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【読書泊のしおり】心地よく本に浸る旅

読書泊は読書ハック

本を読むことを目的に隣街のホテルで宿泊したり。
グランピングで心ほどける読書をしたり。
物語やエッセイの追体験をするため旅に出たり。
世界一の図書館を味わいに海外へ飛んだり。

今まで何気なくやってた本に浸るための活動が、近年「読書泊」と呼ばれ注目を集めているようです。

読書泊とは、読書を目的とした旅のこと。
じわじわ脚光を浴びていて、検索すると、関連グッズ、ライブラリーホテルやブックカフェまで心が躍る情報に出会うことができます。

本が好きで司書資格を取り、旅が好きで世界一周までしてしまった私が、僭越ながら読書泊の魅力をまとめてみました。
すでに楽しんでいる方も多いとは思いつつ、これから読書泊を試してみたい方にとって、一歩踏み出すきっかけになれば幸いです。


そもそも「読書泊」とは?

読書泊の提唱者や定義は明確化されていませんが、「読書泊とは、読書を目的とした旅のこと」を指します。

以前よりSNSではそのワードが挙がっていましたが、『博報堂のヒット習慣予報』での紹介が脚光を浴びたひとつのきっかけとなっています。
(余談|取り上げられた中川さんの著者『本能スイッチ』は無意識のメカニズムが満載で面白い!絵本感覚で読めるため読書から離れている人は始めの1冊としてどうぞ~)

一方で、周りから「読書は好きだけど、読書泊はしたことない(してみたい)」といった声も聞こえてきたので、改めて「旅」について辞書で引いてみました。すると、旅の定義は様々ですが、共通しているのが「住居から離れること」。

つまり、読書泊の入り口は、「家の外で本を開くこと」になります。
読書”泊”だから意味的には宿泊を伴わなきゃ、とか、読書が目的じゃないなら違うのでは、といった声も聞こえそうだし、私もセルフでツッコんでおきますが、定義から拡大解釈するとそこまでハードルを下げられるようです。

読書が目的としていないまでも、本を持って外出したり、ステキな本棚があるブックカフェへ行ったり、気づかないうちに“読書泊っぽいこと”を実践している方って多いんじゃないかな、と思っています。


場所が変わることで読めた経験

あるお悩み掲示板に「読書のための旅って話したら、友達に“それって家でもできるのにもったいない”って言われちゃって…」という、ちょっぴり寂しい声が投稿されていました。

本来であれば読書って家でもできるものなんですよね。そうなんです、おっしゃる通り!本当にそうなんですが、私が在宅勤務なのもあり、家は日常が詰め込まれ頭がパンパン状態。恥ずかしながら、家ではあまり読書スイッチが入りません……。

本を読むぞーと思っていたのに、気付いたら家事してたり、最初は読めていても途中から文字を追っているだけで頭に入ってこなかったり、読書スイッチ私のどこにあるんだろ~♬(現実逃避)という日々が続いていました。

どうしたら本が読めるかなぁと思っていましたが、私の場合外に出たことで”…カチリ”と気持ちが切り替わり徐々に読書を楽しめるようになってきました。

読書泊で本が読めるようになったのは、さまざまな理由があります。

・空間が変わることで本を読むための余白ができる
・旅の新しい刺激や風を受けて気持ちが変化する
・日常を遮断することで読書を主役にできる

三宅 香帆さんが書かれた『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』が2025年の新書大賞受賞を中心にベストセラーになっており「ふだん読書ができない」と課題に感じている人は多いのでしょう。

読書泊の魅力を語っている私ですが、他方で旅に出ても仕事や日常で頭がいっぱいで活字が読めなかったり、とにかくお酒に溺れたいとページが進まなかったりする時も正直あります笑。それも含めて、読書は一種の体調バロメーターであり、一度自分の状態を俯瞰するためにも読書泊をしています


難しく考えず旅に出て本を読む

人間は「やりたいことを始めるまでの時間が増えるほど、実行するために多くの意志や気力が必要になる」という性質があります。

ハーバード大学ショーン・エイカーさんの『幸福優位7つの法則』やコロンビア大学ハイディ・グラントさんの『やり抜く人の9つの習慣』に関わる内容で、私がこの話を聞いたとき普段周りに置いてあるもののことを思い出しました。

積読です。

いつか読もう、寝る前に読もうと部屋の隅やテーブルの上、布団のそばに佇む積読たちが今もこちらに向かって無言の圧力を放っています。(本は悪くない、私が悪いんや……!)


積読するほど、腰は重くなる。さらに、部屋も掃除しにくくなるという負のループ。本来読書がしたいことのはずなのに出来ない自分のダメさっぷりに日々葛藤しています。

読書泊をするほどでもないものの、いい加減読みたいなぁと思って休日公園のベンチで本を読んでみました。すると、少し外に出ただけなのに、風や鳥のさえずりを感じながら、家にいるよりは本をだいぶ気持ちよく読めている感じがありました。

まだまだ発展途上な「読書泊」。
現段階で読書泊の明確な定義はありません。

今回記事を書くにあたり調べる中で、読書や旅に対して熱い思い・激論に触れる機会がありました。ビビりな私による弱腰でのつぶやきですが、もっと読書も旅も読書泊も自由でいいんじゃないかなぁと思っています。

読書泊が普及していったら嬉しいけれど、色んな理由で難しいという方は、まずは本を読むために外に出るというプチ読書泊から始めてみてはいかがでしょう。

積読がある方は持って公園へ、これから読みたい本を探す方はブックカフェへ。小さな行動の実行でも重ねることで、もしかしたらやりたいことへの意思や気力につながっていくかもしれませんよ。


いつでもどこでも読書泊

気付いたら本も旅も好きで、読書泊っぽいことをしてきた私ですが、実際にしてきた読書泊についてもいくつか紹介いきます。

近所のホテルで読書泊

まず、最初にご紹介するのがわざわざ近くのホテルで読書をした事例です。
近所なら重い荷物(本)も運びやすいですし、わざわざ観光する必要もないため読書に集中できます。

思い出深いのは、コロナウィルス禍が落ち着いてきた2020年8月の読書泊。長期休暇だけれど、遠くに行くのに抵抗があり、思い切って当時住んでいた場所の近くにホテルを取ってみました。

近所に泊まるのに、本を運ぶためにわざわざスーツケースで行くなかなか不思議な体験。

我が家にいるナマケモノさんも連れてきた

なかなか外に出るのも難しい環境はうまく呼吸ができないような閉塞感でしたが、ホテルで読書をしたことで空気が美味しいと少し感動してしまったのを覚えています。

家から大した距離ではないけれど、読書の効果も相まって心はすごく遠くに旅に出れたような、そんな気持ちになりました。

1階が24時間灯りの消えない街の本屋さん
『ランプライトブックスホテル』

コロナに限らず、諸事情でなかなか遠くに旅行するのが難しい方もいらっしゃいますよね。

もし読書泊にご興味あれば、最初の一歩として近くでホテルを取って本を読むだけでも気持ちが遠くに旅していけるのでオススメです。


みんなでもやっちゃうよ!読書泊

「読書泊=ひとり旅」という印象が強いかもしれません。私自身もひとりで行くことも多いのですが、家族や友達と一緒に楽しむ時もあります。

ちなみに、家族は普段全く本を読みません笑。スマホが手放せないポイ活パトロール隊です。

意思は尊重したいが……
ここでやらなくてもと思っているポイ(本音)

この時に主催者(私)は、「読書泊」を押し付けないということを肝に銘じておくことが大切です笑。まずは、イライラしないように自身の読書泊に集中します。そして、この活動がホテルでまどろむのに最適だということをさりげなく伝えていきます。

数時間後、自然と家族も本棚へ。

釣れました。

何回か読書泊的なことを家族でしていて、読んだ本が普段しないような会話のきっかけになることも。例えば、せなけいこさんの絵本『ねないこ だれだ』や、国語の教科書に載っていた椎名誠さんの『ヤドカリ探検隊』の話などなど。

この時同じホテルに泊まっていたご家族も揃って読書していたり、友達でもお子さんと一緒にステキなブックホテルをめぐったりしていて、読書泊はひとりではもちろん家族や友人と一緒に過ごすアクティビティにもなります


遠くへ行けばエンドレス読書泊

近くからも始められますが、遠方へ足を運んでの読書泊も紹介します。観光と併せて、その時にすてきな本棚に出合うための施設を選んだり、本のモデルとなった場所を組み込んだりすると読書泊が捗るかもしれません。

最近は、個性派本屋さんがひしめく京都で読書泊をしました。雑誌でお見掛けしてずっと行きたかった、ブックディレクターの幅允孝さんと奥さまがやられている「鈍考」を訪問!

家具や空間にもおもてなしが溢れていて…
すごく贅沢な心地よい体験でした。

夜は、たまたまホテルで森見 登美彦さんの小説のモデルになってるBarが近くにあると知り、ふらりと立ち寄ってみたり。

その結果、Barで思わぬ1冊と巡りあったり。


本を読むために旅もするし、遠方に行くなら本を読むことで旅につながった場所を訪れるのも楽しいです。本にまつわる場所に行くと、よく次に読みたい本と出会ってしまい……。読んで旅して、また読んでと、読書泊の無限ループ。エンドレス読書泊の沼に浸かっていきます。


実践|読書泊のしおり

とくに読書泊は明確な定義もないため、基本姿勢は「身構えるな、気持ちひとつで旅で読書を愉しめ、以上!」ですが、漠然とし過ぎて、それで踏み出せない人もいるかもしれません。

というわけで、読書泊提案のしおりを紹介します。(我流のため一意見です。←弱腰継続中)


旅先|ブックホテルor自然の中?

極論「読書のために家から出たら読書泊」のため旅先はどこでも問題ありません。その一方で、読書泊でどこに泊まるか悩まれる方にオススメしたいのが、ブックホテル、または、自然を感じられる場所です。


もし読みたい本がないけど読書がしたい方には、ブックホテルやライブラリーホテルと呼ばれる宿泊施設。近年、リブランディングで読書泊をコンセプトとしているホテルも増えています。

押上リッチモンドホテルプレミアスコーレは
TSUTAYAのSHARE LOUNGE併設
松本本箱はリノベーションで旅館のお風呂が本棚に。
訪問時、宿泊は別にしてしまったのでいつか!
今回の記事で何度か出ている印象的な白い砂浜
星野リゾート リゾナーレ熱海
大塚、軽井沢、沖縄…
星野リゾートには地域の内容を中心とした本の数々

すでに選書された本が置いてあるので、目に留まった本を手に取るだけでも、段々と自分の好みがわかるようになっていきます。また、読んでみてもっと他の本も読みたい、とか、逆に相性悪いかも……と思っても次の1冊に挑戦可能。

すでに宿泊が決まっているため、駆け足ではなくのんびりと本に向き合えるのもオススメポイントです!

一方で、既に積読気味で読みたい本が決まっている方は、自然の中の読書に挑戦してみてはいかがでしょう。グランピング施設や自然の中のホテルなど、川のせせらぎや、新緑の匂い、そよ風など自然を浴びながら五感で読書をすると、不思議と深呼吸ができるんです。

静岡・御殿場ではグランピング!
ハンモックで読書泊
近くにこんな雄大な自然があるなんて…
埼玉・長瀞で読書泊


自然の中で読書すると心が開放されるんですよね……先日は、大宮エリーさんの『東大ふたり同窓会』でボタボタ涙が。(もしかしたらタイトルに”もやっ”とされる方もいるかもしれません……よろしければ最後の8行だけでも!)


持ち物|本を持って行く分を考慮して調整

本は、デジタル派・紙派が(世界の学術論文でも論争が)あるので、それによって量も違いますが、特に紙派の方が本を持参する場合に自分が気持ちよく読める量を把握しておくとよいかもしれません。

本を読むにも体力が必要で、私が1日に読めるのは全集中+予備で2-3冊くらい(漫画も含めると7ー8冊)。以前は欲張って本を持込みすぎて溺れてしまったり、1冊だけ持参し読めないのか本との相性が悪いのか分からない時がありました。

他の本にも切り替えられるため、まずは数冊の持参から始めてみてはいかがでしょう。また、持ち物が多いと管理や単純に重量面で「本を読む体力」が削られてしまうこともあるので、よーし読むぞ!な旅には、なるべく荷物は少ない方が読書に集中できるかもしれません。

ほかにも、気分をアゲるアイテムとして、最近読書に合わせた手帳やバックなど色々なグッズも出ているので気になる方はご活用をー!


工程|なくてもOK!気ままさが魅力

旅先でどんな観光地に行きたいか調べたい人もいるかもしれませんが、読書泊の場合、宿泊先さえ決めてしまえばほぼ実行可能というシンプルさ。

もちろん観光地と併せてもいいですし、純粋にどっぷり本に浸るのもアリです。

読書泊する予定がなくても、雑誌やネットなどで行きたいホテルやステキな本棚をもつ施設が見つかったら、メモしておくといざという時の読書泊つながることも◎

私の場合は、スマホのメモアプリにまとめています。気分転換したくなったり、遠方の場合は地域での読書スポットが溜まってきたら訪問する機会が多いです。


応用編|広がる読書泊

「読書を目的とした旅」なら、色々な応用方法も可能です。読書泊の応用編についても簡単に3つ紹介します。

まず1つ目が「ステキな本棚を探しに行く旅」です。

現在、全国各地に書棚が併設されている「ブックカフェ」が増えています。オーナーさんの想いが詰まったストーリーある選書に触れる中で、普段は手に取らない1冊と出会えるかもしれません。

ちなみに、そのまま本を購入できるカフェも多いです。気に入った本を旅先で集めてそのまま読書泊へ向かう旅も面白いですね。私自身のnoteでも紹介しているのでもし気になる場所がありましたら!

2つ目が「旅先に合わせて本を選ぶ」です。
服を選ぶように旅先に合わせた本を選ぶのもオススメです。旅に向かっている途中や現地でその地域での新たな側面を発見したり、主人公と一緒に旅をしているような気分になります。

過去、世界一周をした時には、幼い時に読んださくらももこさんの『世界あっちこっちめぐり』のスポットを追体験してきました。

ちなみに海外の安宿を中心に、旅行者が寄贈した本棚があるケースもあります。私も行きの飛行機で読んだ本を何冊か寄贈したり、誰かから引き継いだりしました。(旅先の本棚では沢木耕太郎さんの『深夜特急』をよく見かけます。みんなインスパイアされて旅に出たのかな。)

3つ目が、「読書合宿」です。
まだやったことありませんが……過去読んだ記事の中で、読書合宿と称して、事前に本をダンボールで宿泊施設へ送っておく読書泊のプロもちらほらお見掛けしました。

もはや仙人のような読書泊上級者ですね。
大量の本をまとまった連休で読むぞと決めている方によいかもしれません。


まとめ

もともと私が1人で旅を始めた15年前には、女性のひとり旅に対し否定的な意見や偏見がそこそこありました。過去上司から「娘が(私のように)ひとり旅したいって言ったら泣く」と嘆かれたのを覚えています。

それから時間が流れ、「ソロ活」や「ひとりっぷ」という言葉も普及したように、誰でも自分らしく旅が楽しめるようになってきましたよね。

途中、お悩み相談掲示板の投稿もそうですが、「読書泊」という言葉がもっと普及していけば、彼女の困惑も笑顔に変わるはず。


読書も旅も好きなので色々語りたいことは尽きませんが、まずは「読書泊」がもっと盛り上がるように応援していきたい。そう思っています。



すでに読書泊をされている方は宿やシチュエーションなど、ぜひオススメを共有してもらえたら嬉しいです。

気になっててこれから読書泊を始める方は、まずホテルの予約を。それが厳しければ読書のために外に出てみるところから。


心地よく本に浸るたび、きっと読書泊が好きになる。

ぜひ、本を読むための旅をしませんか?




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