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水族館の飼育員の夢を手放した私が、森でおおかみさんのカフェを開くまで

🍀ここは森の奥の方、一匹のピンクの鼻のほわほわな毛のおおかみさんが、ゆっくりと紅茶を淹れていた。
今日の紅茶はどんなスコーンが合うだろう。
「ふぅ、やっと一息。」
仕事で疲れた体には、紅茶が沁みる。
パクっと口に入れたスコーンはほろほろと崩れ、口の中でバターの香りが広がり、紅茶の良さをより引き立てる。

‎✧︎これは、かつての水族館の飼育員の夢から挫折して別の夢を追いかけている私の「リアル」を描いた物語です。
ずっと追い続けていた飼育員の夢から立ち止まり、今は、スコーンと紅茶のお店を持つことを夢にしています。
私は自分の作った水槽や空間でお客様を笑顔にしたくて飼育員の夢を目指しました。大好きな生き物のそばで仕事をしたかったのです。
現実は、飼育員という仕事はとてもハードで、キラキラして見える裏側には多くの苦労が見えました。
覚えることも多く、生き物の世話には時間もかかりま
す。向き合うって、時間も労力も必要でした。
何より大事だと感じたのは心の余裕です。
忙しく動き回る飼育員の仕事は余裕がなくなってしまいそうでした。

そんな私の専門学生としての生活の中で、唯一落ち着けたのが紅茶を飲んでいる時間でした。
大好きな紅茶を淹れて、好きなお菓子を食べている間に、紅茶とスコーンの組み合わせが最高で最強!ということに気が付きました。
その中でも自分で焼いたスコーンは愛情たっぷりで別格です。
一息つけるこの時間だけが、私が自分らしくいられる時間でした。

あの頃、夢中で生き物と向き合っていた情熱が、今、形を変えてティーカップに注がれています。

🍀今日のスコーンはこのお店の定番、きなこスコーン。
ほっと優しい味をしていて、甘い紅茶に渋い紅茶、なんでも合うの。
スコーンにきなこを入れるレシピがあまりなくて、完全に自己流。
スコーンの焼き方もまだ上手にできないから、生地の扱い方から勉強しないと。

初めてスコーンを作ったときは酷かった。出来上がったものは不格好。
お菓子作りもあまりしないから、バターを溶かさずにすり潰すことも初めて知った。ここで層を作って縦に大きくするらしい。
上手くできなくて心が折れてしまいそうだったけれど、自分で作ったスコーンは愛着も湧いてとびきり美味しいし、何度も作るにつれてどんどん上手になっていくのが嬉しい。
スコーンにはずっしり系のものとパイ風のものがあるけれど、色々試しに作ってみて、パイ風の方が好みだった。生地を寝かせるかで食感が変わるの。
パイ風のはサクッサクッと食べられて、ルンルンで何個でも食べられちゃう。
ティータイムはやっぱりご機嫌で過ごさないとね。
このご機嫌ティータイムの時間を、みんなに体験してもらいたい。

コポコポコポ、カップに注がれていくのは琥珀色の綺麗な紅茶。
見ているだけで、悩みもなにもかも吸い込んでくれそう。
スーッと息を吸い込めばふわっと紅茶の香り。
そんな香りに包まれながら、みんなが各々ティータイムを楽しんでいる姿を想像します。

森の中にいるような木の机にコロンとしたかわいらしい食器。
隣にはたくさんの森の仲間たち。いつだって味方です。
そして、店頭にはおおかみさん。
研究を重ねて一番おいしいと思ったきなこスコーンを、あなたの元へ届けます。
お店の名前は、「おおかみさんのスコーンでお茶会」。
おおかみさんが実際にお店を開くまで、この物語は続きます。
もしよろしければ、この記録の目撃者になってください。
そして、最初の森の訪問者になってください。

#創作大賞2026 #オールカテゴリ部門

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