ベンジャミン・ジョウェット Benjamin Jowett氏について

「ジヨヱツト教授」とは、19世紀イギリスの非常に著名な学者・神学者であるベンジャミン・ジョウェット(Benjamin Jowett、1817年~1893年)のことです。新渡戸稲造の『武士道』の原文(英語)では “Benjamin Jowett” とはっきりと名前が記されています。 [1, 2]
彼がどのような人物であったのか、特徴を分かりやすくまとめました。
1. オックスフォード大学の偉大なる学長・教育者 [1]
彼はイギリス最高峰のオックスフォード大学バリオール・カレッジの学長(総長)を務めました。非常に熱心な教育者であり、学生たちの才能を見出して育てる天才でした。彼の教え子からは、のちのイギリス首相や、日本とも関わりの深い高名な外交官などが多数輩出されています。 [1, 2]
2. プラトン研究・翻訳の第一人者
ギリシャの哲学者プラトンの著作を英語に翻訳した人物として、世界の学問の世界で最も有名です。彼が訳した『プラトン対話篇』は非常に美しく正確な英語で書かれており、今でも世界中で読まれています。文章にある「學殖深遠(学識が深く優れていること)」という言葉にふさわしい、天才的な古典学者でした。 [1, 2, 3]
3. 偏見のない、自由で開かれたキリスト教の聖職者
彼はキリスト教(イングランド国教会)の聖職者でもありました。
しかし、当時の保守的な教会とは違い、「聖書も他の古代の歴史書と同じように、科学的・客観的に研究すべきだ」という自由で進んだ考え(自由主義神学)を持っていました。
そのため、一部の保守派からは批判されることもありましたが、常に「宗教の壁を超えて、人間として何が正しいか」を公平に見つめようとした、誠実で敬虔な人物でした。 [1, 2]
💡 新渡戸稲造が彼を引用した理由
新渡戸稲造が『武士道』の中で彼を「賢哲(賢い哲学者)」と呼んで引用したのは、ジョウェット教授が「キリスト教徒だからといって全員が良い人とは限らないし、異教徒(西洋から見た日本など)だからといって悪い人ばかりではない。どの世界にも隠れた素晴らしい美徳がある」という、極めて公平で広い視野を持っていたからです。
キリスト教国(西洋)の知識人であるジョウェット教授がそう語ったからこそ、新渡戸は「日本の武士道の中にも、西洋に負けない素晴らしい道徳(善美)が隠されているのだ」という自説の強力な裏付けとしたのです。

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