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世界は「過剰流動性」中毒。ー 「テーパリング」(薬抜き)は並大抵ではない。

 まさかNYダウが2日間(10/3,4)で+1,500ドルも反発するとは想定できなかった。本当に2022年相場は一筋縄ではいかない。これでマイナス圏に突入していた「円建NYダウ」も年初来+4%まで戻し、胸をなで下ろしている日本の個人投資家も多いだろう。

 今回のテーマはまた(苦笑)「過剰流動性」。これまでの投稿なら 「俺たちは "低金利" "過剰流動性" が好きなんだ!」|損切丸|note や 「国債・無制限指し値買いオペ」はマーケットの ”最後の貸し手” ? - 「円」を犠牲にして唯一人「過剰流動性」を供給し続ける日銀。|損切丸|note の繋がりで読んで頂けると分かり易い。

 "MPCで先日決定した▼800億ポンド(≓12.5兆円)の保有国債の削減”

 今回の株価の急反発で思い当たったのが、イギリスの国債・財政政策の "ドテン"「流動性」の側面から斬ると、MPC(英中銀金融政策決定会合)で決定していた国債▼800億ポンド売却 → 緊急買入への急旋回が大きい市場は▼12兆円余りの「資金吸収」を織り込んでいたので、これを逆に買いにしたことで+20兆円近くの「過剰流動性」投入となった。結果、@4.5%まで急騰した英10年国債金利は@3.86%まで急低下

 そこで思い当たったのが6月日銀の「国債無制限指値買いオペ」月間では過去最大の+16兆円ものJGB(日本国債)を買ったが、その時もNYダウが@32,000ドル近辺まで反発。これは偶然の一致ではない

 ” Tapering" = 「テーパリング」薬剤などを少しずつ減らす漸減法一度に中止すると副作用の危険性がある薬剤などに対して行われる。

 「テーパリング」徐々に減らしていくを金融用語と思っている方がいるかもしれないが、元々は医療用語。これがまた言い得て妙で、まさに世界は「過剰流動性」中毒ここから「薬抜き」をするのは並大抵ではない "痛み" は繰り返し襲ってくるし、 "痛み止め" を使い過ぎれば強烈な副作用を起こす。それが今の「インフレ」というわけだ。

 ご存知のようにFRBは9月から月間▼950億ドル≓▼13兆円の「QT」(量的引締)を開始している。株価の下落は、いわば "痛み" に耐えかねたマーケットの悲鳴であり、6月の日銀、10月のBoE(英中銀)と2回に渡って強烈な "痛み止め" を打ったことになる。

 実はこの中毒症状2020年3月の「コロナ危機」で発症したわけではない。元を辿れば1998年の「LTCM破綻」、そして2008年「リーマンショック」で症状が悪化した。その時は「過剰流動性」でリスクを取り過ぎた金融機関が危篤状態になり、「金融規制」というICU(集中治療室)にぶち込んで蘇生した。そして今回「コロナ危機」でまた「薬」を使ってしまった

 今回は症状が広く一般国民に及んでいるため治療も大変。しかも医者自身=「政府」もかなり具合が悪く「インフレ税」という形で広く負担を求めるしかなくなっている

 差し詰め「金利」は「インフレ」という副作用を抑えるための処方薬に過ぎず、今はその量を増やしてる状況。ただこれも服用し過ぎると患者の具合が悪くなる。株や原油などの商品価格は患者の ”体温” を示しており、高熱過ぎても低熱過ぎても好ましくない

 昨日は「金利」=薬を減らしたために ”体温” =株価が上がった状況。そうすると投薬量を増やすしかないが、やり過ぎるとまた具合が悪くなる。そもそも「過剰流動性」中毒からの脱却を目指したはずが「インフレ」という副作用の対処に苦慮しており、 "根治" は困難を極める

 6月は日銀による+16兆円もの "カンフル剤" で@32,000ドルまで上がったNYダウだが、その後@29,000ドル割れまで落ちた今回BoEのアクションで戻った株価も一時的と考えるのが妥当だろう。あまり楽観視できない。

 その辺の感度が最も研ぎ澄まされているのが、マーケットの王・為替市場(FX)だ。*既に一方的な「ドル高」から方向転換を図りつつあり、ユーロ・ドルもパリティ(等価、1ドル=1ユーロ)に接近。 「ドル安・株安・債券安」のトリプル安に相場は転換するのか。- 鍵を握るのはアメリカの「需要」の強さ。|損切丸|note の予兆かもしれない。

 卑近な例で言えば、値段が高すぎて売上不振な新型 iPhoneだろうか。「インフレ」抑制効果はあるものの、さすがにドルが高すぎて米製造業に悪影響が及びつつある。これは取りも直さずドル=アメリカへの「需要」が弱まっていることを示唆している。

 それでも米株や米国債が上がっている内はまだ大丈夫問題は「ドル売り」に「米株売り」「米国債売り」が重なる時副作用=「インフレ」がぶり返せば「スタグフレーション」に陥るが、**景気が悪化してもその時は「利上げ」するしかない。週末には米雇用統計を控えるが、パウエル議長が対応を間違えないか、正直不安だ。

 **「スタグフレーション」で「利下げ」すればどうなるかトルコのエルドアン大統領が証明してくれている。インフレ率+80%はもはや「ハイパーインフレ」「インフレ」「通貨安」なのに「金融緩和」を声高に叫ぶどこかの中銀総裁も同様である。日本人も他人事ではない

 もっとも「薬漬け」で30年も "寝た切り" の日本はもっと深刻。 "痛み止め" が切れて副作用=「インフレ」が出てきたのに処方薬=「利上げ」も出せないし、これ以上 "痛み止め" を追加しても効かない。それなのに自分も具合が悪い医者=「政府」は見ない振りを決め込んでいる。

 こうなると体力のある世代を中心に、ベッドから起き上がる人、e.g. 日本脱出、も増えてくる。このまま "痛み" を怖れて処方薬も「薬抜き」もしなければ "寝た切り" が続くだけ。今も「老後破産」が増えているが、高齢の母を抱える筆者にとっても切実な問題。正直、年金だけでこの「インフレ」は凌げない「新人類」(50代)から後期高齢者入りした「団塊」の世代までは、今後かなりの「覚悟」が必要になるだろう。

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