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【エッセイ】『堪忍の袋と地雷と、キッチンと』第10章:葛藤そして決断~「お前は帰って来ないだろ?」

義母との日々は、静かな水圧のようなものでした。
決して爆発はしない。
けれど、確実にじわじわと押してくる。
気づけば、
心の奥底に何かが沈みはじめている。
そんな感覚に、ふと気づく。
でも、
いちばん苦しかったのは、
彼女(妻)が、少しずつ義母に似ていくのを感じたことだった。
最初は表情。
次に言葉。
やがて、間(ま)まで、だんだんと似ていく。
あとで気づいたけど、あの豪快な鼻歌まで….v( ̄Д ̄)v
(ここだけの話…夜中に何度彼女を足でつついたことか…)
「あれ、それ義母の口調だよね?」
そう突っ込みたくなる瞬間が、増えていったけど。
でも、それを言葉にした瞬間、
僕の心の健康が危うくなる。経験者は語れる。
そう。地雷の位置は、もう覚えていた。

彼女自身は、かつて言っていた。
「私は母親みたいにはなりたくない」
でも、
人って、不思議なもので
なりたくないと強く願うほど、似てしまう。
それが家族の、怖さでもある。

僕はというと
仕事は順調だった。
趣味の音楽活動も、軌道に乗っていた。
地方イベントやTVにも呼ばれ、
休日はギター片手にステージへ。
でもその分、家を空ける時間も増えた。
彼女にも、子どもたちにも、
見えない“負担”をかけていたのかもしれない。いや負担を押し付けていた。

新潟での暮らしは、七年目に入っていた。
義母のいなし方も、だいぶ慣れた。
何を言えば火がつくか。
何を言わずにやりすごすか。
でも
このまま、ここにいたら
なにかが壊れる。
そう思った。
この寒く、どんよりした空を一生見上げながら暮らしていく自信がなくなってきていた。
その後、我が家には二女・三女が一年おきにやってきた。
“お父さん、頑張る期”は常時継続中だった。
いや、ずっと頑張っていたんだけど、もう“心の無理が効かない”ほどに忙しかった。
仕事も順調にこなし、県内の医療福祉系の協会にも関わり役職も任され、
行政からも評価され、新聞にも載るほどになっていた。
仕事も趣味も順風満帆。
けれど、心のどこかにずっとあった。
「そろそろ帰らないと、帰れなくなる」
凍える朝。
滑る道。
雪が降るたびに、思った。
ここで凍える日々をあと何年、あと何十年。
「ここで、一生を終えるのか?」
義母とのやり取りも、”現在のタスク”から「未来の義務」に変わっていく。
年老いた義母の介護は、きっと僕の担当になっていくのだろう。
いずれ回ってくるのは、俺の義務なのか?
そんな現実が、音もなく忍び寄ってきて、
いつの間にか、背中に貼りついていた。

そしてもう一つ、忘れてはいけないものがあった。
“約束”だった。
今は亡き叔父。
結婚を報告した時、一堂に会した親戚を前に堂々と結婚を反対してくれた、あの叔父。
口うるさいが、子どもの頃からいつも問いを投げてくる人だった。
それはクイズじゃない、ひねった問いで、
気づきの種だった。
子どもの心にグッとくるやつだ。
「お前、どうして人は逃げると思う?」
「風ってのは見えるのか?」
小学生のとき親戚が集まった席で、通学路3kmを歩数で数えた話を披露したら、誰も相手してくれなかった。でも、叔父だけは、聞いてくれた。
「すごいね。どんなして数えた?」
あのときの、自分が得意げに話した光景を、今も鮮明に覚えている。
僕が話している間、叔父は酔っているにも関わらず、相槌を打ちながら
「うん、うん。」と聞いていた。
正直、好きなタイプではなかったが、
そうした問答たちは、少年だった僕に、ものの見方や考え方のヒントを教えてくれた。
物事を違う視点で見ることの大切さなんかを教えてくれていたんだと、今は思う。
そして、最後に叔父がくれた問い。
「お前は帰って来ないだろ?」
その言葉に、僕は約束で応えた。
「ちゃんと向こうにも貢献してから、必ず帰ってくる」
あれから7年が経った。
居心地はよくなっていた。
社会的にも、音楽的にも、認められるようになっていた。
でも、
その“居心地”の端っこには、いつも叔父がいた。
「お前は帰って来ないだろ?」
夜、ギターの弦を弾くたびに聞こえるような気がした。
滞在7年目、
僕は島に帰る覚悟を決めた。
説得期間は、1年。
用意するのは、でっかい地雷。


章あとがき:「迷ったら、冷凍庫を開けろ」
「グズるな、出ろ。考えてるうちにチャンスは撤退する。」伊達政宗(たぶん)
アイデアを温めすぎて冷凍保存。
気づいたときには、商機は別の誰かと温泉旅行中。
なんてこと、ありませんか?
戦も仕事も、“一歩目”が遅いと、全部持っていかれる。
スピードこそ、勇者の証。
冷凍食品だって、ただの手抜きじゃない。
「すぐやる」ことで、笑顔が生まれる瞬間がある。
でも、もうちょっとだけ手をかけてみたら?
チンするだけじゃない“自分流”が、相手の心に残ったりするから。
そう考えると、
冷凍庫って、けっこう人生に似てる気がするんです。
しまいっぱなしじゃダメ。タイミングを逃さず、サッと出して温める。
それでもって、ちょっと工夫する。
次に冷凍庫を開けるとき、
それはもしかしたら、「宝の扉」かもしれませんよ?(キラーン☆)


巻末レシピメモ:冷凍食品は“愛と熱”で化ける!
「冷たいけれど、熱くなれる。それが冷凍食品のポテンシャル。」
その一:冷凍唐揚げの「南蛮風すっぱうま」
・材料:冷凍唐揚げ、酢・砂糖・しょうゆ(各同量)、タルタルソース(市販OK)
・作り方:唐揚げを温めて、合わせ調味料を絡める。タルタルをのせて完成。
・ひと言:酸いも甘いも噛みしめて、人は大人になる。唐揚げもまた然り。
その二:冷凍コロッケの「洋食屋さん風リッチアレンジ」
・材料:冷凍コロッケ、ケチャップ、ソース、牛乳ちょい足し
・作り方:ソース+ケチャップ+牛乳で「即席デミ風ソース」。
・ひと言:洋食屋に行けなくても、口の中が洋食屋になればいい。
その三:冷凍うどんの「肉味噌ジャージャー風」
材料:冷凍うどん、豚ひき肉、味噌・しょうゆ・砂糖・ごま油、ネギ
作り方:肉味噌をサッと炒め、温めたうどんにのせるだけ。
ひと言:もう冷凍うどんって超人的!!
その四:冷凍焼きおにぎりの「出汁茶漬け化」
材料:冷凍焼きおにぎり、白だし、三つ葉、わさび
作り方:おにぎりを温めて器へ。白だしのお湯をかけ、香りで昇天。
ひと言:疲れた夜、すべてを抱きしめてくれる出汁って、あるよね。
その五:冷凍野菜の「即席あんかけ炒め」
材料:冷凍野菜ミックス、ごま油、鶏ガラ・しょうゆ・片栗粉
作り方:炒めて、調味料でとろみをつけるだけ。中華丼にも転用可。
ひと言:冷凍庫には、人生を立て直すヒントが眠っている。

台所・心の一句:「冷えし戸を 開ける高鳴り 武者震い」


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