「インフレ」攻防戦。ー 「金利」「通貨」「株」を犠牲にする "覚悟" はあるのか。
WTIの長期チャート ↓ を見ると、今非常に際どいラインで攻防戦が行われている。@110ドル近辺はまさに「天下分け目の戦い」。2011~2015年、強固に上値をブロックされた価格帯であり、需要減退ラインとも読める。


各国政府は明らかに "覚悟" を試されている。特に「インフレ」の震源地アメリカでは、ウォール街を中心に「リセッション運動」を起こしており、米政府は「株価」を人質に取られた状態。米国債の「金利低下」を見ると、 ”脅迫” に屈したように映る。いつの間にかFRBの「利上げ」は@3%で打ち止めになってしまった。


最近のWTIの動向を見ていると「リセッション運動」で何度も下にいこうとするが「買い戻し」を入れる "勢力" が存在する。見方は2つ:
①本当に需要が伸び悩んで価格が下落しているが、値が下がっては困る "勢力" が必死に価格維持している。
②「金利低下」に転じたことで「インフレ」が盛り返し、投資資金が戻って来ている。
一度は@104ドル台まで落ちたWTIだが、最近の「買い戻し」は本当にしつこい。もし② ↑ で ”リアルマネー” が買っているなら、こんな価格を押し戻すような買い方はしない。安く買えるに越したことはないのだから。*同じ様な動きはドル円、ビットコイン(BTC)にも見られるが、やはり値段が下がっては困る "勢力" が存在するのだろう。ウォール街の一部から「原油価格@380ドル」なる怪しげなレポートも出てきた。
*「デジャブ」(既視感)だなと思ったら、過去の「ノックアウト(KO)・オプション」を巡る戦いに似ている。例えばドル円KO@130円コール(買う権利)。オプションの売り手は一度でも@130円を付ければ買う権利が消滅してオプション料が丸々儲かるので相場を下げようとする。対してオプションの買い手は@130円を付けさせまいと防戦買いする構図だ。もしWTI@100ドル、BTC@15,000ドルのような「KOオプション」が大量に取引されていたら...。良からぬ想像に駆られる。
「インフレは一時的」
2021年前半にパウエル議長が頑なに述べていた言葉だが、そのせいで「利上げ」が半年以上遅れ、現在の「酷いインフレ」になってしまった。(筆者も含め)これが今の金融界の一致した見解。「インフレ下の金融緩和」に固執する某中銀総裁の現在の姿にダブってしまうが、今の「インフレ」問題の根源は中央銀行が "Credibility" (信頼性)を失っていること。イタリアやギリシャ国債の金利急騰に慌ててPEPP(パンデミック緊急購入プログラム)を ”再稼働” させた某欧州の中銀総裁も同罪である。
こういう ”隙” がファンドや投機筋を図に乗らせる。今の「酷いインフレ」騒ぎの半分以上がこの "Credibility" 喪失が原因であり、どこもかしこも口を開けば「言い訳」ばかり。合理性を欠いた態度、コミュニケーションではマーケットはついてこない。原油価格の下落が致命傷になりかねない産油国がこの投機に乗ってくるのはある意味必然で、彼の専制国家などはWTI先物を買い支える "勢力" に参画している可能性すらある。
「無理は通っても無理」
こういう時にいつも思い浮かぶのが筆者の ”座右の銘” だが、株でも為替でも、そして今回は原油(?)でも国債でも人為的な介入による「買い支え」は成功した試しがない。中長期的にマーケットは必ず合理的な均衡点に戻るので、無理な価格操作は必ず破綻し結局コストが膨らむ結果になる。
株価維持のために「利上げ」を遅らせ、かえって「インフレ」が悪化して株価下落を招いたFRBが何よりの証拠。今度はウォール街の「リセッション運動」を利用しているのだろうが、また同じ過ちを繰り返そうとしている。いくら大統領中間選挙を控えているとはいえあからさま過ぎる。「財政健全化至上主義」でJGB(日本国債)を頭から抑え付けようとするのも同様だ。
目先の「金利低下」で米株を中心に買い戻されてホッと一息かもしれないが、最終的には上手くいかないだろう。まず頭に入れておかないといけないのはQT(量的引締)の進行。6~8月は月▼475億ドルだが9月からは倍の▼950億ドル≓▼13兆円ずつ毎月「お金」が引上げられる。
「金利」より「量」。 ー FOMC@5/4より。|損切丸|note 。遅効性のある「金利」に比べて「量」の直接的影響は絶大だ。 なぜ「金利」が上がると「株」は売られるのか? ー 詳述:「金利裁定取引」(アービトラージ)。|損切丸|note を目の前で見てきた筆者には確信がある。
これは株に限らず、WTIでもBTCでも膨張していたモノほど ”破裂” は大きくなる。「コロナ」対応の「過剰流動性」の勝者、ナスダック指数は既に "エライこと" になっており、市場規模の小さい「暗号資産」でも運営会社の「デフォルト」が相次いでいる。今の原油価格が ↑ ①「無理な買い支え」だとすれば ”破裂” は避けられまい。その影響は産油国、戦争、FXのドル買いポジションの「レパトリ」(損失穴埋)等等、広範囲に及ぶだろう。
ちなみにWTIが@80ドル程度まで落ち着けば一旦「インフレ」騒ぎが収まり「平穏」が訪れる可能性は高い。だが人口動態の変化、e.g. ベビーブーマー、”団塊” の引退、に起因するコアな「インフレ」は続き、結局FRBの政策金利は@4%以上に上がると筆者は推定する。日本も総裁の交代時期を睨みながら、+1%程度金利は上昇するだろう。
あとは:「金利」「通貨」「株」を犠牲にする "覚悟" はあるのか
政府・中央銀行が問われることになる。 今の「値上げ」は「インフレ税」。結局は「お金」の問題。|損切丸|note をどう回避するのか、我々生活民もまた各々の "覚悟" が問われている。
