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✨「女性が仕事を辞めるとき、本当は何が起きているんだろう」 ~女性だからこそ歩めるキャリア:3章⑤ライフステージ編~

✨シリーズ記事『女性だからこそ歩めるキャリア』 3章⑤:女性が仕事を辞めるとき、本当は何が起きているのか


「辞めることにしました」

その言葉の裏に、どんな経緯があったのかは、多くの場合外からは見えません。

「自分で選んだ」ように見えても、実は「選ばざるを得なかった」という状況があることがあります。

「家庭を優先したかった」という言葉の裏に、「職場が両立を支えてくれなかった」という現実があることがあります。

この記事では「辞めたい」と「辞めざるを得ない」の違いを、データと研究から正直に見ていきます。


📊 数字から見る、若手女性の離職の現実

まず全体像を見てみます。

厚生労働省の雇用動向調査によると、女性の離職率は男性より高く、特に20代後半から40代にかけて男女差が開く傾向があります。
これは結婚・出産・育児を理由に女性が仕事から離れる時期と重なっています。

ライフイベントの変化により退職した割合は男性が15.9%・女性が35.0%(ライボ、2022年調査)。
女性は男性の2倍以上の割合で、ライフイベントを理由に仕事を辞めています。

新卒入社の社員の3年以内離職率は、過去25年以上にわたってほぼ30%台で推移しています。
つまり若手が辞めやすい状況は、景気や時代に関わらず続いているということです。

ただし、これらの数字を「女性が仕事より家庭を選ぶ」という個人の選好として読むのは、正確ではありません。
数字の裏にある構造を丁寧に見ていく必要があります。


🔍 若手女性が辞める理由:データが示すもの

◇20代の離職理由

マイナビの転職動向調査(2024年実績)では、20代の転職理由の1位は「給与が低かった」で、次いで「職場の人間関係が悪かった」「仕事内容に不満があった」が続きます。

厚生労働省の調査でも、女性の20代前半(20〜24歳)の離職理由として「労働時間・休日等の労働条件が悪かった」が上位に来ています。

男女ともに「給与」「人間関係」「仕事内容」という理由は共通しているように見えます。
でも女性の場合、これらの背後に「女性であるがゆえの固有の文脈」が重なっています。

「成果を出しても給与やポジションに反映されない」
「性別によって活躍しづらい傾向がある」
「昇進の限界を感じた」

女性がこういった理由を感じやすい職場構造があることは、以前の記事(評価・昇進の非対称)で見た通りです。


◇30代になると変わる離職理由

30代になると、離職理由に変化が起きます。
マイナビの調査では30代の転職理由は「給与が低かった」に加えて「会社の将来性・安定性への不安」が上位に来ます。

そして30代は、ライフイベントとの衝突が本格化する時期でもあります。

結婚・出産・育児・パートナーの転勤。

これらが「もうここでは続けられない」という判断を引き出しやすくなります。


◇リアリティ・ショックという構造

研究では「リアリティ・ショック」という概念が指摘されています。
実際の仕事のあり方が、入社前に思い描いていたものと異なることで陥る心理状態のことです。

エン株式会社の調査(2025年)では、20〜30代の約9割が「入社後にギャップを感じた経験がある」と回答。
転職を考える原因になったギャップのトップは「職場の雰囲気」「仕事内容」でした。

「入社時に聞いていた仕事内容とは違う業務のほうが多く、自分のやりたいこととの乖離があった」(20代女性)

「社内の人間関係がとても悪く、ネガティブな噂話ばかり聞こえてきて、もっと前向きに働きたいと思った」(30代女性)

といった声があります。

若手社員の転職理由の中で「人間関係が悪い・うまくいかない」は、他の年代と比較して2〜3倍ほど高い比率であるという特徴があります。

感じる力がある人ほど、職場の空気・人間関係の非対称を鋭く感じ取ります。
「なんかこの職場は合わない」という感覚が早期離職につながりやすい。


🌊 「辞めたい」と「辞めざるを得ない」は違う

女性の離職には大きく2種類があります。

◇「辞めたい」から辞める

給与・人間関係・仕事内容への不満、リアリティ・ショック、他にやりたいことがある。
これらは主体的な選択として辞める場合です。


◇「辞めざるを得ない」から辞める

出産・育児との両立ができない環境、パートナーの転勤への帯同、介護、マタハラなど。
これらは構造的な要因によって辞めることを「選ばされる」場合です。

問題は、この2種類が見た目では区別がつきにくいことです。

「家庭を優先することにしました」という言葉が、どちらの意味で使われているかは外から見えません。

ライフイベントにより退職した女性の中には「本当は続けたかったが、できなかった」という人が多数含まれているはずです。

「自分で選んだ」という言葉の裏に、「他に選択肢がなかった」という現実が隠れていることがあります。


📉 Lの字カーブという構造

女性の正規雇用率が25〜29歳をピークに低下し、育児期(30代)から非正規化が進む「Lの字カーブ」は、前フェーズ「働く場で起きること」でも触れました。

このカーブは「女性が仕事より家庭を選ぶ」という個人の選好だけでは説明できません。

  • 育児と仕事を両立できる環境が整っていないこと

  • 育休後に元のポジションに戻れないこと

  • 時短勤務を使うとキャリアが止まること

  • パートナーの転勤についていかざるを得ないこと

これらの「辞めざるを得ない構造」が積み重なって、Lの字カーブが生まれています。

そしてLの字カーブの問題は、キャリアの中断だけではありません。

非正規雇用化による収入の低下・年金の減少・老後の経済的不安定という長期的な影響が続きます。
「一時的に辞める」という選択の長期的なコストを、できれば辞める前に知っておいてほしい。

ただし、限界の状態ではその余裕がないことも多い。


🌸 「辞めたくない」のに辞めてしまう構造

もう一つ、見落とされやすい問題があります。

管理職になりたくない20〜30代女性は85.3%というデータがあります(リクルート調査)。

でもその背景を見ると、「責任が重くなるのが嫌だから」だけでなく、

「目立ったり人目を引いたりすることになるのが嫌だから」
「チームを率いることが苦手だから」

という回答が男性より女性で高い傾向があります(博報堂調査)。

これは「女性がリーダーシップに向いていない」のではなく、「前に出ることへの抵抗感が社会化されている」という構造の問題です。

感じる力がある女性ほど「迷惑をかけたくない」「もっと準備が必要」という思考から昇進を断り、その後「キャリアの天井」を感じて辞めていく。

「辞めたくはなかった」けれど「このままでは前に進めない」という状態が、離職の背景にあることが多い。

この構造を知っておくことで、「なぜ自分がこの感覚を持つのか」が少し見えやすくなります。


💡 一人で抱えないでほしい

「もうここでは続けられない」と感じているとき、その感覚はあなたのせいではありません。

心身が限界のときに「冷静に選択肢を整理しろ」とは言えません。
そんな余裕がないから限界なのです。

ただ一つだけ伝えさせてほしいことがあります。

一人で抱えないでほしい。

「辞める」という選択肢の他に何があるか、今の状況で何が使えるか、辞めた後にどんな選択肢があるか。

これらは、一人で考えていると見えにくいことが多い。

外部の視点を持つ人と話すことで、自分では気づかなかった選択肢が見えてくることがあります。

職場の産業医・社内相談窓口、外部のキャリアコンサルタント、労働局の総合労働相談コーナー(無料)。
「まだそこまで深刻ではないかも」という段階でも相談できます。

休職という選択肢もあります。
傷病手当金(健康保険から給与の約3分の2を最長1年6ヶ月支給)という制度があり、「辞めずに休む」という選択が可能な場合があります。

でもこれも、一人で調べて判断するより、状況を知っている人に相談しながら考えることで、自分の想いを言葉にできます。


🌿 自分が感じてきたことを誇りに

「辞めたい」「もう限界」という感覚を、ずっと「気にしすぎかな」「私が弱いのかな」と思って封じてきた人もいるかもしれません。

でもこの記事を読んできてわかるように、その感覚の多くは「構造の問題」から来ています。

・職場が両立を支えてくれなかった
・パートナーの転勤で選択肢がなかった
・評価が正当にされなかった


あなたが感じてきた理不尽さは、自分のせいではありません。

辞めることになっても、それで終わりではありません。

どんな経緯があっても、
・経験してきたこと
・感じてきたこと
・積み上げてきたこと

は、決して消えません。

それがこれからのキャリアの土台になります。

次のステージで、その力を使ってほしいと心から応援しています🌿



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児玉麗|キャリアコンサルタント/HSPカウンセラー 記事を気に入っていただけたら、サポートしていただけると嬉しいです。 いただいた応援は、これからの記事づくりの励みにさせていただきます。