武士道 第14章 #48 吾妻(あづま)
#48 Adzuma, the ideal wife in the minds of samurai girls, finds herself loved by a man who is conspiring against her husband .


私の訳:
武士の娘たちの心の中にある理想の妻、吾妻(あづま)は、自分の夫に陰謀を企む男によって恋慕されていることを知る。


1893年にエドウィン・アーノルド卿によって書かれた戯曲『Adzuma; or, The Japanese Wife(東、または日本人の妻)』のヒロインを指していると考えられます。
この作品における「東」のキャラクター像と、ご提示いただいた一文の背景は以下の通りです。
「東(あづま)」という人物像
理想の妻の象徴: 彼女は「武家の娘たちの理想」とされる、献身・徳・深い忠誠心を体現した人物として描かれています。
物語のあらすじ: 渡辺渡(わたなべ わたる)の妻である東は、情熱的な侍・盛遠(もりとう)から激しく求愛されます。
夫への陰謀: 盛遠は東を手に入れるため、彼女の夫である渡辺を亡き者にしようと画策します。東は夫への忠誠と、盛遠の執拗な追及の板挟みになり、最終的に悲劇的な結末(夫を守るための自己犠牲など)へと向かいます。
歴史・文化的な背景
この物語は、日本の古典的な説話である「遠藤盛遠と袈裟御前(けさごぜん)」の伝説に基づいています。
袈裟御前: 平安時代末期の女性で、夫・渡辺渡を殺そうとした遠藤盛遠(後の文覚上人)を欺き、夫の身代わりとなって殺されたと伝えられています。
アーノルドの脚色: エドウィン・アーノルドは『光のアジア』などで知られる日本通の英国人詩人で、この日本の伝統的な「貞女」の物語を、西洋の読者に向けて「理想的な日本女性」の悲劇として戯曲化しました。
したがって、ご提示の英文は「武家の娘が憧れる貞淑な妻の鏡である東が、夫を殺して彼女を奪おうと企む男(盛遠)に愛されてしまう」という、物語の核心となる葛藤を説明しているものと言えます。
袈裟御前(けさごぜん)は、平安時代末期から鎌倉時代初期の伝説的な女性で、武家の女性の理想像である「貞女」の鑑として語り継がれています。彼女の悲劇的な最期は、後の名僧・文覚(もんがく)上人の出家のきっかけとしても知られています。
袈裟御前の伝説(「文覚発心」の物語)
物語の主要な内容は、軍記物語『源平盛衰記』などに記されています。
盛遠の横恋慕: 北面の武士・遠藤盛遠(えんどう もりとお)が、友人の源渡(わたなべ わたる/みなもとの わたる)の妻である絶世の美女・袈裟御前に一目惚れし、強引に求愛しました。
決死の計略: 盛遠は「渡を殺さなければ、お前の母を殺す」と脅します。板挟みになった袈裟御前は、夫と母を救うため、「夫を殺してくれれば貴方に従う」と偽り、殺害の手引きを装いました。
夫の身代わり: 決行の夜、彼女は夫の髪を洗い、酒を飲ませて深く眠らせると、自ら髪を濡らして夫の寝所に潜り込み、身代わりとなりました。
文覚の誕生: 暗闇の中で首を撥ねた盛遠は、それが愛する袈裟御前であったことを知り、己の罪を激しく悔いて出家。のちに源頼朝にも重用された怪僧・文覚となりました。
ゆかりの場所
京都には、彼女の菩提を弔うために建てられたとされる寺院や塚が残っています。
利剣山 恋塚寺(戀塚寺)(京都府京都市伏見区下鳥羽城ノ越町132)
特徴: 盛遠が袈裟御前の菩提を弔うために建立したと伝わる浄土宗の寺院です。
見どころ: 境内には彼女の墓とされる「恋塚」があり、本堂には文覚・袈裟御前・渡の三体の木像が安置されています。
恋塚碑(浄禅寺)(京都府京都市南区上鳥羽南岩ノ本町)
特徴: 袈裟御前の首を埋めたとされる塚が伝わり、貞女として彼女を顕彰する碑が立っています。
文学・芸術への影響
彼女の物語は、芥川龍之介の小説『袈裟と盛遠』や、カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した映画『地獄門』の題材にもなりました。
彼女が死を覚悟した際に詠んだとされる辞世の句は、「露深き 浅茅が原に 迷う身の いとど暗路に入るぞ悲しき」と伝えられています。











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