スマホとカードがあれば十分…そう思ってた私が“現金”の意味を考え直した理由
クレジットカードとスマホさえあれば、現金を使うことなんてほとんどありません。
私もそんなキャッシュレス派の一人で、財布にはクレジットカード1枚と1万円札、それだけで充分だと思っていました。
でも先日、病院の待合室で見たニュースに思わず手が止まりました。
スウェーデン政府が、「1週間分の現金を備えるように」と国民に呼びかけていたのです。
実は、私はそのとき初めてスウェーデンが“キャッシュレス先進国”だと知りました。
そんな国が、なぜ今さら現金を? とちょっと不思議な話です。
けれど、その裏にはサイバー攻撃や地政学的リスクという、私たちにとっても他人事ではない背景がありました。
「現金なんて、もう必要ない」と思っていた私が、あらためて“備え”について考え直したきっかけを、今日は書いてみようと思います。
キャッシュレスが当たり前の生活
私の財布の中には、クレジットカードが1枚、マイナンバーカードが1枚、1万円札が1枚、そして家の鍵だけが入っています。
いわゆるミニマリストというほどではないかもしれませんが、できるだけ持ち物は少なくしたいと思っています。
支払いも、できる限りスマホやカードで済ませています。現金を使う機会は、この数年でぐっと減りました。
もちろん、まったく不便がないわけではありません。
ラーメン屋や歯医者など、いまだに現金しか使えない場所もありますし、会社の人たちとランチに行って割り勘になったときに小銭が足りずに戸惑うこともあります。
そんなときは、PayPayで送金したり、1万円札をくずしてなんとかやり過ごしたりしています。
正直、それくらいのことで困っているという感覚はあまりありません。
地方に出かけると、現金しか使えないお店がまだまだ多いと感じます。
ですが、1万円札が1枚あれば、大抵のことはなんとかなります。
私にとって現金は、「あれば安心かな」という程度の存在でした。
普段は使わないけれど、念のために入れている。
深く考えたこともなく、言ってしまえば“お守り”のようなものでした。
そんな私が、「やっぱり現金って必要かもしれない」と思ったきっかけがあります。
それは、病院の待合室で何気なく流れていたテレビのニュースでした。
病院の待合室で見た、スウェーデンのニュース
先日、病院の待合室でNHKのニュースをぼんやりと眺めていました。
そのとき、「スウェーデン政府が国民に対し、1週間分の現金を備えるよう呼びかけている」という報道が流れてきました。
スウェーデンは、キャッシュレス社会の先進国として知られています。
その国が、いまになって現金の備蓄を促している──そのギャップに、私は違和感と興味を覚えました。
背景には、サイバー攻撃への懸念があります。
たとえば2021年には、スウェーデンの大手スーパーマーケットチェーン「Coop」が、ランサムウェアの被害により全国約800店舗の営業を一時停止しました。
Coop自身が直接攻撃されたわけではありませんが、同社が利用していたITサービスが米国のKaseya社のソフトウェア経由で被害を受けたことで、POSレジや決済システムが完全に停止したのです。
そのニュースを見たとき、私は「ああ、なるほどな」と思いました。
小売業がランサムウェアにやられれば、レジも止まるし、現金も使えない。そう考えれば、現金の備えが必要だというのは理解できます。
しかしそれだけではありません。
スウェーデン政府の呼びかけの背景には、ロシア・ウクライナ戦争を受けた地政学的な緊張の高まりもあります。
2024年、スウェーデンは中立政策を転換し、NATOに正式加盟しました。
それ以降、ロシア系とされるハッカーによる政府機関や企業へのサイバー攻撃が相次ぎ、国内では「もしもの時」の備えとして現金の確保が再び重視されるようになっています。
スウェーデン政府の呼びかけは、単に現金の話だけではありませんでした。実はこれは、スウェーデン民間防衛庁(MSB)が国民に促している、食料や水、医薬品などの備蓄も含む、より広範な「危機時の備え」の一環なのです。
正直に言えば、最初は「別の店に行けばいいのでは?」という軽い印象もありました。
でも、「いま現金を推すなんて…」という引っかかりが残りました。
キャッシュレスを勧めていた国が、あえて現金を備えようとしている。
それは、ただの逆行ではなく、「万が一への備え方」の姿勢だと思いました。
日本とスウェーデン、キャッシュレスの進み方の違い
病院の待合室で見た「スウェーデン政府が1週間分の現金を備えるよう国民に呼びかけている」というニュース。
その報道に対し、私は「たしかにそうなるよな」と思いました。
キャッシュレス化が進みすぎた社会では、システムが一度止まれば、買い物も物流も止まってしまう──それは当然の話だなと。
一方で、日本はどうでしょうか。
2025年1月にMMD研究所が実施した調査によると、日常の買い物などで現金を利用している人は77.0%にのぼるそうです。
一方で、クレジットカードは57.0%、QRコード決済は46.7%と、キャッシュレス決済の普及も確実に進んでいます。
MMD研究所:2025年1月「スマートフォンを利用した決済に関する調査」
また、経済産業省の発表によれば、日本のキャッシュレス決済比率は2024年に42.8%に到達しています。
私自身、日常の支払いはほぼすべてキャッシュレスです。
それでも、財布には最低限の現金(1万円)を入れています。歯医者やラーメン屋、地方出張など、いまだに「現金しか使えない場面」に出会うことがあるからです。
だからこそ、スウェーデン政府の呼びかけも「キャッシュレスが進んでいるからこその備え」だと、すっと腹落ちしました。
便利なものほど、止まったときの影響が大きい。それはセキュリティの考え方とも通じます。
「進んでいないから備える」のではなく、「進んでいるからこそ備える」。
現金の備えは、古くさい行動ではなく、リスクヘッジとして合理的な選択なのだと、改めて感じました。
キャッシュレスもセキュリティも「備え」は0か100ではない
「現金を持つか、持たないか」──。
このニュースをきっかけに、そんな二項対立で考えてしまいがちですが、実際にはもう少しグラデーションのある話だと私は感じています。
たとえばセキュリティの世界では、「100%安全な手段」というのは存在しません。
どんなに強固な認証を導入しても、攻撃される可能性はゼロにはならず、「万が一の備え」や「多層的な対策」が前提となっています。
それと同じで、キャッシュレス社会も「全てをデジタルにするか」「現金主義に戻るか」という極論で語るべきものではありません。
普段はキャッシュレスを使いつつも、いざというときの“バックアップ”として現金を用意しておく。
それはむしろ、デジタルに依存する社会だからこそ必要なリスク管理の発想だと思うのです。
災害や停電、サイバー攻撃──。
どんなに便利な仕組みでも、「使えなくなる可能性がある」という前提を持っておくことは、けっして後ろ向きなことではありません。
私自身、財布の中にはクレジットカード1枚と最低限の現金しか入っていません。
けれど、その「最低限」の現金は、キャッシュレス未対応の店などに出くわしたとき、何度も助けてくれました。
「便利」だけに寄りすぎず、「脆さ」も見ておく。
それが、現代の生活におけるセキュリティであり、備えの姿勢なのではないでしょうか。
どのくらい備える? 自分に合った「ちょうどいい現金」
スウェーデン政府が呼びかけているのは、「1週間分の現金を備えること」。
食料や医薬品といった物資の備蓄と同じように、決済手段としての現金も「いざというときに困らない程度」は持っておこうという考えです。
とはいえ、「1週間分の現金」ってどのくらいでしょうか?
家族構成やライフスタイル、住んでいる地域によって大きく変わると思います。
私自身は、財布に1万円札を1枚だけ入れています。
都市部で生活していて、ほとんどの支払いはクレジットカードや電子マネーで済ませているので、それで特に困ったことはありません。
困るとすれば、現金しか使えないラーメン屋や歯医者に行ったときくらいです。
けれど、地方に出かけたり、災害が起きたり、通信障害が発生したり……。
「キャッシュレスが使えない」という状況は、私たちの意志とは無関係にやってくる可能性があります。
つまり、「どれくらい備えるか」はリスクとの向き合い方のバランスなのだと思います。
普段はキャッシュレスでいいけれど、1万円だけは常に持っておく
3日分くらいの現金は保有しておく
災害時を想定して家族の人数×1日分×7日分の現金を分けて保管しておく
こういった備え方は、どれも間違っていません。
「これだけあれば自分は安心」と思えるラインを、自分なりに考えておくことが大事だと思います。
現金をたくさん持てばいい、という話ではありません。
キャッシュレス派こそ、「使えない状況」を一度イメージしてみる──
それだけでも、日常の安心感が少し変わってくるのではないでしょうか。
便利さの裏側にある、脆さを忘れない
今回のニュースは、単なる「海外の話」では終わりませんでした。
むしろ、キャッシュレスを日常的に使っている私にとっては、どこか身につまされる内容だったように思います。
「キャッシュレスが止まったら困る」というのは、実は多くの人がどこかで感じていることかもしれません。
ただ、普段はあまりに便利なので、その脆さに気づかないだけで。
スウェーデンのようなキャッシュレス先進国が、「現金を1週間分持ちましょう」と言う背景には、
「便利さが極まったからこそ、備えが必要だ」という非常に現代的な矛盾があります。
でもこれは、私たちにもまったく同じように当てはまる話です。
セキュリティでも、災害でも、サイバー攻撃でも──
“当たり前”を疑い、いざというときの想像を少しだけしておく。
その習慣があるかないかで、いざというときの安心感はきっと大きく変わってきます。
私は今日もキャッシュレスで支払いを済ませます。
でもそのポケットには、いつものように折られた1万円札が入っています。
あなたは、「使えない時」を想像したことがありますか?
いいなと思ったら応援しよう!
ありがとうございます!いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!