武士道 第14章 #42 日夜、強く又やさしく、勇ましく哀しき調を以て、おのが小さき巣に歌ひかけた 日本女性は何てやさしいのだろう
#42 Night and day, in tones at once firm and tender, brave and plaintive, they sang to their little nests.



櫻井鴎村訳の研究
彼は、力強く、やわらかく、剛健で、悲しげでもある声を取りまぜて出し、切々とした調子で、昼も夜も、自分の小さな巣のために歌っている。
語句のニュアンスと補足
勁健(けいけん):力強く、張りのあるさま
柔和(にゅうわ):やわらかく、穏やかなさま
剛壯(ごうそう):たくましく、雄々しいさま
悲惻(ひそく):悲しみを帯びた、胸に迫るようなさま
切々として:胸にしみるように、心を込めて
小巢(しょうそう):小さな巣(鳥の巣など)
声の多彩さと、巣のために懸命に歌う姿を情感豊かに描いた一文です。
語法のポイント
1. 勁健・柔和・剛壯・悲惻の聲
いずれも漢語の形容語+聲(こえ)で、「力強い声」「柔らかな声」などの意味。
並列であり、「~であり、~であり…」と続く列挙。
2. 交も至り(まじもいたり)
「交(まじ)ふ」=混ぜ合わせる、取り交ぜる。
「も」=強意の副助詞(「~もまた」程度の強調)。
「至り」=「至る」の連用形で、ここでは補助的に用いられ「十分に~する」の意を添える。
→ 「さまざまな声を取り交ぜて十分に出し」という意味。
3. 切々として
「切々(せつせつ)」=胸に迫るように、しみじみと。
「として」=状態を表す副詞化の形式。
→ 「しみじみとした調子で」。
4. 日夜
「にちや」ではなく「じつや」と読む場合もある。
「昼も夜も」=時間的継続を表す副詞。
5. 其小巢の爲に
「其(その)小巢(しょうそう)」=彼の小さな巣(鳥の巣)。
「~の爲に」=目的を表す。
→ 「自分の小さな巣のために」。
6. 歌へり
「歌ふ」の已然形+「り」
「り」は完了・存続の助動詞。
ここでは存続で、「歌っている」。









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