賞品・・・欲しかったな(チャレがや企画)
今はもう無くなった主催者が募集していたコンテストの話である。
香港の魅力について短いエッセイを書く公募があった。学生の頃に香港の魔力に憑りつかれて以来、わずかな期間に十数回は渡航していた私におあつらえ向きだと思った。しかも賞品は香港に関するグッズ。雑貨に目がないのでこれも魅力的だった。書くべき文字数だけを確認した途端、当時現地で食べた料理、散策した街並みが溢れるように思い出され、エッセイはあっという間に完成した。
応募して何週間か経った頃、主催者からメールが届いた。入選したのでホームページに載せる著者の写真を送って欲しいという。私は媒体に顔出しをしていないので、あの頃まだ一緒にいた猫さんを膝に乗せ、首から下だけが映った画像を送った。
発表はまだかなと毎日主催者のホームページを見て過ごしたが、ある時、ふと応募要項を見て、心臓がバクバクと鳴った。そこには「十八歳以上の女性」とあったのだ。男性の私は応募していけなかったのだ。おかしいと思い、そのコンテストを掲載していた公募雑誌を見ると、こちらには「十八歳以上」としか書いていなかった。それだけを見て応募したのだった。私は公募雑誌に心で悪態をついたが、二次情報のみを見て一次情報を確認しなかった自分が悪い。その自覚はあった。
それから私の中で葛藤が生じた。ペンネームで応募していたし、顔は映っていないので、主催者に告白しなければ発覚しないかも。賞品も魅力的だ。でも、もし応募資格に該当しないと発覚したら? どのような罰が? 結局、嘘をつき続けるには私は小心者過ぎた。数分後にはパソコンを開き、お詫びと受賞辞退のメールを打っていた。十八歳以上としか書いてなかったのに、と未練がましく呟きながら、謝罪の言葉を打っていた。お叱りを受けるかと思ったが、返信は無く、受賞リストからも外れた。
かくして、私の受賞は幻となった。かつてホームランを打ったがベースを踏み忘れてアウトになった野球選手がいたが、私はその人を笑えなくなった。残念だったが、印象に残る事件だった。香港が好き過ぎて要項も読まずに書き上げたのは迂闊だったが、好きな題材を書く時に発生するエネルギーの爆発を体験できた。それが唯一の収穫だったと思う。
(おわり)
~~編集後記~~
みくまゆたんさんのページを見て応募させて頂きました。よろしくお願いします。文字数は924文字です。応募条件から外れていたらごめんなさい(あれから不安になります)。
