【本をめぐる探求(8)】/愛媛県松山市「坂の上の雲ミュージアム」
司馬遼太郎の長編小説「坂の上の雲」。
国際社会での認知度が低かった明治初期の日本が、西洋のシステムを取り込みながら日本流にアレンジして適応していく姿を「秋山真之」とその兄「秋山好古」そして、真之の親友であった俳人「正岡子規」という3人の姿から描き出した傑作小説です。

2009年から11年にかけてNHKでドラマ化されたことで、その認知度は劇的に上昇。
かくいう私もドラマ化を機に文庫を買い揃えたクチでした。
2019年、物語の主要な舞台である松山市にまちおこしの中核施設として「坂の上の雲ミュージアム」が建設され、人気を博しています。
松山市といえば夏目漱石の小説「ぼっちゃん」のモデルになったマチとしても知られていますが、両輪でのまちおこし、といえるかもしれません。

私も妻も「坂の上の雲」のファンで、いつか訪ねてみたいと思っていたのですが今回、その思いを実現することができました。
坂の上の雲ミュージアム


安藤忠雄さんがデザインしたという「坂の上の雲ミュージアム」は、緩やかな坂を右へ右へと角を曲がりながら上っていく三角形をモチーフにした建物で、「3人の主人公」、「上昇志向の明治の空気感」といったものを思い描きながら観覧することができます。
館内では秋山兄弟と正岡子規の生い立ちや、明治時代の動きを知ることができる歴史資料・文献が満載で、作品の世界観を裏付ける「事実の重み」を感じることができます。
撮影OKなコンテンツの一部を掲示します。


エントランス部分には喫茶コーナーがあり、そこには閲覧可能な本が並べられています。



館内は1時間程度で一回りできるのですが、坂道(笑)が多いので少し疲れます。なので、甘味で一休み。


文豪・夏目漱石が中学教師として松山に赴任し、その体験を生かして書かれた大衆小説「坊ちゃん」。
そして、司馬遼太郎が同時期の日本を松山出身の三人を主人公として描いた「坂の上の雲」。
明治時代を舞台にした二軸の世界線が、四国・松山という特異点で立体交差する……。
そう考えながらこの建物を、松山市内を散策すると、ワクワクすっぞ!(おっす、オラ悟空)。
創作されたコンテンツの世界観が、同好の志に共有される空間。
いま、ひとはそれを「聖地」と呼び習わしている。
伊予・松山は、まち全体が「聖地」なのかもしれません。
