武士道 第16章 #36 タウンゼンド氏は言う。 日本は自発的に西洋から学んだのだ。

#36  A close observer of oriental institutions and peoples has written:
"We are told every day how Europe has influenced Japan, and forget that the change in those islands was entirely self-generated, that Europeans did not teach Japan, but that Japan of herself chose to learn from Europe methods of organisation, civil and military, which have so far proved successful.


私の訳:東洋の制度並に人民を精しく觀察したるタウンゼンド氏は記して曰く、「我々は如何にヨーロッパが日本に影響したかを日常聞かされて、この島の變化の全然自己發生的であった事を忘れる。歐洲人が日本を教へたのではなく、日本は自己の意を以てヨーロッパから文武の組織の方法を學び、それが今日迄の成功を来したのである。






文章は、イギリスのジャーナリストであり評論家でもあるメレディス・ホワイト・タウゼント(Meredith White Townsend, 1831–1911)の言葉です。

この一節は、彼が1901年に出版した著書『アジアとヨーロッパ(Asia and Europe)』の中のものです。日本では、新渡戸稲造が名著『武士道(Bushido: The Soul of Japan)』の第16章(日本の将来)の中で、「タウゼント氏(Mr. Townsend)」としてこの言葉を引用したことで広く知られています。

タウゼント氏とはどのような人物か

  • アジア通のジャーナリスト
    19世紀から20世紀初頭にかけて活躍したイギリスの著名な言論人です。若き日にインドに10年以上滞在し、現地の新聞社で主筆を務めるなど、アジアの情勢や文化に深い知見を持ちました。

  • 『スペクテイター』誌の共同編集長
    イギリスに帰国後、高名な週刊誌『スペクテイター(The Spectator)』の共同編集長兼オーナーとなり、数十年間にわたり国際政治や社会批評の発信を続けました。

  • 彼の思想と日本観
    タウゼント氏は「ヨーロッパの思想や宗教をアジアに強制することはできない」という、当時としては独特なアジア・ヨーロッパ分離論を持っていました。その中で日本に対しては、「西洋から強制されたのではなく、自らの意志で主体的に西洋の文明や組織(軍事・政治など)を学び、取り入れた稀有な国である」と高く評価していました。

新渡戸稲造は、日本が近代化したのは単に西洋の真似をしたからではなく、日本人が本来持っていた主体性や「武士道」の精神基盤があったからだ、という自説を補強するために、このタウゼント氏の言葉を引用しました。






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