「本当の辞め理由...」求人費をかける前に知りたかった!
【著者プロフィール】
片岡宏明|(株)スカイダイニング代表
経歴: 飲食店長10年/経営25年/システム開発12年(導入店舗2,000店舗以上)
「飲食業界を子供たちの憧れの職業に」をテーマに、飲食店専用「ワンレジ」を開発、販売。 役に立つ現場目線の経営ノウハウを発信中✨
「学業に専念したい」「家庭の事情で」と言って辞めていったスタッフが、数週間後に近くの別のお店で働いていた……。そんな苦い経験はありませんか?
飲食店経営において「スタッフの離職」は永遠の課題ですが、実は退職者が続出するお店の経営者には明確な共通点があります。それは、辞める本当の理由を「時給の低さ」と思い込んでいることです。
時給を50円上げても、辞める人は辞めていきます。逆に、時給が特別高くなくても、スタッフが何年も長く続いてくれるお店も存在します。
飲食店経営35年の現場経験から見えた、時給を上げずにスタッフの定着率を劇的に高めるための具体的な仕組みとポイントをお届けします。
1. スタッフが辞める「本当の理由」は3つだけ
退職の際に「時給」を理由に挙げる人は、実は多くありません。現場でスタッフが辞めていく真の理由は、大きく次の3つに集約されます。
一つ目は、「シフトの希望が通らない」こと。 学生やダブルワークのスタッフにとって、自身の生活や予定が最優先です。希望を出したのに大きく削られたり、逆に急な出勤を要求されたりすることが続くと、どんなに時給が良くても「辞めたい」という気持ちに傾いてしまいます。
二つ目は、「認められている実感がない」こと。 毎日一生懸命頑張って働いていても、店長や社員から声をかけられるのが「失敗したときだけ」になっていないでしょうか。これでは承認欲求が満たされず、お店への愛着も湧きません。
三つ目は、「初日に放置された」こと。 退職の種は、入社初日にまかれているケースが非常に多いのが現実です。誰も名前を呼んでくれない、何をしていいのか分からずポツンと放置される……。最初の一週間で「ここは自分の居場所ではない」と決断してしまうのです。
これら3つの理由に共通するのは、「すべてお金(時給)をかけずに解決できる問題である」という点です。時給を上げる前に、まずは現場の環境作りから見直す必要があります。
2. 時給を上げずに定着率を高める「シフトの自由度」
3つの理由の中で、最も即効性があり効果が大きいのが「シフト運用の見直し」です。
具体的には、以下の運用を取り入れることでシフトの自由度が飛躍的に高まります。
希望シフト提出の簡略化:スマホを使って締切ギリギリまで受け付けることで、スタッフの提出ストレスを減らします。
30分単位でのシフト組み:「17時〜22時」といった固定枠だけでなく、「17時半〜21時」のように細かく選べる設計にします。学校や家庭と両立しやすくなり、入れる人が増えるだけでなく、忙しい時間帯だけを厚くすることで人件費の適正管理にも繋がります。
入れなかったときの一言ケア:希望が通らなかった場合は「ごめん、この日は希望者が多くて調整したよ。代わりに希望の土曜日は入れているからね」といったフォローのコミュニケーションを必ず添えます。この一言があるだけで、受け取り方の印象がガラリと変わります。
どうしても急な欠員が出てシフトが回らない場合は、無理に既存のスタッフに頼むのではなく、スポットワーク(単発バイトアプリ等)を活用して補填する前提を作っておくことが大切です。既存スタッフに過度な無理をさせない環境作りこそが、離職を防ぐ土台となります。
3. 月15分の「1on1」と「初日の設計」で安心感をつくる
承認欲求の不足と初日の放置防ぐためには、対話と受け入れ体制の仕組み化が必要です。
月1回の15分1on1面談
月に1回、15分だけスタッフと1対1で対話する時間を作ります。これは業務連絡や指導ではなく、「話を聞くための場」です。質問内容は以下の3点だけに絞ります。
いま困っていることはある?
やってみたいことはある?
私(店長・経営者)に直してほしいところはある?
特に3つ目の質問が重要です。経営者側から自分の弱みや改善点を差し出すことで、スタッフも「本音を話してもいいんだ」と安心できます。アドバイスをする必要はなく、しっかりと話を聞いてメモを取り、できることを一つでも実行するだけで「自分のことを見てくれている」という信頼感が生まれます。
※注意点として、この1on1を評価面談(できていない点を指摘する場)にしないことです。評価と傾聴を混ぜてしまうと、スタッフは本音を話さなくなってしまいます。
入社初日のオンボーディング設計
初日にスタッフを孤独にさせないために、以下の3つをルール化します。
初日に教える担当者をあらかじめ1名決めておく。
最初の30分は仕事をさせず、店内案内と自己紹介にあてる。
スタッフ全員が「新人さん」ではなく、「◯◯さん」と名前で呼ぶ。
「自分の名前を覚えてもらえている」「歓迎されている」と感じられる初日を過ごすことができれば、帰り道の安心感とお店へのエンゲージメントは大きく向上します。
スタッフが定着する温かいお店は、一朝一夕で作れるものではありません。しかし、今日から始められる小さなアプローチはたくさんあります。
まずは明日、一番最近入ったスタッフに「いま困っていること、何かある?」と優しく一言声をかけることからスタートしてみてはいかがでしょうか。
💡動画でもっと分かりやすく!(YouTube:ワンゼミ)
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