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81 「メシアニズム」の遺伝子

 朝鮮半島には、救世主(メシア)が現れ、虐政に苦しむ自分たちを救ってくれると望む信仰、つまりメシアニズムがあります。朝鮮半島民の民衆の生活は想像を絶するほど凄惨なものでした。朝鮮王朝末期の西洋からの宣教師たちの記録を見ても、描写一つ一つが実に酷い内容ばかりです。民衆の生活をよく貪官汚吏による苛斂誅求といいますが、収奪に継ぐ収奪の阿鼻叫喚の地獄でした。これが、一時的な現象ではなく、少なくても朝鮮王朝歴史の全期間において見られてました。
 だから、救世主メシアが現れていつか自分たちをこの苦しみから救ってくれると信ずるようになったのでしょう。
 日本にも一揆がなかったわけではないですが、朝鮮半島に比べれば擦り傷のようなものだったのでしょう。

少なくても新羅時代以降は「理想社会論」が繰り返し出てきます。弥勒信仰は百済の地域で幅広く見つかっています。

  高麗のメシアニズムについては韓流ドラマでも描かれていますね。弓裔や妖僧辛旽が有名ですが、王も預言者を積極的に活用していたようです。
 朝鮮中期に『鄭鑑録』という予見書が生まれました。『鄭鑑録』には鄭氏が「真人(メシア)として鶏龍山に現れる」と書かれているそうです。確か、朝鮮半島には上のスライドで見るような様々なメシアニズム待望論がありました。
 新羅や百済には弥勒信仰が入っていたし、高麗王朝時代にも圖讖思想が流行っていて、中には十八字為王説(李氏が王になる=李の字を解体すると十八子となることから)が有名です。木の葉っぱに蜂蜜で文字を書き、これをアリや虫が食べるように仕掛けるとちょうど「十八子(李氏)が王となる」と読み取れるよう仕掛けていたと話を小中学生頃散々聞かされたことがあります。

 『鄭鑑録』は朝鮮王朝中期の現れ、突風を起こしてました。何と今でも『鄭鑑録』を信仰する人々が少なくないです。今現在でも、『鄭鑑録』が本屋で売られています。
 韓国のちょうど真ん中あたりに大田市がありますが、その近くの鶏龍山が霊山として信仰され今でも全国から霊媒師たちが修行の場として使われているはずです。何と尹錫悦の妻の金建希も鶏龍山のほか全国の霊山5箇所で特別な儀礼を行っていたといわれています。戒厳令の成功を祈っていたのでしょうか?韓国の大統領府がこれを報じたニュース媒体を訴えていますが、霊媒師の音声入りの取材記録がすでに様々な形で報道されていますので簡単には否定できないでしょう。実際、金建希や尹錫悦の周りには実に多くの霊媒師たちが群がってましたし、尹錫悦自身も大統領選の候補者討論会に出演した際に掌に「王」の字を書いて出演していました。

 前回、韓国におけるキリスト教の隆盛の話をしていましたが、キリスト教の信仰こそメシアニズムの最たる例でしょう。中でも、「病気治療」を専門とする一派も数多く、今日の韓国における驚異的なキリスト教の隆盛こそ、メシアニズムの到来とみなされたからでしょう。しかも、これが西洋からの大伝統として衣替えしたものですら、余計厄介な形となってしまいました。

 今回の尹錫悦の弾劾捜査で明らかになったのも「韓国の根深い呪術的思考」でした。盧相元元保安司令官の計画は少なくても500以上の個人や団体の関係者を虐殺するという計画も含まれていました。500名ではなく、500以上の関係者を虐殺するという話でしたから「失敗」してよかったわけです。
 盧相元元保安司令官自身も霊媒師の仕事をしていましたが、更に位の高い女性霊媒師に30数回尋ねて計画を勧めていました。ちなみのこの女性霊媒師はかなり人気があるようで、半年後まで与薬が埋まっているそうです。この女性霊媒師が国会の調査委員会で証言していたのでますます人気ものとなっているそうです。

 尹錫悦の妻の金建希も母親の崔銀順も霊媒師好きで有名です。金建希は霊媒師を大統領府に高級官僚として押し込み、尹錫悦も「天空」という霊媒師を師と仰いでいたことで有名です。そして、総理の韓トクスの妻も霊媒師好きで、よく金建希と揃って霊媒師回りをしていたそうです。天空が「2025年には必ず南北統一する」と豪語していたのでこれが今回の戒厳令宣言と関係あるかも知れません。

 今日も様々な霊媒師が関わった詐欺罪のニュースが飛び込んできました。親の離婚と学校でのいじめにより、精神異常(分裂症)になってしまった娘を救おうと何故かこの若い母親が霊媒師を訪ねていったのが不幸の種だったというニュースでした。全財産(合計約2億円近く)を霊媒師に吸い取られたという悲しいニュースでした。
 
 霊媒師が多すぎます。ソウルの町を少しでも歩けばいくらでも気かけることができます。5メートル以上の竹竿に5色か3色の布を結んでいる住宅がそうです。
 しかし、僕がちょっと調べたところ、今日の韓国の霊媒師の実体を把握することはできませんでした。韓国政府には霊媒師の大量異常発生に気づいてないか問題意識がないからと思われます。朝鮮総督府はちゃんと調査をしていましたた、今の韓国政府に問題意識があるとは思えません。村山智順の調査が驚くほど綿密な調査内容だったのは警察による協力があったと思います。村山の『朝鮮の占卜と予言』に継ぐ本格的な再調査を期待したいと思います。

 というわけで、話が若干それてしまいましたので元に戻しますね。
今日の韓国のキリスト教の牧師たちは「自分こそ真のイエス」(つまりメシア)という教会団体が実に多いです。数え切れないほどいます。前回の80番の記事で羅列したすべての異端キリスト教の牧師は全員「自分こそメシア」と名乗ってました、これがまた受けられています。統一教も例外ではありません。メシアニズムを歌うと受けが良いわけです。メシアニズムを受け入れるしっかりした土壌があるから、次から次へと「われこそメシア」と生まれ続けているのでしょう。

 僕はこれも日本の肩こりと同じように「文化病」と考えています。まずは村山智順の成果を凌ぐような実態調査が必要と思われます。「韓国民が分析的かどうか」は問いませんがそう簡単ではないでしょう。でも、韓国社会を理解する上で、朝鮮半島に延々と伏流しているメシアニズムの対する理解が不可欠と僕は信じています。

 朴正煕はメシアだったわけです。突然、現れ民衆を苦難の歴史から救ってくれた文化英雄だったわけです。今でも熱狂的なファンがいるの朴正煕がメシアだったからでしょう。いわゆる成功したメシアだったわけです。
 北朝鮮の金日成もメシアとして熱狂的に登場したわけです。お互いに向きは反対側でしたが万人平等の「社会主義」の代理人、つまりメシアとして受け入れられました。

金日成の母親はクリスチャンでした。名前からすると金日成も教会に行っていたのでしょう。キリスト教の十戒から10大綱領を作り上げたと見られます。

 でも、金日成は失敗したメシアで終わってしまいました。今、脱北者の中にはすでに軽く数十名の牧師(2020年前後の年まで)が誕生しています。そして、北朝鮮の名前を捨て、キリスト教の名前をつける脱北者も数え切れないほどいます(賛美、主イエス、ヨセブなど)。
 こんなに簡単に信じれらてしまうのか?と僕は驚いてしまいますが、文禄慶弔時に日本に拉致され長崎、佐賀、福岡に移住した「朝鮮の末裔は布教対象でもなかったのに、自ら信教してくれた」と驚くオランダの司祭の報告を思い出したしまいます。
 実に、不思議ですね。そういえば、朝鮮の最初のキリスト教の洗礼者李承薰も自分の足で北京まで出向いて洗礼を受けてきたことで有名です。当時の宣教師たちが「自ら転んできた幸運の石」という趣旨のことを述べています。他の国々では布教のため命かけで向かっていくのに「朝鮮民は向こうから入ってきた」と喜んでいたわけです。「李承薰、朝鮮からの拉致者、脱北者」になにか共通点が感じれらません?

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