武士道 第14章 #29 世にへなばよしなき雲もおほひなん いざ入りてまし山の端の月
#29 The letter she leaves behind ends with these verses:
"For fear lest clouds may dim her light,
Should she but graze this nether sphere ,
The young moon poised above the height
Doth hastily betake to flight.”
武士道には詩が時々出てきますが、これが難しいです。
誰が詠んだ詩なのか。それがポイントです。
それも徹底解説しました。
もちろん英語の詩を理解するのも大変です。
その詩がオリジナルが日本であるときには極度に大変になりますが、頑張ってやっています。


私の訳:
彼女が後に遺した手紙は次の詩で終わっていた。
雲が彼女の光を弱めるとといけないので
彼女はこの丸い球体が欠けるならば
若い月はその高さにとどまり
急いで飛び立って行くことよ。



世にへなばよしなき雲もおほひなんいざ入りてまし山の端の月
その歌は、鎌倉時代の歌人であり政治家でもあった西園寺実氏(さいおんじ さねうじ)が詠んだ一首ですね。
『続後撰和歌集』に収められており、歌の意味や背景は以下の通りです。
歌の意味
「世の中がこんなに嫌な(つらい)ものならば、つまらない雲が月を覆い隠してしまうだろう。さあ、雲に隠される前に、山の端へと入っておしまいなさい、月よ。」
解説
へなば: 「経(ふ)なば」で、時間が過ぎるなら、あるいは(このような世で)生きていくならば、といった意味。
よしなき雲: 「つまらない雲」「縁もゆかりもない雲」。ここでは月を隠す無粋な存在を指します。
いざ入りてまし: 「さあ、(山の端に)入ってしまおうではないか(入ってしまえ)」。
この歌には、濁った世の中(政治的な動乱や世俗の煩わしさ)を避け、清らかな月のまま隠れてしまいたいという、作者の隠逸への志向や世を厭う気持ちが込められています。西園寺家は当時権勢を誇っていましたが、そうした華やかな舞台にいるからこそ感じる「世の無常」が、月に寄せて詠まれています。
静かな月夜に、喧騒を逃れたい心境が伝わってくる美しい歌ですね。























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