つだから、消されたと考えると少しスッキリしませんか?

ソースは僕の妄想です

第二の世界線:ララァの視た夢の一つ、『ジークアクス』の世界

「この世界で私は彼女の意思によって守られているらしい。そのような歪な世界に、ニュータイプの時代が来るとも思えない」

シャア・アズナブル『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』より

 そして第二の世界線が『ジークアクス』の世界です。
 シュウジや『向こう側』からきた方のララァからすれば、幾多もある並行世界の一つに過ぎません。ララァの視た夢の一つでしかない世界です。
 しかし歴史が分岐し、実際に存在している世界でもあるのでしょう。ララァが知らない人物も普通に存在していて、自由に動いているからですね。その最たる例がマチュです。
 世界線の移動は”ララァの絶望”+”エルメスのアルファ・サイコミュ”で起こった大規模なゼクノヴァ現象によって引き起こされているのでしょうか。
 あくまでもパラレルワールドの一つなので、シャアやララァの声が違うし、機体デザインも全体的に違っています。並行世界移動の中で、ララァの意思によって生じた様々な干渉が分岐を起こし、微細な差異を生んだのでしょう。
 よくわからないのはシュウジの存在で、シュウジは誰なんだろうってのは全然明かされませんでしたよね。ただ、『ジークアクス』から見た正史世界は『ファースト』と似て非なる世界ではあるので、シュウジも『ファースト』に存在したキャラクターではなく全く別の存在なのかもしれません。このへんの考察は考察が得意な人にまかせます。

第三の世界線:ガンダムがララァを殺した世界

「僕はもう見たくない……。またガンダムがララァを殺す光景を」

エンディミオン・ユニット『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』より

 さて、作中で明確に描かれていたのは上記の二つの世界です。しかし、『ジークアクス』を解釈する上で無視できないのは”第三の世界線”の存在です。
 最終回にて、ジークアクスに搭載されたオメガ・サイコミュこと”エンディミオン・ユニット”(CV.古谷徹)がこのように語りました。ここで重要なのは、ララァと共に幾多の並行世界を巡ってきたらしいシュウジですら「誰だ」と反応していることです。シュウジですら知らない”エンディミオン・ユニット”とは何だったのか? 最終回最大の謎ですよね。
 ここではその謎を自分なりに考察したいと思います。
 

「シャロンの薔薇と同じく、向こう側から来たオーパーツを使ったオメガ・サイコミュ。オメガサイコミュ……いや、エンディミオン・ユニットが覚醒したのか」

シャリア・ブル『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』より

 シャリア・ブルはこの”エンディミオン・ユニット”を「向こう側から来た」と言っています。『ジークアクス』作中の”向こう側”とは概ね”第一の世界線(正史世界)”を指すのですが、”第一の世界線”でガンダムが殺したのはララァではなくシャアです。これは”エンディミオン・ユニット”自身の証言と矛盾します。
 つまり、”エンディミオン・ユニット”とは「ガンダムがララァを殺した世界線」から、「世界線を移動するような何らかの現象」によって流れ着いたモノであることが言えるでしょう。シュウジが知らなかったことから薔薇の中のララァの能力による世界線移動とは別の理由で世界線を移動したとも推測できます
 ん……これって僕らがよく知っている歴史なんじゃないの……?
 そう、僕が提唱したいのは、これこそが僕らがよく知っている『機動戦士ガンダム(ファーストガンダム)』の世界線なんじゃないのかってことです。
 オメガ・サイコミュ搭載機であるガンダム・クァックスには口があります。口を開くと内部に光る球状の構造体が入っていました。これは、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』に登場したアムロ・レイの乗機”νガンダム”の”サイコフレーム”なんじゃないのかと僕は考えています。
 この章も長くなってきたので、この説についての詳細は次章へ続きます……。

2.『エンディミオン・ユニット』の正体とは?


 最初に言っておきますが、この話は僕の妄想でしかないので話半分で聞いて下さい。
 僕は『ジークアクス』最終回に登場した”エンディミオン・ユニット”の正体を、「”逆シャア”のラスト”アクシズ・ショッック”で消失した”ν(ニュー)ガンダム”の”サイコフレーム”」であると考えています。
 その根拠を以下に列挙します、

根拠1:声優が古谷徹だった

 ジークアクスの中の人こと”エンディミオン・ユニット”の声優は”アムロ・レイ”役の古谷徹さんでした。
 彼が「”また”ガンダムがララァを殺す光景を」と語るということは、この”オーパーツ”が『ジークアクス』世界に流れ着く前の世界で、ガンダムがララァを殺したという事実がなければなりません。その歴史に該当するのが『ファーストガンダム』なのはすでに述べたとおりです。ここでガンダムに搭乗し、ララァを殺害したのがアムロです。
 ”エンディミオン・ユニット”に宿る意思がアムロの声で喋るということは、やはりこのオーパーツがアムロの乗機に由来するのではないかと考えるのが自然です。そして、アムロが搭乗したサイコミュ搭載機とは初代ガンダムではなく”ν(ニュー)ガンダム”です。
 
νガンダムのサイコフレームとは、モビルスーツの構造体にサイコミュを練り込むという技術です。これによって、”νガンダム”のコックピット外周全てがサイコミュとなっています。一部設定ではコックピットを球状に囲っており、ジークアクスの口の中の球状の物体と似ているように見えます(※うろおぼえ、要出典情報です)。
 
この仮説では、”νガンダム”の”サイコフレーム”に宿っていたアムロの残留思念が最終回で”覚醒”したのだと思われます。しかし、声優が根拠というのはメタ読みにもほどがあるので、別の根拠も考えてみましょう。

根拠2:ゼクノヴァとアクシズ・ショックの類似

 僕は劇場先行版の感想でも、「ゼクノヴァとアクシズ・ショックの類似」を指摘していました。
 アクシズ・ショックとは、『逆襲のシャア』ラストで起こった、サイコフレームによる発光現象です。サイコフレームとは、サイコミュの発展型みたいなものなのです。これをコックピット周囲に搭載したアムロの乗機”νガンダム”に人の意志が集まって、発光現象とともにとある奇跡を起こしたのが”アクシズ・ショック”という現象なのですが……。ここで重要なのは、”アクシズ・ショック”後にその火元である”νガンダム”が行方不明になってしまっていることなんですよね。
 僕は「”νガンダム”のサイコフレームがゼクノヴァに類似する発光現象”アクシズ・ショック”によって『逆シャア』世界から消失→世界線移動の結果『ジークアクス』世界に流れ着き、オーパーツとしてジオンに発見される→”オメガ・サイコミュ”としてガンダム・クァックスに搭載される」という流れを妄想しました。

(追記)ユニットが発見された場所はおそらく、月面の「エンデュミオン・クレーター」ではないでしょうか? となると”エンディミオン・ユニット”のネーミングも腑に落ちます。

 さらに”エンディミオン・ユニット”が覚醒した際に放たれた緑の光も、”νガンダム”のサイコフレーム発光現象の色と一致しているように見えます。こちらも、”エンディミオン”・ユニット”=”νガンダムのサイコフレーム”説を補強します。

根拠3:特殊なサイコミュ搭載機が二つある?

GFred『オメガと並ぶ特殊なサイコミュを搭載しているとされるが、詳細は不明』

https://www.gundam.info/feature/gquuuuuux/mecha/31/

 上記は公式サイトから引っ張ってきた”ジフレド”の説明です。ジフレドはニャアンの乗機で、オメガと同様特殊なサイコミュ(カッパ・サイコミュというらしいです)を搭載した機体です。これも”向こう側から来たオーパーツ”なのではないでしょうか?
 そういえば、『逆シャア』ラストで”アクシズ・ショック”の際に消失したもう一つのサイコフレーム搭載機がありましたよね……。そう、シャアが搭乗していた”サザビー”です。”νガンダム”と”サザビー”のサイコフレームが『逆シャア』世界から揃って消失し、『ジークアクス』世界にたどり着いたとすれば、特殊なサイコミュ搭載機が二機ある理由も説明可能です。最初からオーパーツのサイコミュはオメガとカッパの二個あったってことです。
 この説はジフレドが池田秀一声で喋ったらもっと確証が得られたのですが、結局はわかりませんね。ジフレドにサザビー要素あったっけ? って言われるとわかりません。強いて言うなら「地球人類を粛清する目的で製造された」という点でしょうか。

(追記)コメント欄より情報をいただきました。ジフレドの頭部には赤い二本のアンテナがあり、頭の中に赤い物体が収納されているようです。そのため、ジフレドにはサザビーのサイコフレームが搭載されているという説が最終回以前から存在していたようですね。確かに開いた前側はイオマグヌッソとの接続端子になっていましたが、後頭部の赤い部分は球状にも見えます。

 『逆シャア』におけるシャアは地球人類の粛清を目的に行動し、”アクシズ”という小惑星を地球に落下させようとします。これは『ジークアクス』でのキシリアの行動と類似しており、作中でもシャリア・ブルが指摘しています。

「私にはわかる。貴方がジオンを率いるのは危険だ。いつかキシリア様のように地球に住む人類の粛清にたどりつく」

シャリア・ブル『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』より

 シャアがサザビーを駆って地球人類を粛清しようとしたように、キシリアがジフレドを利用して地球人類を粛清しようとした……。仮にジフレドにサザビーのサイコフレームが使用されているのなら……そして、ニュータイプであるキシリアが「地球人類粛清」という過激思想に取り憑かれてしまった理由、ジフレドに搭乗した人間が”悪魔(ディアブロ)”になると言われていた理由にも説明がつくのでは……。
 なんならニャアンがジフレドを見て「キシリア様と似てる」と感じた理由もここに関係しているのでは……?
 もしかしたらサザビーのサイコフレームに残っていたシャアの残留思念に影響を受けてしまったのかも……なんてね?
 根拠のない妄想ですが、この一致は偶然でしょうか? みなさんはどう思いますか、コメントで教えて下さい!

(追記)この仮説に基づくと、毒ケーキ先輩ことミゲルの使っていた「ディアブロ」という単語の意味もわかってきた気がします。「ディアブロ」とは、「ジフレド(の中に残留していたシャアの怨念)から地球人類粛清思想を植え付けられたニュータイプ」のことなのではないでしょうか。
 ミゲルはキシリアの目的を知り、地球人類を粛清するという思想に危機感をもちます。そしてジフレドのサイコミュと精神感応したニュータイプがその思想を植え付けられてしまうことを知り、同期たちがそうなる前に殺害したのでしょう。
 故に、ジフレドのサイコミュと既に精神的なつながりを持っていたニャアンを前にしてミゲルは「とっくにディアブロになっていたのか!」と言ったのです。この謎台詞を意訳すると、「お前はとっくにジフレドのサイコミュと繋がっており、(キシリアと同様に)地球人類粛清思想を植え付けられていたのか!」となります。こうなれば彼の目的や、同期に対し「殺す」という選択肢を取らざるを得なかった理由も明確になりますね。そんなヤツを野放しにしていたらもっと多くの人間が犠牲になるに違いありません。

(追記)ニャアンがジフレドを見た時に「キシリア様に似てる」という謎の感想を抱いた理由も、この説なら説明できます。ニュータイプであるキシリアの精神が既にジフレド(というかカッパ・サイコミュ)の影響化にあったことを、ニャアンがなんとなく感じ取ったということなのでしょう。
 このアイデアはツイッターで本記事を読んだフォロワーさんから教えてもらいました。感謝!


(追記)反証やその他の説

 SNS(ツイッターなど)では、「ジークアクスの腕」について考察する人がそれなりの数いますね。光っていたので僕は見逃してしまっていたのですが、ジークアクス(オメガサイコミュ)の腕がアムロのものだったんじゃないのかという話です。腕しか映っていないので実際誰の腕かはわかりませんが、袖の感じから予想して現在は「一年戦争のアムロ説」と「逆シャアのアムロ説」の二つがあります。
 「一年戦争のアムロ説」は、エンディミオン・ユニットの一人称が「僕」だったことからも提唱されているようです。確かに、逆シャアでは「俺」って言ってた気がする……。ただ、僕は一人称でアムロの時期を判別するのはそんなに意味がないと思っていて、僕の説では「ジークアクス=アムロ」ではなく、あくまで「エンディミオン・ユニットのアムロの残留思念が目覚めた」という考えです。アムロそのものではないので、厳密な時系列が再現されているわけではないと思います。なんなら、「ララァを殺して悔やんでいるのは一年戦争時代のアムロ」であり、逆シャアでもその後悔に囚われ、アムロの夢の中にララァが出現してしまっていました。そうした「ララァを殺した後悔」が残留していたなら、エンディミオン・ユニットの由来が”逆シャア”かつアムロの姿が一年戦争時代のものというのは両立すると思われます。
 また、別の説ではエンディミオン・ユニットの正体が”逆シャア”でチェーンが持っていた”T字型サイコフレーム”というものも散見されます。これは……どうなんでしょう? いい感じの根拠を知っている方がいればコメント欄で教えてください!

3.気になった点を箇条書き


 ここからは僕が気になったことを感想とか解説とか考察とか交えながら書き殴って行きたいと思います。

1.シャアの1stオマージュ


「違うか!?」

アムロ・レイ『機動戦士ガンダム』

 最終回でもシャアはファーストガンダムのオマージュを多く描かれていましたね。
 対キケロガ戦で赤いガンダムのビームライフルにより撃墜したかと思わせた瞬間の「違うか!?」、これはファーストガンダムの最終決戦にてガンダムがジオングにビームライフルを当てた際のアムロのセリフのオマージュです。
 また、キシリアをバズーカで殺害するシーンはまんまファーストガンダムのオマージュです。バズーカを撃ったのが生身のシャアか、赤いガンダムかという違いはありますけどね。

2.シャアの母親になりたかったキシリア

「あの時、陽射しをはらんで輝いていた。癖の強い赤毛の私とは違い、幼いキャスバルとその妹は柔らかなブロンドヘアの似合う、まるで童話の挿絵から抜け出して来たような子供たちだった。もし、このような愛らしい子が持てるのなら、母親になるのも悪くない。そう思ったこともあった……」

キシリア・ザビ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』より

 最終回にて『ジークアクス』でのキシリアの心情掘り下げが行われました。端的に言うと、キシリアはシャアのママになりたかったようです。
 これはファースト~逆シャアにおけるシャアが「家族(ていうかママ)を求めていた」ことの対比になっています。ニュータイプ同士であり、「母親を求めるシャア」と「息子を求めるキシリア」で性癖が一致しているはずなのですが、結局は争いあい殺し合ってしまったんですよね。
 これは11話における劇場のシーンでも見て取れます。『機動戦士Zガンダム』の終盤でシャア、シロッコ、ハマーンの三人が問答するシーンのオマージュと思われるこの場面ですが、全員ニュータイプなのに相互理解とか全然できないんですよね。『Zガンダム』は「ニュータイプの敗北」を描いた作品と言われていますし、実際に主人公カミーユは、非常に高い素養をもちながらも殺し合う現実に絶望しニュータイプを「人殺し」と定義しています。

「ニュータイプも強化人間も、結局何もできないのさ。できる事と言ったら、人殺しだけみたいだな」

カミーユ・ビダン『機動戦士Zガンダム』より

「ララァ・スンは私の母になってくれるかもしれなかった女性だ」

シャア・アズナブル『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』より

 シャアは善悪どっちにも転ぶ存在として描かれていると思いますが、キシリアはニュータイプでありながら地球人類抹殺に向かうという明確に「失敗したニュータイプ」として描かれているので、相互理解というニュータイプらしい結末には至れなかったということです。
 ただし、シャアには救いがあります。シャアは自身の鏡像のようなキシリアの末路を目の当たりにし、シャリアとの戦いを経たことで、憑き物が落ちたのではないでしょうか。最終回ラストではララァと出会ったことが示唆されていますが……もしかしたら「自由」というニュータイプのあり方を取り戻し、一人の人間として幸せになっていくのかもしれませんね。

3.戦いの中で人を救えるのか?

カミーユ「僕にフォウを撃てって言うんですか?」
シャア「これは戦争だぞ、カミーユ!」
カミーユ「だけど、僕は人間です!」
シャア「こんなところで子供の理由を振り回すな! 戦いの中で人を救う方法もある筈だ、それを探せ! 行くぞ!」
カミーユ「あるわけないだろ!」

『機動戦士Zガンダム』より

 僕は『ジークアクス』を『Zガンダム』の別解の一つとして作られた作品だと考えています。それは「時系列的にファースト(らしき世界)の続編である」という点で共通しているからというのもありますが、扱っているテーマも似ています。
 高いニュータイプ能力と奔放な性格を持ち、「理不尽に抗い、自らの意思でガンダムを強奪する」という出発点を持ったマチュとカミーユが似ているということは、放送当初からさんざん語り尽くされてきましたよね。しかしマチュとカミーユではたどる結末が違います。
 最終回でマチュは戦いを通してニャアンとわかり合い、シュウジの心を救いました。

「貴女はサイド6の事件で故郷を追われることになっても、なんの後悔もしていなかった。あの拳銃は、自分のために戦い続けてきた貴女にこそふさわしい。きっと……自由のために傷つく者こそが本物のニュータイプなのだから」

シャリア・ブル『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』より

 カミーユは戦争の現実を知り、他人の思念を取り込んで壊れてしまうという結末をたどりました。マチュは自由を求めてとった行動の結果(失敗)を何度も突きつけられ、状況的には追い詰められていきましたが、それでも自分自身の意思で前に進み続け、最終的に戦いで人を救いました。
 マチュはカミーユがたどる別解のような存在だと思います。かつて富野由悠季監督自身が『Zガンダム』の劇場版リメイク『新訳Z』で描いたものとコンセプトは同じなわけですね。ただし、描かれたニュータイプ像は少し違いますが……少しややこしい話になるので、『ジークアクス』と『新訳Z』の比較は避けますが……。
 『ジークアクス』きっかけで『ファースト』や『逆シャア』を観た方には、ぜひとも『Zガンダム』と『新訳Z』を観てほしいところです。

4.水着マチュのエネルギーゲインが5倍すぎる

 にしても最終回ラストでニャアンと地球の海に行ったシーン……水着マチュのエネルギーゲインが5倍以上ない?(真面目な話をしていたのに急にキモオタの自我が出現するやつ)。
 マチュは身長がちっちゃいのに出るとこ出てて、なんというか、その……ふふ……。
 薄い本が楽しみですね!!!!

5.ジフレドかっこいいよね

 男の子らしい話をしたので、もう一つ男の子らしい感想を。「どのモビルスーツがかっこいいか」という永遠に終わらない話題です。
 僕は断然ジフレドが好きですね!
 なんだろう……カラーリングとか”ファング(※『機動戦士ガンダム00』におけるビット兵器)”っぽいビットとか、素直に僕の好みの機体です。
 あと、ニャアン自体は第一印象で好きってわけじゃなかったし、推しキャラはマチュなのですが、ジフレドのパイロットスーツのニャアンはめちゃくちゃかわいいと思います。
 「ニャアン、出ちゃいます」って出撃の掛け声も可愛すぎる。
 そんなこと言われたら僕も出ちゃ(自主規制)

6.ジオンの首都のデザインそのままなの?w

 『ファーストガンダム』で登場したジオンの首都”ズムシティ”ですが、デザインが変すぎて散々ネタにされた建物がそのまま登場しましたね。
 ちょっと笑っちゃいましたw

7.なんにせよハッピーエンドで良かった!

 『ジークアクス』は見事なハッピーエンドを迎えましたね。
 マチュとニャアンは仲直りでき、シュウジと向こう側のララァは救われ、シャアとこちら側のララァは無事会うことができ、シャリアとエグザべも殺し合うことなく生き残れた。
 まあいろいろ難しいことは抜きにして良かったです! 気持ちよく観られるガンダムでしたね!
 僕は正直、中盤くらいまでマチュがカミーユのようなバッドエンドにたどり着いてしまうんじゃないかと危惧していたのですが、無事に予想を裏切ってくれて満足しました!
 まあ、尺が短すぎてそれなりに問題も感じましたけどね。シイコさんやドゥーちゃんなど、意味ありげなキャラが早々に退場したり、シュウジの掘り下げがなさすぎてやっぱりマチュ→シュウジの恋愛にあまり感情移入できなかったりとか……。前半のクランバトルの部分で1クール使って、サイコガンダムによってマチュの日常が崩壊して2クール目でシャロンの薔薇の真相が明らかになってゆく……みたいな構成のほうがキャラクターへの移入や作品への理解がより自然に進んだ気がします。まあ、このテンポの爆速さが話題性に繋がっているという側面も否定できないので良し悪しではありますけどね。面白かっただけに、ジークアクスの世界をもっと堪能したかったというのが正直なところです。

8.結局シュウジって何者なんだよ!?(6/26 仮説を追記)

「わかりません。そんな都合のいいものではないですよ」

コモリ・ハーコート『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』より

(6/26追記)シュウジに関しては情報が少なすぎるので、本当に妄想の域を出ないながらも、おぼろげに仮説が思い浮かんだので書き留めておきます。はっきりいって超眉唾なので素直に信じないでもらえると助かりますw
 少ない情報量から僕が立てた仮説、それは「シュウジが”第一の世界線”におけるガンダムのパイロットだった」という説です。
 まず、僕が先に挙げた、薔薇ララァがいた”第一の世界線”の描写が最終回で示されました。ここでララァ&シャアVS”白い悪魔”という『ファースト』でも見た構図が描かれているのですが、実はガンダムのパイロットの声も顔も映っていません。”第一の世界線”が厳密にはファーストと似て非なる世界である以上、このシーンのガンダムのパイロットがアムロ・レイであると断定できないのです
 さらに、『ジークアクス』作中の娼館ララァは”白いMSの彼”を「純粋な人」と評しました。アムロとは断言していません。ここも視聴者へのミスリードだったとしたら……”白いMSの彼”が僕らの知っているアムロではなく、実はシュウジのことだったとしたら……。シュウジが”エンディミオン・ユニット”に対して「誰だ」と反応したのも自然なことだと考えられます。シュウジは”第一の世界線”におけるガンダムの本来のパイロットであり、ララァと幾多の世界線を渡ってもアムロなどという人物とは一度も遭遇しなかったのではないでしょうか。なぜなら、ララァが世界線移動した先にもその世界のララァがいて、ララァが二人になったということは、シュウジもまた世界線移動した先に「ガンダムパイロットとなる二人目のシュウジ」がいるはずです。その歴史ではアムロと遭遇する余地がありません。
 考えがあまりまとまっていないので文章がわかりにくくて申し訳ありませんが、まとめるとだいたいこうです。

「”第一の世界線”でシュウジが”本物のガンダム”のパイロットとなる→少年ニュータイプとして一年戦争で活躍(アムロと同じ歴史を歩む)→ララァと出会い、精神感応で互いに好意を抱く(アムロとララァとの出会いと同じ)→ララァ&シャアと交戦し、シャアのゲルググを撃墜する→ララァが絶望し世界線移動を開始する→シュウジも同様に幾多の世界線を巡る→それぞれの世界でガンダム(おそらくその世界のシュウジが搭乗する)がシャアを殺してしまうため、”第一の世界線”のシュウジがその世界を終わらせる→ジークアクス世界に薔薇ララァとシュウジが出現→ジークアクス世界ではシャアがガンダムのパイロットになるため、ジークアクス世界のシュウジは表舞台に出てこない(?)→ジークアクス世界には薔薇ララァの世界線移動に依存しない”エンディミオン・ユニット”が存在したため、これまでとは別の結末を辿る」

 これがシュウジの辿ってきた人生と仮定すると、一応筋は通っていると思います。つまり11話ラストでシュウジが持ってきた”本物のガンダム”はアムロのものではなく「シュウジ自身のガンダム」です。だから彼は「本物」と言ったのです。仮にガンダムの本当のパイロットがアムロだった世界線をシュウジが通っているなら、エンディミオン・ユニットの声を「誰だ」とは言わないと思います。
 シュウジが”第一の世界線”におけるガンダムのパイロットとするなら、コンチはハロに相当すると考えられます。
 ……ここまでが考察とも呼べるか怪しい妄想仮説なわけですが、どうでしょうか? 今のところ自分でも眉唾だと思っています。ただ、「シュウジがララァと同様世界線を巡る存在ならば、ジークアクス世界にもシュウジが存在するかもしれない」という視点は考察する上で重要だと考えています。今はまだ、この考えを深くは詰められていませんが……


CONCLUSION


 『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』、とぉーっても楽しめました! 劇場公開から半年間、SNSでも話題が尽きませんでしたよね! それから僕の前回のnote感想記事もありがたいことに好評で、嬉しい限りです。
 今回は妄想混じりの考察を書き殴ってみましたが、みなさんはどうお考えになったでしょうか? よければコメントで教えて下さい。
 
 ではでは今回はこのへんで。また何かのアニメや映画の感想記事を書いたらその時はよろしくおねがいします!
 本noteが面白いと思った方は、♡スキ、コメントなどお待ちしています!

  BGM:井上大輔『ビギニング』

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