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【短歌】あまじょっぱい幻影

ぼりぼりと
噛めばこぼれる
ザラメ糖
捨てて空耳
母のぐちぐち

先日おいしいせんべいをいただいた。
カレーせんにごぼうおかき、そしてザラメせんべい。
どのせんべいを食べる時もそうだが、大きなものならば個包装の袋の中でまずばきばきと割ってから食べる。
立派な厚みでたっぷりザラメが載ったせんべいなら、なおさら、床やテーブルにこぼさないよう、歯を酷使しすぎないよう、とくに気を遣う。
食べ終わるころには袋の隅に透明のきらきらが溜まり、私はそれをゴミ箱に流し入れてからプラスチック用の袋に個包装袋を捨てた。
せんべいからはぐれたザラメをゴミとして捨てたとき、遠い昔、実家でそれをコーヒーに入れた母にぎょっとしたことがふと思い出されてしまった。

私の母はケチだ。
揚げ物の油は秘伝のタレみたいに継ぎ足すし緑茶やドリップコーヒーの出がらしをもう一度使う。フローリングワイパーのシートは何日も使いまわす。
今そばにいない母に、「あんたそれ捨てるの」と非難されたようなきまり悪さ。実家を離れて何十年経とうと、まだそんな感覚が残っている自分が情けない。
私を非難したのはあくまで幻影だ。実物の母はどうだろう、「健康にもよくないしそんなことしない」と言うだろうか。「今砂糖だって高いんだから」と、小皿にせっせとザラメを集めるのだろうか。

カッコつけてみたところで、私もショートケーキのフィルムは一生フォークでこそげ取るだろうなとは思っている(ヨーグルトの蓋の裏は最近技術の進歩で全然中身がくっつかないようになった)。

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