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歳時記を旅する68〔冬〕中*立冬や湯気割つて入る立ち食ひ屋
佐野 聰
(平成六年作、『春日』)
伊吹山麓の米原(※)の冬について、宮脇俊三『最長片道切符の旅』で触れられている。「米原駅は東海道本線では異色の駅だ。表日本の大幹線なのに北陸の情趣が漂っている。北陸本線の起点の駅で地勢的にも北陸に近く、冬になると東海地方は晴でも米原は雪、という日が多い。そういう駅だから立食いそばがよく似合う。きょうはみぞれが降っていてとりわけ寒く、湯気が勢いよく立っている。…」昭和五十三年十一月二十九日の旅の記録である。
立食いそばに誘われる三要素は、冬の寒さ、出汁の匂い、そして句のような割るほどの白くて濃い湯気。
(岡田 耕)
(俳句雑誌『風友』令和七年十一月号「風の軌跡ー重次俳句の系譜ー」)
※米原の位置

