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MFA取得までの道 #10|医師がデザインの大学院で得たもの

スキルではなく、
「物事の見方」が変わった2年間でした。

ついに、MFAを取得し大学院を卒業しました🌸
2年間をやり切った今、ほっとした気持ちと達成感が入り混じっています。

ここまで「MFA取得までの道」を読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました。この記事がシリーズの最終回になります。


卒業という節目を迎えて

最終提出と単位取得を終え、無事に修了することができました。
振り返ると、あっという間だったとは言い切れない、濃密で長い2年間でした。

楽しかったことももちろんありましたが、それ以上に悩み、迷い、立ち止まる時間も多かったように思います。だからこそ、最後に「やってよかった」と思える今の感覚は、とても大きな意味を持っています。

この大学院を勧めるかと聞かれたら

もし「この大学院に行くべきか」と聞かれたら、簡単には勧めません。

決して楽ではなく、期待した通りの成果が得られるとも限りません。チームでの衝突や、自分の思考が通用しない経験もあります。

ただ一方で、自分の思考を壊したい人には間違いなく価値がある場所です。これまでの前提を疑い、新しい見方を獲得したい人にとっては、強い刺激になる環境だと思います。

医学とは違う学びの中で得たもの

医学とは異なる領域に飛び込んで、何を得たのか。
正直に言うと、「これが得られた」と一言で言えるものはありません。

ただひとつ確実に言えるのは、物事の見方が変わったということです。

スキルが増えたというよりも、考え方の土台そのものが揺さぶられ、書き換えられたような感覚があります。この変化は、今後の医療や人生の中でじわじわと効いてくるのではないかと感じています。

チームで考えるという経験

この2年間で、数えきれないほどのミーティングを重ねました。
最初はぎこちなかった議論も、徐々に深まり、フラットで本質的な対話ができるようになっていきました。

年齢も背景も異なるメンバーと、遠慮なく意見をぶつけ合う。時には言い過ぎてしまったと感じることもありましたが、その都度関係を修復しながら前に進んできました。

振り返って強く感じるのは、良い議論はスキルだけでは生まれないということです。チームとしてどこを目指すのか、その目的が共有されているかどうかが、すべてを左右します。

自分たちは「自分たちが愛せる研究にしよう」という言葉を軸に据えました。この一言があったからこそ、ぶつかりながらも同じ方向を向き続けることができたのだと思います。

学際的に考えるということ

入学当初、「学際的」という言葉の意味はよくわかっていませんでした。
しかし、異なる専門性を持つ人たちと議論を重ねる中で、その意味を体感するようになりました。

同じ課題を前にしても、見えているものがまったく違う。
その違いが、時に衝突を生み、同時に新しい視点をもたらします。

仕事や専門分野は、その人の思考そのものを形作る。
そのことを実感として理解できたのは、大きな収穫でした。

本質を問い続ける姿勢

デザイン思考の中で最も印象的だったのは、問題定義の難しさです。

表面的なニーズではなく、その奥にある本質的な課題にどうたどり着くか。
何度も立ち止まり、問いを立て直す経験を繰り返しました。

その中で気づいたのは、重要な問いはいつも一段深いところにあるということです。
目の前の問題に飛びつくのではなく、「それは本当に解くべき問いなのか」と立ち返る。

この姿勢は、医療においても非常に重要だと感じています。

帰納的に考える力

医療では仮説演繹的に考えることが多い一方で、この大学院では帰納的な思考を繰り返し求められました。

インタビューや自由記述アンケートの解釈、KJ法などを通して、現場の声から意味を見出していくプロセスを何度も経験しました。

さらに、アブダクションという考え方にも触れました。
観察された事実から最も納得できる仮説を導くという思考法は、正解を求めるだけではない、新しい思考のあり方を示してくれました。

これは家庭医療とも親和性が高く、今後の実践に活かしていきたいと感じています。

想像と違っていたこと

一方で、入学前のイメージと異なる点もありました。

いわゆる「見た目のデザインスキル」を体系的に学ぶ機会はほとんどなく、あくまで中心にあるのはデザイン思考でした。

また、取り組みに対する意識には個人差があるように思いました。熱量の違いに悩む場面もありました。

ただ、この経験を通して、チームは自然に機能するものではなく、設計されるべきものだと実感しました。最初のすり合わせが、その後のすべてを左右するというのは、非常に実感を伴った学びでした。

これからに向けて

2年間、決して楽な時間ではありませんでした。
それでも「やってよかった」と心から思えています。

良い研究ができたこともそうですが、それ以上に自分の思考が揺さぶられた経験が大きな意味を持っています。

この学びが、これからの医療や人生にどのようにつながっていくのか。
その変化を楽しみにしながら、また一歩ずつ進んでいきたいと思います。

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。
このシリーズはここで一区切りとなりますが、今後もnoteでの発信は続けていきます。引き続きよろしくお願いいたします🙇

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