【隊員インタビュー】中藪大和さん
「自分にできるのは農業しかないな、士別でそれができたらなって」
京都出身の中藪さんは現在28歳。
今年で協力隊3年目、7月末で任期満了を迎える。
分野は農業支援員。3年の任期を経て新規就農を目指す。
現在は士別市多寄地区の農家で研修を積んでいる中藪さんに、士別に来たきっかけや今後の目標などを聞いてみたら、その身軽なフットワークとなんとかなるさの精神でこれまでをたどってきた中藪さんの人生が垣間見えた。

中藪さんは高校まで京都で過ごし、部活で取り組んでいたアイスホッケーの推薦で北海道江別市にある酪農学園大学に進学した。「別に農業やりたかったわけじゃないし、たまたま北海道だっただけで、専門も野生動物だった(笑)」あっけらかんとそう話すが、そんな人がどうして士別で新規就農を目指して地域おこし協力隊として活動しているのだろうか。
大学在学中3年次から2年間休学し、1年半アメリカで農業研修に参加した。「廊下歩いてたらゼミの先生にアメリカいけって言われてさ、行ってみるかなって感じで…(笑)」あと先考えずまずは行動する。その身軽さと決断力が士別に来ることにも関係しているのだろうか。「めっちゃ辛かったよ、言葉通じないし、早く帰りたいと思ってたし、農業なんか絶対やんないって思った(笑)」ワシントン、ネブラスカ、カリフォルニアでトータル1年半海外農業研修をやりきった中藪さんは、その辛さから農業から離れたいと思っていたという。
日本に戻って大学に復学し、就活は農業を完璧に外した。無事に札幌の警備系の会社に就職が決まり、そんな中で現在の奥さんとも出会う。奥さんは実は士別の出身。この出会いが士別にきた一番大きな理由だという。
札幌で2年ほど働いていた頃、これまで封印していた農家への道が急に目の前に現れる。 「何か自分でやりたいなと思ってたんだけど、何ができるか考えた時に農業だなって(笑)それしかできないしさ。奥さんの実家は士別にあるし、協力隊の制度で就農したっていう友達の話も聞いてたし、士別でやってみるかなって。」これまであえて選ばなかった農業という選択肢が現実味を帯びて差し迫ってきた。
22年7月、ついに士別市地域おこし協力隊として着任した。25年3月までは上士別地区の農業法人田舎塾で農業の基本を学んだ。「酪農大だったし、アメリカにも行ってたけど、ちゃんと基本を学んだのは士別きてからだね。」意外にもアメリカでは農作業というよりは作物の箱詰めや養豚場での勤務だったという。本格的に農業を始めたい人にとって士別で地域おこし協力隊として活動するということは、基本を学べるという意味において大きな価値があるのだろう。

研修先で農業の基本を学ぶ傍ら、研修先からハウスを借り自分でトマトの栽培も始めた。2年目には「やまとのとまと」として商品化、市内の農家が共同で利用できる加工場で自ら製品化までを行っている。「去年の夏にとりあえず100本ジュースを作ったんだけど、一瞬で売れ切れちゃった。」市内の人だけでなく、道外からも注文があり予想を上回る売れ行きだったという。「今年は1000本作れるように頑張りたい、忙しくなるな(笑)」朝から夕方までは研修先での業務に就き、その前後の時間で自身のトマトを育てる。ハードな生活な分美味しい作物ができた時の達成感は一入なのだろう。ちなみにトマトジュースの販売は道の駅や農協、メルカリ(やまとのやさい)などで行っている。

最後に士別で協力隊として農業をやりたい人に向けて、メッセージを残してくれた。「1年目から計画的に新規就農に向けて動かないといけない。誰かがやってくれるじゃなくて、自分から率先して動いていく必要がある。」実際に1年目から自身の作物の栽培に着手し、着実にその土台を固めてきた中藪さんがいうそれには強い説得力がある。「農協や普及センター、農業委員さんなど助けてくれる人は多いから。」
今後はトマトと畑作での新規就農を目指して動いていくという中藪さん。士別に腰を落ち着けた彼のこの先の未来も、持ち前の身軽さとそれでいて鋭い現実的な行動力とできっとなんとかなるのだろう。

※中藪さんは2025年7月末で協力隊の任期を満了しました。お疲れ様でした!
