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No.1734 ぼいん

現役の頃、新年度の校内研修会があり、お招きした市役所の課長さんから「接遇」のお話をうかがったことがありました。私は、その方の部下(若い事務員)の窓口での対応に心を奪われました。ご一読頂ければ幸甚です。

ある日、お婆ちゃんが、1人で市役所に何かの手続きに来られたそうです。お婆ちゃんは、申込用紙に記入して、当該の窓口にやって来ました。若い事務員が応対したのですが、
「お婆ちゃん、印鑑お持ちですか?」
と尋ねると、
「わしゃ、印鑑を忘れちなあ…。」
と答えたそうです。

「それなら、拇印でも構いませんよ。」
というと、ちょっと考えて、
「わしゃ、ぼ印も忘れちなあ…。」
と申し訳なさそうに答えたのだそうです。

その時に、その事務員さんは、何ごともなかったかのように、
「そうですか。それじゃ、ここん所に指に朱肉をつけて押してください。」
と言って、手続きを済ませたのだといいます。

「お婆ちゃん、拇印って右の親指で印鑑代わりにすることよ!」
と教えてあげることが大切だという人も中にはいるかも知れません。でも、言えば相手に恥をかかせたり、角が立ったりすることもあります。若い事務員の咄嗟の対応に上司は気づいて、自分もハッとさせられ、その言動にいたく感心したというお話でした。

「接遇」とは、平たく言えば「おもてなし」でしょうか?若い事務員さんの小さな気づきや思いやりの心と言葉は、上司を感動させました。そして、上司を通じて、私たちの心も温かくしてくれました。

新学期を前に、心の整頓が出来た気がしました。「接good!」でした。


※トップ画像は、クリエイター・スナフさんの「ヒガンバナ」の1葉をかたじけなくしました。彼岸の頃を忘れずに咲く、心ある花の印象があります。その色は朱肉の色にも通じているなと思いました。お礼を申し上げます。