値段が高過ぎて買えない - 意外と生活に関係しているマーケット
久しぶりに会った元銀行の同僚と色々話をした。曰く、NY出張で感じたのはアメリカの景気があまり良くないということ。ビッグマックが1,000円で日本のラーメンが3,000円、卵12個が10ドル≓1,500円では、さすがにインフレ慣れしたアメリカ人でも値段が高過ぎて買えない。こちらも日本とは違った意味で 「お給料」は「値上げ」に追い付かない|損切丸
これに実質 "輸入品消費税" の相互関税+20%が乗るのだから消費が活性化するはずがない。意見が違ったのが利下げの見通し。「だから3%までFRBは利下げする」が元同僚の見通しだが筆者は逆。12/10の利下げで政策金利は@3.5%≓「中立金利」に達するので、その後の利下げは「実質マイナス金利」。FRBにとって簡単な事ではない

なぜアメリカ人は@7%の住宅ローンを借りるのか?|損切丸 な国だけに金利を下げすぎればインフレがぶり返す怖れがある。彼らの金融行動を見ていると日本人とは真逆で "お金は持っているだけで損" という感覚。「実質マイナス金利」なんかになったら今でも値段が高過ぎて買えないのに更に物価高騰が続く可能性が高い
では値段が高過ぎて買えないを如実に現しているのは何か。やはり株価ということになる

元同僚が言っている事( ≓ アメリカの景気が悪い)がFACT(事実)なら "高過ぎて買えない値段" は下がってくるはず、つまり株価も下落する。それがこんなに高値で粘るのは*支持率低下に喘ぐ "Tariff Man" が利下げを強要すると読んでいるからだろう(おそらく筆者の元同僚も同じ)。ただこれは「スタグフレーション」シナリオ。お世辞にも "良い株高" とは言えまい
*古今東西権力者、特に「ポピュリズム」による独裁者は行動パターンが一緒。これではアメリカも "インフレには利下げ" なる奇妙な理屈でハイパーインフレに陥ったトルコと同じ道を辿る。あと3年でいなくなる大統領はそれでもいいが最終責任を負わされるFRBはそうはいかない。政策金利を2桁まで上げたボルカー議長(12代)の評価は分かれるが、見事インフレ、リセッションの波を乗り切ったグリーンスパン議長(13代)のような名声は得られない。パウエル議長も既に3回連続+0.75%の離れ業を強いられており同じ轍は踏みたくあるまい。いずれにしても歴史が評価を下す
もう何年も「実質マイナス金利」を続けている日銀は何をか言わんや。確かにコロナ危機(2019~)前までは地価も株価も冴えなかったのである意味やむを得ない部分もある。だがそれは日本人に "お金は持っているだけで得" と言う感覚が染みついていたから。小学校から「貯金しましょう」「預金は安全資産」という教育が浸透していればそうなってしまうのが当然。あれは高度成長期で国の「お金」が足りていなかったから。バブル崩壊を経て成熟経済に移行する過程では「インフレ」とかもっと「お金」の勉強をするべきだった(だからこんな「損切丸」なんて書いている。笑)
それもパンデミックという世紀の出来事をきっかけに遂に日本もインフレ経済に転嫁。同時に不動産も株価も高騰して "値段が高過ぎて買えない" 経済に移行してきた。急激な「円安」もあって、さすがの "預貯金大好き日本人" もそのリスクに目覚めつつある
その過程で起きているのが今の日銀による利上げ。日本の「中立金利」を筆者は@1.5%と推定しているが元同僚は@1%の見立て。中には@2~2.5%と見る識者もあり日銀内部でも様々な議論が交わされそう。いずれにしろ政策金利<中立金利=「実質マイナス金利」でインフレが喚起されるのは日米とも一緒。「円安」が1つのベンチマークになるだろう
ここでもやはり怖いのは「ポピュリズム」。今は高支持率で余裕があるが政治も一寸先は闇。「円安」も「国債安」(金利上昇)も止まらず「株安」を誘発するトリプル安に見舞われれば「中立金利」など吹っ飛んでしまう。元々「利上げするなんてアホ」と放言して憚らなかった現首相も支持率が低下すれば突然の宗旨替えもあり得る。そういう点ではこの国も「スタグフレーション」リスクと背中合わせ
日経平均も "値段が高過ぎて買えない" 域に入りつつあるがJGB(日本国債、Japanese Government Bonds)の金利同様、実は生活実感と直結している部分は多い。元来人は自分に甘い生き物。だからリスクを伴う「投資」は経済のダイナミズムを把握するいい「道具」にもなり得る。そういう意味では "AIにお任せ" なんてもったいない。せっかく世の中の動向を先行して知らせてくれるサインなのだから


前にも言ったが「投資」やリスクトレードは何回も人生を生き直すようなもの。失敗や「損切り」を重ねて大損してうな垂れるか、ムキになってナンピンするのか、あるいは奮起して冷静にやり直せるのか。何しろ自分自身のことがよくわかるようになる。「相場なんて生活に何の関係もない」と言う人もいるが決してそんな事はない。生の経済を実感するには最も優れた指標である。少なくともそこら辺のエコノミストなんかより余程役に立つ
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