国宝とは/人間国宝とは~書道作品の国宝10選~
お字書き道TALKSは「書道や文字って面白いし楽しいよ!」と何とかお伝えしたい!そんなチャンネルです。YouTube、Podcastもよろしく! スキ&フォローお願いいたします。
※有料記事になっていますが、全文無料で読めます。内容が面白かったら、記事終わりの「購入手続き」よりご支援をお願い申し上げます。

「国宝」と言うと、大ヒット映画『国宝』が思い浮かんでしまう昨今ですが、一般的な意味としては「国宝」つまり、「国家の宝」。
今回は、「国宝」にまつわる文化財、また、国宝指定の書道作品についてお話します。
この話のYoutube版はこちら↓↓
「国宝」文化財界隈の用語
我が国にとって歴史的に大切なもの、宝物、財宝、文化財。言い換えれば、文化的価値があると広く認められた国民の財産。
それを国を上げて保護・保存していることは分かりますが、ひと口に「たからもの」と言っても、様々な区分があります。
それらの一覧がこちら↓↓

これらは文化財保護法(1950年~)に基づき、各種の分類がなされています。

「有形/無形」は文字通りですが、ざっくり言ってこんな感じ↓↓
▼有形文化財
物理的に見える文化財(建物、絵画、彫刻、工芸品、古文書など)
Ex.姫路城、法隆寺金堂、尾形光琳「紅白梅図屏風」など
▼無形文化財
物理的に見えない文化的な「技」(演劇、音楽、工芸技術など)
Ex.能楽、歌舞伎、陶芸(備前焼など)、手漉き和紙(本美濃紙など)など
また、「指定/登録/選択」は細かく分類することで、国による保護や支援の範囲をランク付けしているといった感じです。
▼指定文化財(1950年~)
国や自治体が「特に重要」と認めた文化財
厳格な保護と支援が行われる。修理費補助、公開支援など手厚い
※有形・無形問わず幅広く
▼登録文化財(1996年~)
指定には至らないが、文化的価値があると認められた文化財
緩やかな保護であり、文化財の裾野を広げる役割。指定文化財よりも限定的な支援
※長らく有形のみだったが、2021年より無形も加わる
▼選択文化財(1975年~)
指定・登録文化財でもないが、消滅の恐れがあるため、記録等を講ずべき文化財
現物の保護ではなく、記録・伝承が目的。法的拘束力や補助金支給は基本なし
※無形のみ。主に民族無形文化財(津軽のイタコの習俗など多数)
「国宝」とは
文化財の頂点とも言える「国宝」。
「重要文化財のうち、世界文化の見地から価値の高いもので、たぐいない国民の宝たるもの」です。
有形文化財のうち、とりわけ重要で保護したい「重要文化財」、そしてその中でも超超大事なのが「国宝」というわけです。
「国宝」はすべて「重要文化財」とも言える。
「文化勲章」授章者はすべて「文化功労者」とも言える。

「国宝」の例⇓


「重要文化財」の例⇓


「国宝」は基本的に古いもの
国宝は、日本において歴史的価値が極めて高いものが認定されます。文化的・芸術的に日本を代表するレベルであり、それが、時代を超えて価値が証明されていなければならないため、自ずと古いものがほとんどです。
江戸~明治時代に制作されたもの(旧東宮御所(迎賓館赤坂離宮)1909年など)が最も新しい国宝で、それより現代のものはまだ国宝指定がありません。
ちなみに「人間国宝」とは
巷ではよく耳にする「人間国宝」。まさに、映画『国宝』は「人間国宝」の話でした。
しかし法律用語としての「国宝」は、有形物のみ。生身の人間は「国宝」にはなれません。どういうことかと言えば、
「人間国宝」は通称
「重要無形文化財」の個人の保持者(重要無形文化財保持者(各個認定))のことを指します。
重要無形文化財の「わざ」を高度に体得・体現している個人に対して認定されます。

書道は「登録無形文化財」(「人間国宝」はいない)
「書道」は日本の伝統文化!なので、歌舞伎がそうであるようにもちろん「重要無形文化財」?と思いきや。
「書道」は、そのワンランク下の「登録無形文化財」。
「登録無形文化財」自体も2021年に新設された新しい法律で、「伝統的酒造り」とともに最初の登録となっています。(文化庁広報誌『ぶんかる』書道の登録無形文化財への登録について)
また、来る2026年に「書道」を「ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)無形文化遺産」に登録を目指す動きもあります。
ちなみに、書道界の「人間国宝(重要無形文化財保持者(各個認定))」は、現在のところいません。
書道作品の国宝10選
国宝の分類としては、書道作品は美術工芸品のうちの「書跡・典籍」と「古文書」に含まれます。
現状、「書跡・典籍」の国宝は236件、「古文書」の国宝は63件です。
▼書跡(しょせき)
昔の書道の優れた作品(古筆)や、禅宗のお坊さんが書いた書(墨蹟)など
▼典籍(てんせき)
中国の古い本(漢籍)、万葉集などの日本の古い本(国書)、仏教のお経や教えを書いた本(仏典)、西洋で発行された本(洋本)など
▼古文書
古文書とは、個々の記録や日記、手紙などのことで、和紙や板に墨で書かれたもの
その中から選りすぐって、書道の国宝10選!
①平城宮跡出土木簡 (3184点)(奈良時代)
平城宮跡から出土した木簡群。日本が文字の黎明期だった頃に書かれたもの。内容は、行政文書・事務処理・荷札・文字の練習・落書き等にいたるまで幅広く書かれています。
隷書・草書・楷書といった様々な書風が混じり、文字黎明期の日本人の工夫を象徴するもの。平城宮跡では未だ発掘・出土が続いており、これからも点数が増える見込みなのだとか。

②風信帖 空海(774-835年)
真言宗の開祖弘法大師・空海が、天台宗の開祖伝教大師・最澄に宛てた尺牘(手紙)3通の総称。国宝の名称は「弘法大師筆尺牘三通」
空海は、日本の書道史として名が上がる最も古い書道の重要人物のひとり、三筆(空海・嵯峨天皇・橘逸勢)のひとりです。日本仏教史としても当然貴重だが、日本書道史においても非常に重要な作品。

③屛風土代 小野道風(894‐967年)
「和様の書」を確立した重要人物、三蹟のひとり小野道風の書。
醍醐天皇の勅命によって大江朝綱が作った漢詩を、屏風に仕立てる前の試し書き(土代)したもの。(書道作品は何の気なし(卒意)に書いたものが超逸品として残っているものが多い(『蘭亭序』『祭姪文稿』、その他尺牘(手紙)など)
『小野道風筆三体白氏詩巻』『秋萩帖』も国宝。

④白氏詩巻 藤原行成(972‐1028年)
『白氏文集』(白居易)巻第65から8篇の漢詩を揮毫したもの。小野道風と並んで、「和様の書」の重要人物、三蹟のひとり。
軽やかで洒落ていて、明るい書風で書かれている。
これ以外にも、藤原行成の書は複数国宝となっている。

⑤離洛帖 藤原佐理(944‐998年)
赴任の際、摂政の藤原道隆に対して挨拶を失念していたことを思い出し、甥にとりなしを依頼した詫び状。
詫び状にも関わらず自由闊達な筆致は現代でもファンが多い。

⑥大燈国師墨蹟〈関山字号〉宗峰妙超(1283‐1338年)
鎌倉時代の臨済宗僧侶である、宗峰妙超。諡号(しごう)の「大燈国師」の名前で知られています。墨蹟とは、広義に筆で揮毫したものを指しますが、狭義では禅の僧侶が書いた朴訥とした書(「禅林墨跡(ぜんりんぼくせき)」)を指します。中国禅宗を学んだ僧侶たちが帰国し、日本独自に発展させていったもので、「和様の書」に次ぐ新しい日本らしさのひとつ。
この他にも墨蹟は何点も国宝指定されています。

⑦上杉家文書(2018通)(鎌倉時代~江戸時代)
旧米沢藩主上杉家に伝来した古文書群。南北朝・室町時代の文書を中心に、江戸時代にいたる二千余通を存している。
藩主の家のまとまった記録であり、歴史的資料としてとっても貴重。

⑧高野切 作者不詳
平安時代に書かれた『古今和歌集(905年)』の写本(現存する最古)。「古今集巻第十九残巻(高野切)」の他、第五、第八、第廿が国宝に指定されている。かな書道の最高峰とされる。
筆者は紀貫之と言われてきたが、生没年と書かれた年代が合わず、現代では書風の違いにより3人(第一種・第二種・第三種)の能書が寄り合いで書かれたものと考えられている。

⑨古今和歌集(元永本)上帖
平安時代に書写された『古今和歌集』は30数種が現存していますが、仮名序と20巻すべてが完全にそろったものとしては最古の写本。
藤原行成の曾孫・藤原定実が筆者であるというのが有力説。模様が施された色紙や、金箔・砂子などを散らした、とても艶やかな紙に書かれている。

⑩和漢朗詠集(唐紙)(粘葉本和漢朗詠集)
平安時代に貴族の間で朗詠に適した漢詩文の秀句と和歌を題ごとにまとめた詩歌集。粘葉装に装訂されていることから「粘葉本和漢朗詠集(でっちょうぼんわかんろうえいしゅう)」とも呼ばれる。
「高野切第三種」の筆者と同筆と言われている。

残念ながら全ての国宝作品の画像をまとめてみるサイトはありませんが、日本の名品が手軽に見られるので、他の国宝もぜひチェックしてみてください!
【お礼とお願い】
お読みくださりありがとうございました!!
皆さんに読んでいただきたいと思い、全内容を無料公開にしています。
もし記事が「面白かった」「タメになった」という方は、下の【購入手続き】より、投げ銭のご支援をいただけますと大変励みになります。
♡スキだけでももちろん嬉しいです。
引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。
(これより先に文章はありません)
★note 毎週火曜19時更新
★Youtube 毎週土曜17時更新
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければサポートお願いします!いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!