No.1510 やぶへびでした!
「ずくなし!」
熊谷達也著『箕作り弥平商伝記』に出てきた言葉です。主人公の弥平は秋田県大平黒沢の農民で、秋田訛りの会話文が多く、居ながらにして東北地方を往来している気分です。
川崎洋さんの「方言再考」(草思社、1981年)という本に、
「2月に降る雪は、降ってもすぐ消えるので『ずくなし雪』と呼ばれます。『ずくなし』は青森、秋田、岩手、山形、群馬、山梨、長野など、かなり広範囲にわたっており、『いくじなし』、『臆病者』、『度胸なし』といった意味に使われている」
とあることをネットの情報で知りました。
「上越地方の『ずくなし』は『根気のない』『やる気がない』こと、静岡の『ずくなし』は『無精者』、山形は『不器用』を指す。」
ともあり。地方によって、言葉の意味が少しずつ違ってくるのは、他県の方言も同じだろうと思われます。
長野は、娘が王子様を見初めて嫁いだ先ですが、そのご縁で数年前に人生初の「ずくなし」の言葉を御地で知りました。
意欲・根性・粘りに関する言葉のようにお聞きしましたが、地元の方のお話では一つの意味ではとらえきれない、広汎な解釈が出来る言葉だといいます。「面倒臭がり」「役立たず」「怠け者」「無精者」「根性無し」のほか、曖昧なのにその状況を言い当てて、しっくりくるような不思議な言葉です。その時の感動も手伝ってか、『箕作り弥平商伝記』をいっきに読み終えました。弥平の人となりに心が洗われるようでした。
さて、ネットには「47都道府県の方言辞典」という、そそられるページがありました。その情報によると、「いくじなし」の主な方言として、
山形県 「ずぐだれ」
福島県 「うんぞくなし」
新潟県 「ざまったれ」「ずぐなす」「しょーねなし」
長野県 「ずくなし」
静岡県 「じちなし」
京都府 「あかんたれ」「しけた」
大阪府 「あかんだれ」
福岡県 「へこたれ」
鹿児島県「やっせんぼ」
が挙げられていました。大分では「へこたれる」は、おもに「疲れきる」や「意気阻喪」の意味で使いますが、子供のころに「こん、へこたれが!」(この、根性無しが!)と叱られた記憶が…。ハイ、「へこたれ仁」でございます!
思わぬところから「ずくなし」な自分が浮き彫りに?巳年なだけにヤブヘビだったか?
「ずくなしの生まれる場所は炬燵なり」
里山子さんのnote(2020年2月5日)にありました。わが家の炬燵も人気者です。
※画像は、クリエイター・菊瓢 kikuhisagoさんの、「室町時代の炬燵」の1葉をかたじけなくしました。女性が足を投げ出して「こたつ」にあたる絵ですが、一部だけになってしまい申し訳ありません。ヘーボタンでした!お礼を申し上げます。
