ICL手術が拓く新しい人生【岡本眼科クリニック】
こんにちは。
愛媛県松山市【岡本眼科クリニック】院長の岡本茂樹です。
屈折矯正手術といえば、かつてはレーシック手術が主流でした。
しかし、近年では「角膜を削らない屈折矯正」として、ICL(有水晶体眼内レンズ)という方法が注目されています。
私がICLを導入したのは、厚生労働省で正式に認可されてから少し時間が経ち、レンズの安全性や安定性が十分に確認できた段階でした。
レーシックを行っている中で、角膜が薄い方や、強度近視の方など、どうしても対応が難しい患者さんがいました。
「そうした方にも屈折矯正の選択肢を届けたい」
その思いからICLを導入しました。
■ICLとはどんな手術か
ここからは、当院で私と共に「ICL」を担当している河内さゆり医師に、手術の仕組みと特徴について説明してもらいます。
河内:ICL(有水晶体眼内レンズ)は、「水晶体を残したまま」眼の中にレンズを挿入して視力を矯正する方法です。
角膜を削る必要がないため、角膜の厚みや強度を保ったまま近視や乱視を矯正できるのが大きな特徴です。
かつては「眼の中にレンズを入れるなんて危険では?」と懸念されていましたが、レンズの改良が進み、現在は安全性の高い「ホール付きICL」が主流になっています。
中央に小さな穴があることで、目の中の水(房水)の流れを妨げず、白内障のリスクが大幅に減りました。

■ICLの適応範囲
河内:現在、屈折矯正手術には「レーシック手術」「ICL(有水晶体眼内レンズ)」「PRK(光屈折角膜切削術)」などいくつかの方法があります。
その中でICLは、角膜を削らないという大きな特徴があります。
もともとは「レーシックができないほど強い近視(-10D以上)」の方が対象でしたが、最近では、角膜が薄い方や、夜間の光のにじみ(ハロー・グレア)など、レーシックでは負担が大きくなるケースにもICLが選ばれるようになっています。
当院では、
強度近視(−6D以上): ICLを推奨
軽度〜中等度近視(−6D未満): レーシックを推奨
という方針を基本としています。
つまり、ICLは「レーシックができない人のための治療」ではなく「より安全で自然な見え方を求める人のためのもう一つの選択肢」へと進化しています。
■ICLのメリットと注意点
河内:ICLの最大の利点は「角膜を削らないこと」です。
角膜を温存したまま視力を矯正できるため、角膜が薄い方でも安心して受けられます。
また、強度近視でも高い視力改善が期待でき、ハロー・グレアの発生が少ないという報告されています。
一方で、眼の中にレンズを入れる外科手術である以上、感染症などのリスクがまったくないわけではありません。
また、よく患者さんからご質問をいただく「レンズ交換」については可能ですが、実際に交換が必要になるケースはごく稀です。
「気軽に交換できる」というイメージではなく「どうしても必要であれば外科的に対応できる」というのが正しい表現です。

■新しいレンズの可能性と、これからの選択肢
河内:ここからは、ICL導入から手術を執刀してきた岡本院長に、最新のレンズや今後の展望について伺いたいと思います。
岡本:ICLという技術は、この20年あまりで本当に進化しました。
現在、世界的に標準となっているのはスターサージカル社の「ICL(後房型レンズ)」です。
虹彩の後ろに入れる構造で安全性が確立され、屈折矯正の中でも非常に信頼性の高い方法として定着しています。
そして近年、新しい選択肢としてイギリスのEyeOL社から「老眼対応眼内コンタクトレンズ(IPCL)」が登場しました。
ICLと同じ手術方法で、遠くも近くも自然に見えるよう設計された多焦点タイプのレンズです。
日本では2025年4月に厚生労働省に近視用レンズが認可され使用可能になったばかりですが、私たちのクリニックでも導入を検討しています。
老眼用の多焦点IPCLもあるのですが、こちらはまだ認可をうけていません。
屈折異常(近視・遠視・乱視)の治療は、常に「より自然な見え方を安全に提供すること」を追求して進化してきました。
新しい技術を取り入れるときこそ、医師がその責任をもって選択する姿勢が問われると感じています。
■ICL手術と術後の経過観察
岡本:ICL手術は、専用の眼内レンズを水晶体を残したまま眼内に挿入する方法です。
点眼麻酔をし、角膜を約3mm切開します。切開からICLを眼の中に挿入、虹彩と水晶体の中に置いて手術は完了します。

ICL手術は、術後の経過観察がとても重要です。
手術翌日、翌々日、1週間後、4週間後、8週間後、12週間後、半年、1年というスケジュールで定期検診を行い、眼圧や炎症、レンズの位置を丁寧に確認します。
状態が安定したあとも、年に1回の検診を続けていくことで、長期的な安全性を守ります。
私たちは「手術を終えたら終わり」ではなく、「その後の生活を見守る」ことを大切にしています。
患者さんが安心して新しい見え方と付き合えるよう、日常の変化も一緒に確認していく。
そうしたフォローアップこそが、医療の信頼につながると考えています。
■ICLが向いている方
岡本:ICLは、角膜を削らないという特性から、次のような方に適しています。
メガネやコンタクトに不便を感じている方
ドライアイが強く、コンタクトが合わない方
強度近視や角膜が薄く、レーシックの適応外となる方
特に強度近視の方では、視力改善の効果が大きく、日常生活の快適さが増すケースが多いです。
「安全性」と「生活の質の向上」を両立できる治療として、ICLは今後さらに広がっていくと思います。

■「レーシック手術」と「ICL」はどちらを選ぶべきか
岡本:最近は「ICLをしたい」と決めて来院される方も少なくありません。
ただし、ICLがすべての人に最適というわけではありません。
近視が軽い方では、ICLよりもレーシックのほうが正確で、視力の再現性が高いケースもあります。
一方、強度近視や角膜が薄い方はICLのほうが安全性に優れます。
結局のところ大切なのは、自分の眼の状態とライフスタイルに合った方法を選ぶことです。
ICLとレーシックのどちらが良いかを決める前に、まずは信頼できる医療機関でしっかり検査を受けることをおすすめします。
■これからICLを考える方へ
岡本:ICLは、角膜を削らずに視力を矯正できる画期的な手術として、ここ数年で大きく普及してきました。
ただし、どんなに安全性が高まっても、眼の中にレンズを入れるというのは小さな決断ではありません。
大切なのは、「どんな見え方を望むのか」「どんな生活を送りたいのか」を医師と丁寧に話し合うことです。
手術そのものだけでなく、術後に安心して過ごせる環境やフォロー体制があるかどうかを、しっかり確認してほしいと思います。
私たちは、患者さんが安心してその一歩を踏み出せるよう、目の状態だけでなく、心の不安にも寄り添いながら、最良の方法を一緒に考えていきます。
「見えるようになる」という変化が「前向きに生きる力」につながるように。
これからも、丁寧な医療を心掛けてまいります。
岡本眼科クリニック
院長 岡本 茂樹
医師 河内 さゆり
