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円高・原油安が一転、円安・原油高へ。日本株は上昇加速【2026年8月第2週】

今週の結論

先週は「円高・原油安・株高」が大きなテーマだったが、今週はそのうち円と原油がきれいに反転した

日経225 CFDが+5.34%、TOPIXが+6.07%と、日本株は先週以上に上昇した。一方、S&P500 CFDは+0.94%と上昇幅が縮小。ゴールドは+2.49%と上昇を続けたものの、先週の+6.51%から勢いは鈍化した。

そして最も大きく方向が変わったのが、ドル円と原油だ。

ドル円は先週の-3.42%から今週は+1.05%へ反転し、159.30円まで円安が戻った。WTI原油も先週の-6.33%から今週は+5.53%へ急反発して82.40ドルとなった。

先週の記事では、日米協調介入後に157円台まで進んだ円高が「一時的なものなのか、それとも相場の転換点なのか」を注目点として挙げた。少なくとも今週だけを見ると、介入後の円高はそのまま定着せず、一部が巻き戻されたことになる。

原油も同じだ。先週はホルムズ海峡の正常化期待から地政学リスク・プレミアムが剥落したが、今週は交渉の停滞と船舶攻撃によって、その期待が逆回転した。


157円台の円高は定着せず、再び159円台へ

先週、日米協調介入と弱い米雇用統計によってドル円は157円台まで下落した。

しかし今週は157.65円から159.30円まで戻り、週間では+1.05%のドル高・円安となった。

Reutersも8月14日時点で、円は週間約1%の下落となり、日米協調介入による上昇分が薄れつつあると報じている。市場では、円安を止めるには日銀の利上げか、再度の為替介入が必要になるとの見方も出ている。

8月10日に公表された7月30~31日の日銀会合の「主な意見」では、9人の政策委員のうち少なくとも3人が、これまでより速いペースでの利上げを支持する考えを示した。インフレの上振れを防ぐため、金融緩和の調整を加速すべきだという意見も出ている。

さらに13日に発表された7月の企業物価指数は前年同月比+7.2%。円安による輸入価格上昇や、AI関連需要、エネルギー価格などによる物価圧力が続いている。

予測市場のPolymarketでも、今回の集計時点では9月の日銀会合で**25bp利上げする確率が79.5%**となっている。

もちろん、Polymarketは市場参加者による予測価格であって、日銀の公式見通しでも専門家予想でもない。

それでも、

日銀利上げ観測は強まっている

それなのに円は159円台へ戻った

という点は重要だ。

これは、日銀の利上げ期待だけではまだ円高を定着させるには不十分で、米国の長期金利や依然として大きい日米金利差、キャリートレードなどの力が残っている可能性を示している。Reutersも今週、米10年債利回りが4.7%近辺にある一方、日本の長期金利は3%を下回っており、金利差が依然として円売り要因になっていると指摘している。

そして159円台まで戻ったことで、160円という水準と再介入が再び意識される局面に入ってきた。


原油は-6.3%から+5.5%へ――先週の下落をほぼ巻き戻す

今週最も鮮明に方向が変わったのは原油かもしれない。

先週、WTIは週間-6.33%まで下落したが、今週は+5.53%。78.08ドルから82.40ドルまで反発した。

先週の原油安は、米国とイランを巡る外交的な進展やホルムズ海峡の通航正常化への期待によるものだった。

ところが今週、その前提が崩れ始めた。

週初の8月10日には、イランが海峡再開に複数の条件を要求していることから、早期合意への期待が後退。原油価格は1日で約5%上昇した。

さらに週末には、ホルムズ海峡でUAE関連のタンカー2隻が攻撃され、米国はイランへの海上封鎖を無期限に継続する可能性を示した。海峡を通過する船舶数も平時を大きく下回ったままだ。

つまり先週は、

「ホルムズ海峡が近く正常化するかもしれない」

という期待によって原油のリスク・プレミアムが低下した。

今週は反対に、

「思ったほど早く正常化しないのではないか」

という認識へ戻ったわけだ。

予測市場にもその変化は出ている。

今回のPolymarket集計では、ホルムズ海峡の交通が正常化する確率は、8月末までが1.6%、9月末まででも13.5%。年末まででも44.5%となっている。

これはあくまで予測市場の価格だが、短期間での正常化を市場参加者がかなり疑うようになったことを見る参考にはなる。

先週の記事で「原油供給問題が解決したわけではない」と書いたが、そのリスクが早くも再び表面化した一週間だった。


米CPIは予想通り――FRB利上げ観測はさらに後退

先週の記事で最大の注目点としていたのが、8月12日の米CPIだった。

結果は、7月のCPIが前年同月比+3.4%。6月の+3.5%からわずかに鈍化した。食品とエネルギーを除くコアCPIも+2.5%だった。

翌13日のPPIも前月比で横ばい。最終需要財は-0.7%となり、ガソリン価格は-5.7%だった。

つまり、先週の弱い雇用統計に続き、今週の物価統計からもFRBが9月に急いで追加利上げする必要性を強く示す数字は出なかった

Reutersによれば、PPI発表後には9月利上げ確率が35%程度まで低下し、8月13日のS&P500は過去最高値で取引を終えた。

週末には米小売売上高が前月比-0.6%と予想外に減少したほか、原油高と中東情勢への警戒、AI関連株の一部下落が重なり、S&P500は最高値からやや押し戻された。

予測市場では、9月までにFRBが利上げする確率は22.5%、10月まででも39.5%まで低下している。

先週は「弱い雇用統計をCPIが否定するか」が焦点だった。

結果としてCPIとPPIは、少なくとも利上げ観測を再び大きく高める内容にはならなかった


ゴールドは上昇継続。ただし勢いは鈍化

金は先週の+6.51%から、今週は+2.49%へ上昇ペースが鈍化した。

方向そのものは変わっていない。

米CPI・PPIを受けて追加利上げ観測が後退したことや、中東情勢への警戒は引き続き金の支援材料になった。

一方、今週は原油価格が急反発し、米長期金利も高止まりしている。金にとって全面的に追い風という環境でもなくなっている。

週末には米小売売上高の悪化でドルが下落したことが、再び金価格を支えた。

したがって今週の金は、上昇トレンドそのものは維持したものの、先週ほど一方向に買われる相場ではなかった


日本株はむしろ上昇加速――米国株を大きく上回る

そして今週、最も強かったのが日本株だった。

日経225 CFDは週間+5.34%。TOPIX代替系列は+6.07%だった。

現物の日経平均も8月14日までの1週間で4.7%上昇し、TOPIXは14日に過去最高値で取引を終えている。

先週は「急激な円高でも日本株が崩れなかった」ことが特徴だった。

今週は円安方向へ戻ったうえ、米国で利上げ観測が後退した。

さらにAI・半導体関連と企業決算が重なったことで、日本株の上昇がもう一段加速した

週初にはAdvantestや東京エレクトロンなど半導体関連が上昇し、フジクラやイビデンなどAIインフラ関連にも買いが入った。Reutersは8月10日、日本株上昇の背景として米国のAI・半導体株高と日本企業の好決算を挙げている。


今週の主役はリクルートとネクソン

個別銘柄を見ると、先週とは顔ぶれが大きく入れ替わった。

日経225構成銘柄では、今週の上昇率1位がリクルートの+25.0%、2位がネクソンの+24.4%。

その後にアドバンテスト+14.5%、太陽誘電+13.6%、村田製作所+13.4%、SUMCO+13.0%、キオクシア+12.6%などが続いた。

8月7日に発表した2026年度第1四半期決算では、売上収益、EBITDA+S、EPSがいずれも過去最高となり、会社は通期業績予想を上方修正した。

通期売上収益予想は4.03兆円から4.23兆円へ、EBITDA+Sは9490億円から1兆1050億円へ、EPSは447円から543円へ引き上げられた。特にIndeedなどを含むHR Technology事業の収益化が想定以上に進んでいる。

決算翌営業日には買い注文が殺到し、リクルート株は値幅制限上限まで買われる場面もあった。

ネクソンも8月13日に発表した第2四半期決算で、売上高1211億円、営業利益313億円と、いずれも会社の想定を上回った。MapleStoryシリーズの好調が寄与している。


セクター首位は鉄鋼・非鉄から電機・精密へ

先週、セクター首位だったのは鉄鋼・非鉄で+7.77%だった。

今週はその順位が変わった。

首位は電機・精密の+6.55%。続いて情報通信・サービス+5.89%、鉄鋼・非鉄+4.38%、銀行+3.19%、機械+2.78%となった。

鉄鋼・非鉄も引き続き強いが、上昇の中心が電機・精密や情報通信へ広がってきた。

今週は日銀の9月利上げ観測が強まっており、金利上昇が銀行の利ざや改善期待につながりやすいという点で、銀行も上位に入ってきた。

逆に、先週+3.91%で上位だった医薬品は今週-0.49%へ下落。不動産も先週の-1.59%から今週-2.62%へさらに弱くなった。


信用評価損益率は大きく改善

先週と比較して、需給面で最も明確に改善したのが信用評価損益率だ。

先週の最新値は-8.44%だったが、今週は-6.19%まで改善した。

期間平均の-6.99%も上回っている。

先週は「指数は高値圏でも、信用買いポジションには含み損が残っている」という状態だった。

今週は日本株全体の上昇が進んだことで、信用買いポジションの平均的な含み損もかなり縮小した

指数だけでなく、投資家のポジション状況にも株高の効果が表れ始めた点は、先週からの大きな変化だと思う。


NT倍率も先週に続いて上昇


最近は6月の高値から調整が見られていたが、先週再び上向き、今週も上昇が続いた


今週をまとめると

先週から最も大きく変わったのは、為替と原油だった。

先週157円台まで進んだ円高は今週159円台まで巻き戻され、ホルムズ海峡の正常化期待で急落した原油も+5%以上反発した。

つまり先週の、

円高・原油安

という組み合わせは、

円安・原油高

へ反転した。

一方、米国ではCPIとPPIが追加利上げへの警戒を強める内容にはならず、S&P500は一時最高値を更新した。ただし原油高、中東情勢、弱い小売売上高などもあり、週間上昇率は先週より大幅に縮小した。

それに対して日本株は、企業決算とAI・半導体関連への資金流入、円安方向への戻りなどを背景に上昇を加速した。

先週は鉄鋼・非鉄が中心だったが、今週は電機・精密、情報通信、銀行まで上位に入り、株高の裾野にも変化が出ている

信用評価損益率も改善しており、先週の「指数は強いが個別では厳しい」という状態から、少しずつ市場内部にも株高が波及しているように見える。

今週を一言でまとめるなら、

「先週のマクロ環境は反転したが、日本株の上昇トレンドはむしろ強まった一週間」

だった。


来週見るべきポイント

来週、日本ではまず8月17日に4~6月期GDPの1次速報が発表される。内閣府の公表予定は17日8時50分。Reuters調査では年率+2.0%程度の成長が予想されている。

これは9月の日銀会合を考えるうえで重要になる。

GDPが底堅く、さらに物価上昇が続いているのであれば、日銀が追加利上げを行いやすい環境になる。

そして8月21日には7月の全国CPIが発表される。総務省の公表予定でも21日となっており、Reuters調査では生鮮食品を除くコアCPIが前年比+1.8%へ加速すると予想されている。

米国では8月19日に、7月28~29日のFOMC議事要旨が公表される。

今週、CPIとPPIを受けて9月利上げ観測は後退した。

そのため議事要旨では、FRB内部で追加利上げをどの程度支持する意見が残っているのかが焦点になる。

そしてもう一つ、来週も無視できないのがホルムズ海峡だ。

今週の原油反発は、正常化期待が後退したことで起きた。

交渉が再び進めば原油は下落し得る一方、船舶攻撃や米国とイランの対立がさらに激しくなれば、再び原油高が加速する可能性もある。

為替についてもドル円は再び160円に接近している。

先週の介入後の円高が巻き戻される中で、日銀の9月利上げ観測だけで円安を止められるのか。それとも日米当局による追加介入が再び意識されるのか。

この二つが来週の日本市場を見るうえで大きなポイントになりそうだ。

参考資料/今週のその他データ

※本記事は、公開情報や各種市場データをもとに筆者が整理・考察したものであり、特定の金融商品・銘柄の売買を推奨するものではありません。また、投資助言を目的としたものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。

※日経225、S&P500は先物・CFDベース、TOPIXは連動ETFによる代替系列を含みます。市場ごとに取引時間やデータ取得期間が異なるため、週間騰落率の集計期間は完全には一致しません。また、Polymarketの数値は予測市場における取引価格から算出された確率であり、公的機関や金融機関による公式予想ではありません。

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