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原稿を削る前に、私が著者さんに必ず確認すること

初めて商業出版に挑戦する著者さんとのやり取りで、とてもよく起きることがあります。企画の時点で決めたターゲット読者には必要のない内容を、原稿に入れたくなってしまう現象です。

もちろん著者さんが良かれと思って提案してくださるものですし、その内容自体も良いものであることが多い。ただ、問題はそこではありません。


■ 「良い情報かどうか」は判断基準にならない

商業出版をする著者さんの多くはサービス精神が旺盛です。少しでも読者のためになる本を出そうと、情熱をもって向き合ってくださいます。それゆえに、あれもこれも盛り込もうとしすぎてしまう。

このとき本人の中では「良い情報だから入れる」という判断が働いています。ここが落とし穴です。良い情報かどうかと、その読者に必要かどうかは、別の問いだからです。

前者だけで判断していると、原稿はどこまでも膨らみます。良い情報は無限にあるからです。

■ 私が最初に確認すること

そこで私が最初にやるのは、削る作業ではありません。著者さんに確認を投げます。

「この本の読者ターゲットって、こういう人ですよね?」

要不要は、原稿の中だけを見ていても決まりません。誰に向けた本なのかが定まって初めて、足すかどうかの判断ができます。順番が逆になっていると、議論は「この一節は良いか悪いか」の水掛け論になってしまいます。

これはいきなり削除の提案をするのではなく、前提の共有として伝えます。何を削るかの話ではなく、誰に向けた本かの話にしておくほうが、そのあとの判断がすべて早くなります。

■ 迷ったら読者像に立ち返る

私自身も、迷ったときは必ず原点である企画書で想定した「読者像」に立ち返ります。これをしないと、結局原稿の追加要素を入れるべきかについて冷静な判断ができません。

価値はあるけれど、読者に必要のない情報を入れないという行為は、内容の質を落とすことではありません。この本(コンテンツ)を「誰」に届けるかを決め切る、ということです。

その読者には必要のない「価値ある情報」は、むしろ入れないほうが良い場合も多いのです。

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