トルコリラ急落、調達金利1,000%の衝撃
「こんな数字は見たことがない」。
某経済紙N新聞のヘッドラインだ。残念ながらこの表現は正確でない。金利水準で言えば、少なくとも筆者が知る金利の最高値は「欧州通貨危機」(1992年)の時のアイルランド・プント@20,000%だ。2日間金利を払うと元金がなくなってしまうという、まさに*「衝撃」。
*これだけの事態に陥ると、トルコに支店を持つ外国銀行などはトルコリラの資金繰りが付かず、中央銀行の口座が "赤残"になってしまったところもあったと思う。資金不足が据置担保内に収まらない場合は厳密に言えば「デフォルト」なのだが、トルコの国情を考えるとそこまで厳しくできまい。
ご興味のある方は2019.8.12.ポンド回顧録 -に当時のエピソードを買い綴ってあるのでご一読を。
しかしトルコリラの下落が止まらない。↓ トルコリラ・円は現在@14円台だが、2007年には1リラ=@100円近辺の時もあったというのだから驚きだ。通貨価値はほぼ1/6になってしまった。

日本ではこの10年余り「高金利通貨」の代表格としてトルコリラ建仕組債が広く売られていたので、損をして泣いている人の方が多いと思う。**FXでリラ・ショート(売り)で大儲け、なんていう「天才」はいただろうか?
**O/N金利が@1,000%ということは、リラ・円ショートでは1日▼40銭以上下落しないと儲からないことになる。売りをキープするか否かなかなか微妙な水準だ。e.g. @14.37 X @▼1,000%÷365日=▼0.3936
「高金利通貨国」には共通する要素が多い。経常赤字や貿易赤字が大きく、端的に言えば国が儲かっていないため、自国通貨の価値を維持するために「高金利」が必要になる。この状況を表すのが「少ない国内預金」とそれを大きく上回る「過剰債務」である。

比較で日本を並べてみたが、まあその差たるや。GDP=経済規模も1/6程度であるが国富としての預金量が全く違っている。日本では「円高」が問題視されることが多いが、彼らから見れば「贅沢な悩み」に過ぎない。1,000兆円もの預金者からみれば「円高」は有り難いことでもある。
3月にデフォルトしたレバノンなども通貨レバノン・ポンドが大暴落、金利が暴騰、となりそうなものだが、代金として受け取ってくれる人がいないのであろう。こちらはFX取引が成立していない。為替取引が成立しているだけトルコの方がまだまし、とも言えるが、現象面として国内の激しいインフレが起きているのは一緒。生活は困窮を極めている。
「損切丸」では「コロナ後」の世界として米中の2陣営にはっきり分断される国際社会を予想した。ほぼ想定通りになっているが、大国が「自国主義」に走れば走るほど、レバノンやトルコのように「弱いところ」にしわ寄せが来ることは歴史上繰り返されている。

今は強烈な日米欧の「バラマキ」で主要国の株価も上がっており、問題を見えにくくしているが、トルコの状況を見ると根本的問題が解決したとは言い難い。適切な言い方ではないかもしれないが、アルゼンチン、トルコ、レバノンくらいの国々に留まっている内は大問題には発展しない。
あとは何かのきっかけで「信用リスク」が「パンデミック」するかどうか。「金余り」を背景とした株買いは投資、トレード戦略として今は有効かもしれないが、経済規模でいえばスペインやブラジルレベルの国々に問題が波及するのかどうか、「信用リスク」の芽には常に気を配る必要がある。
