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日銀の「出口戦略」 ”ステルス” から "地上" へ。 ー 「表向き」と「本当の事」を見分ける良い実例として。

 ”金融政策の柱である長期金利操作の運用見直し案が日銀内に浮上していることが分かった。上場投資信託(ETF)や国債を買い入れる手法の見直しも検討するとみられる。”(1/15 時事通信)

 「損切丸」の「日銀バランスシート」シリーズを読んでこられた方の多くはピンと来たはず。筆者も現場を退いて4年になるが、日銀とは付き合いが長かっただけに彼らの "思考回路" は熟知しているつもり。今回も ”読み” を外していなくて実はほっとしている(笑)。

 そう、全ては「お金が足りないこと」が原因だ。

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 1/8時点「政府預金」55.9兆円分は、事実上市場で短期国債を発行して「資金繰り」を賄っている。このまま同じペースで国債ETFを買い続ければ「政府預金」(=市場からの資金吸収)も平行して増えていき金融政策に矛盾が生じる”方向性" を変えるために昨年10月以降、メディアを使って ”観測気球” を上げながら世間を慣してきた。日銀がよく使う手法である。

 実際足元では日銀の金融政策の目標でもある「無担保コールO/N金利」がじりじりと上昇し、ゼロに接近しつつある。やはり▼50兆円もの資金を市場から吸収する影響は結構ある。円は既に余ってはいないと言うことだろう。

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 「日本の景気は持ち直しつつある」

 1/14の支店長会議での黒田総裁の発言だが違和感を持たれた方も多かろう。日銀の幹部になるような方は非常に優秀、聡明なので、未曾有の「コロナ危機」下、日本の景気回復を本気で確信しているとは思えない。だがこの半年、日銀からのコメントは表向き「景気持ち直し」一辺倒

 この手の発言には「裏」がある「コロナ対応特別貸出」も減る気配はなく、何とか他の方法で「資金不足」を埋めるしかない。「景気回復コメント」は保有資産を減らすための "布石" と読むのが正解だ。これまでは ”ステルス” だった「出口戦略」 ↓ は ”地上” に降りてきた

 まずは期限がなく、放っておけば半永久的に資産に残るETF。株をやっている人なら日銀による買占め状態( e.g. アドバンテスト@29%ファーストリテイリング@22%)は承知しており、あとはどうやって売るか、だ。

 「損切丸」的試算:20兆円買占め ≒ 日経平均+4,000円

 何の戦略もなくETFを40兆円も売れば日経平均は▼8,000円下落する計算。かなり慎重な取り組みが必要で、できれば今のように買い基調の時に「場外」で売りたい。例えば証券会社を通じた個人向けETF販売とか、NISAの対象にするとか。▼3,000億円売り × 150年とかはご勘弁願いたい。

 ”▼0.2%から+0.2%に抑えてきた金利の変動幅を拡大する可能性がある”

 なるほど、ものは言い様 ”賢い” 日銀の官僚はよくもこういう表現を捻り出すものだ。確かに「お金がないから国債の保有量を減らします」と「本当の事」は言えない(まあ最終結果は同じになるが)。

 *「量的緩和」の拡大余地はないものの、ドル円が@100円を大きく割り込むような「緊急事態」には「マイナス金利の深掘り」が出来るように「利下げ余地」を残した、とも読める。

 国債に関しては3,6,9,12月に満期償還が▼40兆円程度見込まれ、要は買入額がこれを上回らなければ「日銀バランスシート」は膨張しない。2020年10月末に「11月の営業日数が少ないから」なし崩し的にオペ回数や上限額を削ったが、これは最大年間▼40兆円程度買入を減らせる「ステルス・テーパリング」。この2つで年間買入上限額の「80兆円」はゼロに出来る

 事実、昨年8月以降、日銀の国債保有額(535兆円程度)は増えていない

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 国の財布を握る日銀でさえ「資金繰り」はかくも神経を使う。法律を改正して「日銀券」をバンバン刷れば「資金繰り」問題はすぐに解消する。まさに「自国通貨で財政破綻はない」と言い張る ”にわかMMT派” の主張通りだが、ことはそんな単純ではない。優秀な財務省や日銀の官僚はそれがどれだけ恐ろしい結果を招くのか、十分認識している。いわば**「最終手段」

 **「インフレにならない」のがMMTの前提だが、財源を無視して「お金」をどんどん刷れば、それは「紙屑」に近付く。そんな事が可能なら他国も既にやっているはず(主要通貨ドルを持つアメリカだけがそれに近いことをしている)。国の規模に見合った「通貨安」が訪れるのは自明の理であり、マーケットの格好の「餌食」となる。最も怖いのは「自家中毒」。個人はまだ感度が低いが、海外展開している国際的企業はそんなに甘くない。巨額の余剰金を外貨に換えたり本社を国外に移したりするので一気に円安が進む。それは日本人の資産が大きく損なわれることを意味する。

 「緊急事態宣言」も無視して営業を続けるお店も最終的には「資金繰り」の問題だ。割と流行っていたレストランなどがスパッとお店を畳むのは、「お金」に余裕がある証拠。2~3年「コロナ危機」をやり過ごし、お店を再開するかどうか後で決めるのが最良の方策だろう。だがほとんどのお店はそんなことは無理。一時凌ぎで「お金」を借りて無理に続けるよりも、スパッと「損切り」して「業態転換」を図るのも1つの手だろう。

 「テーパリング」の語源は「薬を抜く」ことらしいから、まさに「薬漬け」の日本経済の「業態転換」だ。いささか主治医(政府・日銀)に不安もあるし、かなりの「禁断症状」や「痛み」を伴うかもしれないが、これは避けて通れない道でもある。「健康体」に戻れば今までどれだけ異常だったか気付くはず。 ”利息” という形で「富」が平等に分配されない「金利のない世界」はもうこりごりである。

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