沖縄の創作昔話「仲西ヘーイと人さらい」
沖縄の昔話をもとにした、創作昔話を書いてみました。
暑い夏に冷んやりするお話はいかがですか?
それでは始まり始まり。
「仲西ヘーイと人さらい」
昔、沖縄がまだ琉球だった頃、悪い人さらいがいました。
人さらいは村にいる子どもを狙っては、さらうのを繰り返していました。
村の人々は自分の子どもがさらわれないかと、恐れおののいていました。
人さらいは村から子どもをさらってくると、那覇にある潮渡橋(しおわたりはし)という橋へ連れてきました。
夜になると、人さらいは潮渡橋でこう呼びました。
「おーい、仲西ヘーイ」
「ヘーイ」
返事がかえってきて、どこからともなく男が現れました。
「仲西、この子を連れて行ってくれ」
「ヘーイ」
人さらいは仲西という男に子どもを渡すと、仲西からお金をもらいました。
仲西は夜の暗闇に紛れて、子どもをどこかへ連れていってしまいました。
こうして、人さらいは子どもをさらっては、仲西に売り渡すという悪事を繰り返していました。
ところがある日のこと、人さらいは仲西が死んでしまったというウワサを聞きました。
「本当に仲西は死んでしまったのだろうか?」
人さらいは信じられませんでした。
人さらいは子どもをさらってきて、いつものように潮渡橋にやってきました。
「おーい、仲西ヘーイ」
「・・・」
「おーい、仲西ヘーイ」
「・・・」
返事がありません。
「やっぱり死んでしまったのだろうか?」
人さらいはもう一度だけ読んでみることにしました。
「おーい、仲西ヘーイ」
「ヘーイ」
返事がして、暗闇の中から仲西が現れました。
「生きていたのか、仲西」
人さらいはホッとしました。
「仲西、連れて行ってくれ」
「ヘーイ」
そういって人さらいが子どもを渡そうとすると、仲西は人さらいの腕をガシッとつかみました。
「仲西……?」
人さらいはギョッとしました。
仲西の顔は青白くて、全身がずぶ濡れだったからです。
仲西はこう言いました。
「俺は人から恨まれて、川に落とされて死んだんだ」
人さらいは青ざめてガタガタ震えました。
「さあ行こう、おまえを連れて行ってやる」
仲西はそういうと、人さらいとともにパッと姿を消しました。
残された子どもは慌てて逃げて、自分の家に帰ることができました。
それからというもの、潮渡橋では
「仲西ヘーイ」
と呼んだ者は、神隠しにあって姿を消してしまうそうです。
人々は妖怪になった仲西ヘーイが連れて行ってしまうのだとウワサしました。
だからくれぐれも、潮渡橋で「仲西ヘーイ」と呼んではいけませんよ。
おしまい

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