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凪良ゆうーー『多類婚姻譚』

本作は全5編からなる連作短編集で、各ストーリーは独立しつつも、登場人物たちがどこかで少しずつ繋がり合っています(もちろん、一話完結として単体で読んでも十分に楽しめます)。

テーマはどれも「結婚」にまつわるもの。同性愛、独身ならではの焦り、結婚するかどうかの選択、離婚の理由、子育てなど、多くの人が人生で直面する葛藤が並びます。凪良ゆうさん得意の「現代人の複雑な感情の絡み合い」が、本当に丁寧に描かれています。

一冊を読み終えたあと、胸に残ったのは、人生のままならなさと、どうしようもないやるせなさでした。

本作は現代人のリアルで複雑な感情をありのままに映し出しており、あえて明確な「答え」を提示していません。そのため、どのエピソードもすっきりとした結末を迎えるわけではなく、「彼らの人生はこれからも続いていく」という余韻を残して終わります。

読んでいてモヤモヤしたり、焦れったくなったりしても、登場人物たちは決して「読者の思い通り」には動いてくれません。もし、スカッとするような「爽快なハッピーエンド」を期待しているなら、求めている読書体験とは少し違ってしまうかもしれません。

全体的に非常に引き込まれる内容で、文章もなめらかで一気に読めてしまいます。「結婚」というものに焦りや不安を抱く現代人にグサリと刺さる、素晴らしい切り口の作品です。

ただ、先ほども触れたように、読後にかなりのやるせなさが残る作品でもあります。もし今、まさに結婚への焦りや葛藤を抱えている真っ最中の方が読んだら、「本当にその通り!」と深く共感できる一方で、そのリアルなままならなさに胸が苦しくなってしまうかもしれません。読むときは、ご自身の心のコンディションと相談しながらページをめくることをおすすめします。

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