学びを実践できる人になろう④ 『検索練習』——苦労して覚えたことは忘れない
『学びを実践できる人になろう』シリーズの4回目です。
このシリーズでは、きちんとレッスンに通っているんだけどなかなか上達しないという人に向けて、学びを実践し、血肉に変えるためのテクニックを紹介しています。
前回は、「名前がないパッシブスキルに名前をつけよう」という話をしました。今回は「覚えるってやっぱり大事」という話をしたいと思います。
現代人は「覚える」ということを軽視している
僕が大学生だった約20年前、すでにインターネットはかなり普及していて、その頃から「覚えなくても調べればいい」という風潮は広がりつつありました。そして現代、AIの出現により、「覚えなくてもいい」どころか「考えなくてもいい」という風潮になるのではないかと危惧しております。
レッスンでも振付をその場で覚えなくても、スマホで動画を撮ればあとから練習できます。レッスンでの動画撮影の賛否はありますが、僕は(条件つきで)ありだと思っています。ですが、「覚えなくてもいい」というスタンスになるのはまずいかなと思います。
覚えないデメリット①:今、この場で使えない
「最近はAIが発達しているので、英語ができなくても海外の人とやりとりができる」みたいなことを言っている人がいます。確かに、ちょっと道を聞くだけとか、旅行して買い物するだけとかなら問題ないところまで来ています。またタイムラグがOKなテキストでのやりとりなら、仕事でも可能かもしれません。
しかし、いざアメリカに住んで仕事をするとなると、難しいでしょう。会話している途中でいちいちスマホで調べることで生じるタイムラグ、現地のアメリカ人が許容してくれるかというとそうではないでしょう。日本で生きる我々も、まったく日本語がしゃべれず、リアルタイムのコミュニケーションにAIを駆使してくるような人と仕事はやりたくありませんよね。
覚えていないことは、今、この場で使えません。英語を覚えてなければ、アメリカで仕事なんてできません。ダンスも同じで、知っているけど覚えていないアクティブスキルだったり、何回も言われているけど身についていないパッシブスキルがいくらあっても意味がないのです。
覚えないデメリット②:アウトプットが稚拙になる
もうひとつ重要なことは「アウトプットはインプットにより決まる」ということです。
例えば、振付をする場合、音楽を聴いて、頭の中でイメージし、動きをアウトプットしていきますが、そのアウトプットされる動きは「自分ができる動き」だけです。いくらたくさん振付をしても、新しいインプットがなければ新しい振付にはならず、「曲は違うんだけど振付は新鮮さがないな」という状況に陥ります。
振付の幅を拡げるためには、普段からいろんな動きをインプットし、使える状態にしている必要があります。
振付に限らず、人生において何か重要な決断をしなければならないときでも、基本的には自分の知識や経験の中でしか判断できません。若者と大人の判断を比較しても、やはり若者の判断は稚拙なことが多いです。それは単純に生きてきた時間が違うので、若者が生きてきた人生での知識と経験では取りこぼしている判断があるからです。
同じ大人であっても、読書をしている人とそうでない人とでは、判断の質がまったく異なります。ただ長い時間を生きてきただけの人と、多様な知識と価値観を本でインプットした人とでは判断のレベルが変わるのは当然です。
結論、「覚える」ということは本当に大事なんです。
「わかった」は「覚えた」ではない
「覚える」ことの重要性がわかったところで、次の課題。多くの人は「覚える」が甘いです。もう少し具体的に言うと「わかった=覚えた」という認識の人がほとんどです。
例えば、「この先生のレッスンわかりやすい」とか「今日の振付は比較的すんなり覚えられた」みたいな状況、今まで経験あると思うのですが、人はこの「わかった」を「覚えた」と錯覚してしまう生き物なのです。
これを『流暢性の錯覚』と呼びます。
先生がわかりやすく教えてくれたベーシック、完璧に理解したと思っていたけど、バトルでは使えなかった。
先生が一緒に踊ってくれたらスムーズに踊れたけど、いざ自分だけで踊ると、違和感しかなかった。
鏡を見て踊るのはできるけど、鏡を見ずに踊るとめちゃくちゃミスしてしまった。
以上のようなことは、ダンスの世界では「あるある」ですが、これを「あるある」で済ませて先に進まない人が多いわけです。ぜひここまで読んだ方には、ここから先の世界を体験してほしいと思います。
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