武士道 第15章 #9 When Adam delved and Eve span...アダムとイヴが労働しているのに、特権階級はどこにいたのか?
#9. " Democracy may make self-confident retorts to such a statement and fling back the question — "When Adam delved and Eve span, where then was the gentleman?"


私の訳:
『海峡(ドーバー海峡)を越えた地(フランス)で使われている、この三音節 (gen-tle-man) の言葉はイギリス社会の歴史を要約している』と、M.テーヌ(テーヌ氏)は実に正しく述べている。


昂然(こうぜん)とは、自信に満ち溢れ、気負って意気込んでいる様子、または誇らしげな様子を指す言葉です 。
主に以下のような意味や使い方があります。
・意味: 意気盛んなさま、胸を張って誇らしげな様子。
使い方: 「昂然とした態度で挑む」「昂然と胸を張る」など、自信に満ちた姿勢や表情を表現する際に用いられます。
・文脈: 堂々としている、あるいは他者に対して負けを認めないような強い意志を示す場合によく使われます。
「昂」という漢字はあがる、高くする、という意味を持ち、心が昂ぶる(たかぶる)様子とも関連しています。












ちょっとした背景知識
この "When Adam delved and Eve span..." というフレーズは、14世紀イギリスの「ワット・タイラーの乱」でジョン・ボールという僧侶が説教に使った非常に有名なスローガンです。
「人類の祖先であるアダムとイヴの時代には、労働する人しかおらず、階級の差なんてなかったはずだ(だから不当な支配はおかしい)」という、平等主義を象徴する言葉として知られています。
ワット・タイラーの乱(1381年)は、中世イギリスで起こった史上最大規模の農民反乱です。
先ほどの英文に登場した「アダムが耕し、イヴが紡いでいたとき…」という言葉は、この反乱の思想的支柱となった僧侶ジョン・ボールが民衆に説いた有名なフレーズです。
1. 発生の背景
ペスト(黒死病)の影響: 人口激減により労働力が不足したため、農民の立場が強まり賃金上昇を求めました。しかし、領主側はこれを抑え込もうと束縛を強めたため、不満が蓄積していました。
百年戦争と重税: フランスとの戦争(百年戦争)の戦費をまかなうため、国王リチャード2世の政府が「人頭税(Poll Tax)」という不平等な増税を繰り返したことが直接の引き金となりました。
2. 反乱の経過
指導者: 瓦職人(タイラー)出身のワット・タイラーが軍事的な指導者となり、僧侶ジョン・ボールが精神的な指導者となりました。
ロンドン占領: 怒った農民たちはロンドンへ進撃し、一時は街を占領して政治腐敗の象徴だった宮殿や記録文書を焼き払いました。
国王との会見: 当時14歳だった国王リチャード2世は、反乱軍の要求(農奴制の廃止など)を一度は受け入れるふりをして彼らをなだめました。
3. 結末と歴史的意義
指導者の死: 会見の最中、ワット・タイラーはロンドン市長に斬りつけられ殺害されました。リーダーを失った反乱軍は解散し、その後ジョン・ボールらも処刑され、反乱は鎮圧されました。
その後: 反乱自体は失敗に終わりましたが、支配層に農民の力の強さを思い知らせることになりました。これを境にイギリスでは重税が控えられ、農奴制も徐々に崩壊へと向かうことになります。
「平等」という近代的な概念を中世の時代に突きつけた、民主主義の先駆けともいえる歴史的事件です。






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