沖縄の創作昔話「雨の中の二人の子ども」
読んで聞かせる沖縄の創作昔話を書いてみました。
昔話の形式のため、描写はシンプルにしています。
声に出してお読みいただくとより楽しめると思います♪
「雨の中の二人の子ども」
昔、イジュの白い花が咲いたころ、ある男が家の中でのんびり寝そべっていました。
すると「えーん、えーん」と、泣き声が聞こえてきたので、男が外をのぞくと、家の前で泣いている男の子がいました。
「おまえはどこの子だ?どうして泣いている?」
男が聞くと、男の子は言いました。
「友だちのボースーとはぐれた。おじさん、ぼくと同じくらいの子どもを見なかった?」
「見てないよ」
と男は答えました。
すると男の子は泣きながら歩いて行ってしまいました。
変わった子だなあと思いながら、男が家の中で寝そべっていると、また泣き声が聞こえてきました。
「えーん、えーん」
男が外を見ると、先ほどの男の子とよく似た背格好の男の子が、家の前に立っていました。
「おまえはどこの子だ?どうして泣いている」
「友だちのスーマンとはぐれたんだ。おじさん、ぼくと同じくらいの子どもを見なかった?」
「おまえはボースーか?」
男が聞くと男の子は驚いて答えました。
「そうだよ。おじさん、どうして僕のことを知っているの?」
「スーマンなら、向こうへ歩いて行ったよ」
男が指をさすと、男の子は嬉しそうに走っていきました。
ゴロゴロゴロゴロ……
雷の音が鳴ったので、男が空を見あげると、灰色の雲に覆われてあたりは暗くなっていました。
「大雨が降りそうだな」
男は二人の子どものことが気になって、あとを追いかけることにしました。
男がボースーの姿を見つけると、遠くのほうにいるスーマンの姿も見つけました。
「スーマン!」
「ボースー!」
互いに気がついた二人の子どもは、嬉しそうにかけ寄りました。
走ってきた二人が勢いあまってぶつかると、
バン!
と空気が裂けるような大きな音がなりました。
とたんにザーッと大雨が降り出しました。
あまりに激しい大雨だったので、霧が立ちこめて、男は二人の子どもの姿を見失ってしまいました。
「あいつら、どこへ行ってしまったのだろう……? 大雨に流されてなければいいが」
男が二人を探しまわっていると、
「おーい、おーい」
と男を呼ぶ声が聞こえてきました。
男が空を見あげると、スーマンとボースーの二人が仲良く肩を組んで、空に浮かんでいました。
「おじさん、ありがとう」
スーマンとボースーは男に向かって手を振ると、雲の向こうへ飛んでいってしまいました。それからしばらく雨は何日も続きました。
沖縄では梅雨の時期のことを小満芒種(スーマンボースー)と呼びます。
おしまい

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