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新書2,000冊以上読んだ人間がオススメする名作新書20選

皆さんこんにちは
今回は今まで読んだ新書の中で個人的にオススメの作品を紹介します。
※この記事ではamazonアソシエイト・楽天アフェリエイトリンクを利用しています。


1.私とは何か 「個人」から「分人」へ

私とは何だろうか。
私達の心の中に「本当の自分」がいて「本当の自分」が出ていないとき、私達は「嘘の自分」を演じているのだろうか。
「本当の自分はただひとつ?」
「人格はひとつしかない?」
著者の平野啓一郎は No と言った。
著者は「本当の自分」というアイデンティティの捉え方に潜む矛盾を指摘し、「ひとりの人間は複数に分けられる」と主張する。

私達は誰と会話するかによって、様々な自分になる。
ここで現れる「様々な自分」は、決して嘘の自分ではない。
この様々な自分、対人関係ごとの自分を著者は「分人」と定めた。

本書では、著者の提唱する「分人」について考察される。
シンプルでありながら興味深い概念である。

私達が自分のことを好きだというのは容易なことではないだろう。
しかし、特定の誰かといるときの自分(=分人)は好き、とは意外と言えるのではないか。
私達はなるべく、その好きな分人といる時間を増やして生きていくのが良さそうだ。
このような「誰かといるときの分人が好き」という「他者を経由した自己肯定」という逆説が大変興味深いと思った。
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2.哲学の謎

哲学に興味がある人への入門書として、うってつけの一冊です。
漠然と生活しているだけでは一生疑問に思う事もないが、いざ考えてだしてみるとよくわからないという「謎」が、実はこの世には手付かずのまま沢山残されています。
他者って本当に存在しているの?言葉の意味って?時が流れるってどういう事?根本的な哲学的議論への問題意識を大いに刺激し、「考える」事の面白さを本書は教えてくれるはず。

各章のテーマに沿った二人の人物の対話という形で書かれており、途中には立ち止まって考えないと難しい箇所も無いではないですが、時には笑いも交えつつ、全体としては非常にわかりやすく語られています。
一旦疑問を持ち始めて立ち止まって考え始めるときりがなくなってしまう。そんな哲学の持つ本質、面白さ、不思議さを、小難しい術後や理論、哲学者の名前を持ち出さずに伝えてみせる、格好の入門書です。

この本を読んでそれぞれのテーマに深く惹かれたら、その分野の古典や専門書にあたってみれば良いし、自分の頭の中で考え続けたり、誰かと議論したくなったらそうすればいい。
興味がなければ忘れてしまえば良い。
それが哲学というもののあり方なのですから。
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3.「具体⇔抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問

「正解があり、知識量が優劣を決めるという価値から脱する」というのが本書の狙いです。
具体的に考え、抽象度を上げて考える。具体と抽象を行き来することで、問題構造が理解でき、真の問題解決にいたるという主張です。

例えば、「具体」から「具体」へ、と具体だけで考えていると、それは表面的な理解に留まります。
「抽象」から「抽象」だけでは机上の問題解決にしかなりません。
根本的な問題解決には、具体と抽象を行き来する必要があると言います。

コミュニケーションギャップを具体化、抽象化の観点で説明する章が特におもしろく読めました。

興味深かったのが上司からの仕事の指示の話です。
上司が「いい感じで(抽象)」と指示した場合、
部下の期待も「おおまか(抽象)」なら「任せるのがうまい」と感じますし、部下の期待が「詳細がほしい(具体)」なら「丸投げ」と感じます。

一方、上司の指示が細かい場合(具体)、
部下の期待が「おおまかでいい(抽象)」なら、マイクロマネジメントと感じますし、部下の期待が「詳細がほしい(具体)」なら「面倒見がいい」と感じます。

具体と抽象を行き来することで、問題が発生している構造をとらえるという視点を獲得できると思います。
この本がいいところは、章ごとに思考のシミュレーション用の演習問題が用意されていること。
実際に問題について考えながら、読んでみるとよさそうです。
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4.バッタを倒しにアフリカへ

タイトルや表紙を見て何の本かよくからない本である。
網を持った緑色の男はかなり怪しい。しかも著者名にミドルネームまである。
どう見ても怪しげである。

著者はバッタ好きが昂じてバッタ研究を志した研究者の卵である。
まあ、バッタについての本かなあと思うと必ずしもそうではない。
著者が専門とするサバクトビバッタの生態や大発生をくいとめるための研究にも多くのページが割かれている。
でも、メインのテーマなのかというとちょっと違う気がする。

では、著者がフィールドに選んだアフリカの辺境モーリタニアでの異文化体験と奮闘の記録かというとそうでもないようだ。
研究所のババ所長、運転手のティジャニを代表としてモーリタニアの人々の交流というかバトルというか、日々を生き抜いていく様子や日本とは遠く離れたモーリタニアという国との差異や異国での孤独な生活の様相も書かれているが、やはりメインとなるものではないように思う。

それならばやはり若手研究者の奮闘であろうか。
「野良博士」「足の裏の米粒」と言われる博士号取得者。
モーリタニアにきたのも研究実績を上げるためであり、後のない挑戦である。特に後半は日本におけるブログや著作活動、求職活動についても多くのページを割いている。
結果としてこれまでの研究活動の成果を認められ研究職を得るのであるが、それがこの本の言いたいことかというとちょっと違う。

最後のページを読み終えて、この書はバッタ博士の本なんだなあという結論にたどり着いた。
この書に記された様々な経験や研究が唯一無二のバッタ博士を作り上げているのだと。
ある若者が一つのことに人生をかけて精力を注ぎ、夢の実現に続く階段を踏みしめることができた記録である。
バッタの研究もバッタ博士の冒険もまだまだ始まったばかりである。
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5.言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか

普段、何気なく使っている言葉の本質に迫った評論。

言葉の起源を、主に擬態に使われる「オノマトペ」と「アプダクション推論」に絞って、言葉はどのように発生し、どのように進化したのか、最初の言葉は一群の身体に接地していなければならない「記号接地問題」という的に集約して、言葉の本質や謎に迫っております。

昔、芸人の人がよく一発芸っぽくオノマトペっぽいネタを披露して客を笑わすという事象がありました。
例えば、「アイーン」「ガチョーン」「コマネチ」とか。
そういう言葉は確かに面白いですが、よく考えると意味がない様な気がしますが、聞くと面白かったので、今こういう評論を読むと確かになぜ面白かったのかが謎に思えます。

擬態語で「サラサラ」だと滑らかで「ザラザラ」だと粗い感じになるのも不思議です。
本書に書かれている通り、身体的な感覚を文字にすると色々認識が変わったり、変わらなかったりと不可解な事が多いのに気づかされました。正に目から鱗が落ちる感じです。

毎年発表される流行語大賞でも、「インスタ映え」「神ってる」とか擬態を表す感じの言葉が多い様に思えます。
これも言語接地問題の身体性の問題と絡んでいる感じがします。

昔観たライブで米国のミュージシャンが自分の英語を判る客に通訳させておりましたが、そのお客さんが「それは日本語になりません」と仰っていて印象的でした。文化が違うと翻訳できない言葉もある様で興味深かったです。

翻訳小説でも、そのまま訳すと意味が通じない、雰囲気が伝わらない場合、原文にない文章を継ぎ足すそうで、これも興味深い事象に思えます。

言葉の起源と本質を探る1冊
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6.砂糖の世界史

人類史における砂糖の果たした役割を綴る。

「砂糖」は古来、高価だった。大量生産が望めず砂糖以外の甘味は「蜂蜜」くらいしか世に無かったからだ。
それが少量でも国から国へと伝来して、世界は砂糖を求め始める。
当初は薬のような扱いである。カロリー補給源として砂糖は優れていたが口にすることが出来る人間は限られていた。
砂糖は「サトウキビ」から作られる。サトウキビが作られるのは主に熱帯地方であり、手間が掛かる上に重労働。
それを大量に生産するには広い土地と大量の労働力が必要だった。
大航海時代に欧州諸国が世界中に植民地を求めたのは大規模な商品作物を栽培して利益を上げるための土地が必要であり、その土地を耕す労働力としてアフリカから黒人が奴隷として南北アメリカに連れてこられた。
黒人を大量に使役することで砂糖の大規模な供給が出来るようになり、やがてそれは庶民の口にも入るようになる。

実は砂糖には麻薬のような中毒性があり、過剰な摂取は多くの病気を誘発し人間の健康を損なう。
だが、それは初期の頃科学的なデータもなく証明もされないまま多くの人間を砂糖漬けに陥らせていくのだった。
黒人は過酷な労働で命を落とし、欧州の貴族は黒人たちが作り出した砂糖漬けで健康を害して命を落とした。

近代になり英国でお茶を飲むことが習慣として広まると街中にカフェが乱立してさらに砂糖の消費が増えた。
紅茶だけではなく、コーヒーやチョコレートにも砂糖を入れる習慣が広まり最早砂糖は世界中を駆け回るようになる。
また当初は南国のサトウキビが専門だったが、やがて砂糖大根という寒冷地でも栽培可能な植物が発見されて、砂糖は世界中で作られるようになるのだ。
日本でも戦国時代にポルトガルやスペインからの宣教師たちが砂糖菓子を伝え、江戸時代には薩摩藩が砂糖の専売化を進めて大きな財源とした。
だが、前述のように砂糖の栽培は過酷な重労働であり、その労働には奄美大島を始めとする南西諸島の農民たちが搾取された歴史でもあったのだ。

砂糖が一体、史上何人の人間を殺害したのか?そう考えていくと、砂糖は麻薬以上に恐ろしい「毒」と分るだろう。
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7.土 地球最後のナゾ~100億人を養う土壌を求めて~

土なんてどこにでもある極めて身近なものだが、世界各地では土は我々の知るそれとは大きく異なる様相を示す。
筆者は、貧しい土でも農業が営めるような方法を求め、世界各地の土を回る。

最初に、土、砂、粘土(粒径が違う)、腐食などや、風化のメカニズム、水やイオンの保持力などの話が一通り書かれている。
ミミズの掘り返しによる効用などに触れられたのち、世界には土はたった12種類しかないという話に移る。
その12種類の土を探しに行く筆者のエピソードを随所に交えつつ、12種類の土とはどういうものかが書かれているのが、本書の中心を占めるパートである。

永久凍土が下にあると、下から冷やされてしまうために植物が育たない、岩や砂の未熟土では植物はなかなか育たない、豊かな土壌のチェルノーゼムは、サハラの砂や黄砂などが堆積した地域に多い(しかし増える速度は遅い)、などなど、さまざまな土のさまざまな現実が本書を通じて見えてくる。
チェルノーゼムのアメリカ中央部は、土を耕して使いすぎた(チェルノーゼムは体積が遅い)結果、ダストボウルとして砂嵐となって飛んで行ってしまった、という難しさもある。
貧しい土での農業の苦闘(強風化赤黄色土のボルネオ島では野菜が育たない)、貧しい土で農業を営めるための様々な方法の模索などがつづられていて、筆者の思いが伝わってくる。
日本の土壌が酸性なのは微生物などの分解によって出た酸のため、といった本題に近そうな話から、マツタケの香りは海外ではカビと同じ扱いといったこぼれ話まで、いろんな話が盛りだくさんである。

エッセイ風だが、科学的な内容を軸にして、そこに筆者のエピソードを混ぜていく形なので、非常に読みやすい。
全編フルカラーで100枚近い絵や図版があり、学術的な硬さはあまりない。
中身は深いが軽く読める、一般向け科学ノンフィクションの好著だと言えよう。
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8.世界史を大きく動かした植物

本書では、小麦、稲、胡椒、唐辛子、じゃがいも、トマト、綿、茶、コーン、サトウキビ、大豆、玉葱、チューリップ、とうもろこし、といった現代人の生活とは切っても切り離せない穀物から歴史に重大な影響を与えた植物まで、その起源や生態的特徴、そして世界中に伝搬するに至った歴史までを紐解いていく。

植物の伝搬の歴史は人類史そのものと言っても過言ではなく、穀物はもちろんお茶や綿など、国家間の貿易の主要品目として世界の経済活動の中心的役割を担っていたことが解る。

度重なる品種改良や大規模生産化により、原産地から遥か遠い全く環境の違う土地で、ほとんど原種とは似つかない形で普及していることに驚きを通り越して畏怖すら感じる。

人類に農耕革命をもたらした小麦はもちろん、戦争や奴隷制のきっかけとなったお茶やサトウキビ、そして現代では様々な用途に使用されているコーンなど、人類と植物の異様な相利共生関係が浮かび上がる。

私達が普段当たり前のように口にしている野菜などの名前が伝搬の歴史を反映しているところも非常に興味深い。
ユヴァル・ノア・ハラリやジャレド・ダイアモンドが説いた人類学に更に良質な肉付けをしてくれる面白い一冊であった。
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9.22世紀の民主主義 選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる

あらゆる分野の膨大な情報から、人々が何に困っていて、それを解決するにはどんな政策を実行すべきなのか選定し、意思決定しているのが現代の政治。どの国もそうしているでしょう。

しかし、政治家が政治家で居続けるためには、一定の層からの支持が必要。その層からの票をもらわないと自分が政治活動できなくなってしまう。
だから本当に困っている人たちに向けた政策の優先順位が遅れてしまってある社会課題の解決ができずにいる。そして政治に失望してしまう。

私たちはそんな状況を嫌というほどみてきたと思うし、それが当たり前になって、諦めみたいな気持ちが湧いてしまっていると思う。
そんな状況に一石を投じるのがAIを活用した政策の選定。

情報収集・整理は人間よりも遥かにAIの方が得意だ。
AIが得意なものはAIに任せ、人間が得意な人気取りみたいなことは人間がやればいい。
数十年先、もしかしたらAIが作った資料を読み上げて、AIが示すままに適切な意思決定をするような人気政治家が世界のどこかで出てくるかもしれないなと思いました。

現在の民主主義政治が旧来のものであり劣化しているという認識を持つことから、今後の将来の民主主義の在り方についていろいろと気づくことができる、示唆を与えてくれるような本だった。
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10.22世紀の資本主義 やがてお金は絶滅する

私たちが日々疑うことなく受け入れている「お金」と「資本主義」という枠組みに対し、本書はその根幹を揺るがす大胆な未来像を提示します。
結論から言えば、テクノロジーと資本主義がその論理を極限まで推し進めた先には、皮肉にも「お金」そのものが不要になる可能性がある、という刺激的な仮説が示されます。
この一見荒唐無稽にも思える主張が、現代社会で進行するさまざまな現象と結びつけて説得力をもって語られる点に、本書の最大の魅力があります。

本書が最終的に示すのは、資本主義の徹底が逆説的にお金の消滅を招き、「測れない経済」への移行をもたらす可能性です。
これは単なるSF的な空想ではなく、現在進行中のテクノロジーや市場の変化の延長線上に論理的に導き出される未来として描かれています。
もちろん、プライバシー侵害やアルゴリズムによる管理社会化といったリスクも内包しており、著者は「データの自己破産」といった仕組みの必要性にも触れています。
重要なのは、私たちが絶対視してきた「お金」も、歴史的には比較的新しい発明に過ぎず、永続する保証はないという視点です。

本書を読み終えて、私は「測れる価値」に偏重してきた現代経済システムの限界と、その先に広がる可能性について深く考えさせられました。
短期的な収益や効率性だけでなく、数値化しにくい創造性や関係性の豊かさが、これからはより重要になるのかもしれません。
本書は既存の枠組みを疑い、未来への想像力を刺激する思考実験の書として、テクノロジー、経済、社会の未来に関心を持つすべての人に知的な刺激を与えてくれる一冊です。
「お金」という存在を根本から問い直し、資本主義のその先を考える上で、非常に示唆に富む読書体験でした。
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11.人類と気候の10万年史 過去に何が起きたのか、これから何が起こるのか

気候という観点から地球の歴史を紐解く本。

今言われている温暖化などを含め、20万年前の地球はどうだったのか、氷期と間氷期の繰り返しに起きていたこと、温暖化・寒冷化などなど、20年前ぐらいからメディアで取り上げられている地球温暖化を、もっともっと学術的なアプローチで解説してくれており、自分の持っていた価値観の変化を気づかせてくれる内容でした。

とくにこの本が注目している「年縞」という、堆積物を時間軸の基準として過去を定義し、未来を考察していく流れは、なるほどなーと思いました。
しかも、ここ日本にある、福井県水月湖の年縞が世界的に観ても最高レベルの標準時計になっているとは。まだまだ知らないことが多いことを知らされました。

個人的に一番おもしろかったのが植生景観というアプローチ。

これは、その名のとおり植物の生えていた景観を指す言葉で、学術的には、年縞などを中心に、その土地に生えていたであろう植物を探し出し、それをもとに土地の景観を再現・検討し、そこから、土地を含めた状況、さらに、この本では人類を含めた生物の行動を考察していました。

たしかに植物が生えていた状況を基準に考えるというのは、大事かも。
その土地々々の地形、また、水源などもわかる可能性があるわけで。

いずれにしても、こういう本を読むとますます地球のこと、までいかなくとも、日本のこと、自分の身の回りの場所のことを知りたくなりますね。

少し話を広げて。

これまで人の文化やコミュニケーションに関する本を読むとき、人目線での内容のものを読むことが多かったのですが、こういった自然観点の本から、その土地土地の様子、地域性、人と文化について考えるのもおもしろいな、と気づかせてくれた本でした。

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12.進化しすぎた脳

衝撃的な内容でした。
世界は初めからそこにあって、僕らは五感を駆使してそれらを理解し記録てきたつもりですが、実は僕らの目やその他の生理的な入力機能が仕入れた限られた情報から、脳が補って「世界」を構築しているに過ぎない。
考えて見れば超音波で周囲を認識するコウモリからすれば、それは僕らの認識している世界とは全く違うもの。
でもどちらが正しくそれを認識しているかではない。
両方とも現実に存在しているセカイである。

本書のおかげで、認知、思考、感情など、常時自分の頭の中で絶えず起きていることについて、ちょっと距離を置いて見つめなおすきっかけになりました。
談話形式で、平易な言葉を使っていますので、本書を理解するのに専門知識は不要です。

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13.2020年6月30日にまたここで会おう 瀧本哲史伝説の東大講義

瀧本さんが行われた講演をまるまる書き起こした1冊。
他の著書で書かれているエッセンスが、口語的に入ってくるので、非常に読みやすい。
ただ、逆説的になるが、「読みやすい、納得性のある一冊」であると同時に、中々読み進めることができない。なぜか。瀧本さんから次々と投げかけられる問いが、余りにも重く、自分を掴んで離さないからである。

この本の中で一貫して主張されている内容は、僕なりに解釈すると、「人生に正しい答えなんてない。
自分で考えて、決めろ」ということである。
このように突き放されて、路頭に迷ってしまう場合もあるかもしれないが、これは限りなく希望に満ち溢れたメッセージだなと感じた。
なぜか。つまるところ、僕は自分の人生を、自由に決められるわけだから。これこそが自由主義の世界に生きることができている僕らの特権な訳で、これを生かさない手はないはず。

社会の中に埋め込まれ、かつ他者の存在がより明るみにでるようになった現代、他者と自分を比較することに疲れている人が多いような気がする。
自分もその1人。
比較することは決して悪しきことではない。比較することによって、自分に足りない部分を理解できるし、それを改善することによって、より成長することができる。

ただ、「自分の価値」だけは、他者と比較して決めてはいけない。
なによりもその存在こそが価値であり、生きているのであれば、その自分独自の価値を高めることで、社会に貢献しようとする前向きな姿勢こそが、健全だと思う。

本の中で何度も瀧本さんが仰っているように、「答えが載っているバイブルはいらない」。
自分なりの答えを生み出すため、希望を失わず、ただもがき続けるだけなのである。

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14.わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か

演劇は他社を必要とし、「対話」の構造を要求する。
しかし、日本社会においてはこの「対話」という概念が希薄である。
むしろ皆無である。
これが日本人がコミュニケーションで悩む原因。

日本社会は、ほぼ等質の価値観や生活習慣を持った者同士の集合体=ムラ社会を基本として構成され、その中で独自の文化を培ってきたと言われてきた。

これは例えば、皆で一緒に田植えをし、草刈りをし、稲刈をしなければ収量がなかなか上がらない稲作文化の宿命といえるかもしれない。
あるいは、極端に人口流動性の少ない社会を作った徳川幕藩体制が、そのような傾向に、さらに拍車をかけたとも言えるだろう。
「わかりあう文化」「察し合う文化」

柿くへば 鐘がなるなり 法隆寺 ←これを説明しなくても「秋のお寺の景色が浮かぶのが日本人」しかし、これからは言葉で説明できなければならない。

つまり、コミュニケーションは取れるのが当然ではなく、海外のレストランで片言の英語でもオーダーが通ったというちょっとした喜びが原点。
どう伝えるかという訓練というか慣れが必要だとしている。
従来の概念と逆の発想をしている面白い本。

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15.論破力

この本を読んだ感想としては、今まで自分が考えていた論破と実際の論破は違っていて、実は軽いゲーム感覚のものだと感じた。

論破したされたや議論で勝った負けたのジャッジの権利は参加していない第三者の手にあり、議論の参加者はいかにこの第三者を自分の側に引き込むかのゲーム。

このゲームを上手く立ち回るには
世の中の善や悪は明確な区別があるわけでなく、連続的でグラデーションのようなものであるという前提を理解することに始まる(この前提を理解していない人が多い)。
「正しい」「正しくない」の2つの集団どっちかを味方に付けるより、グラデーションの中の集団まるごと引き込むことが上手い論破のやり方で多く引き込んだ方が勝ち。

じゃあ、どうやったら仲間を多く集められるのか?
それが書いてある論破ゲームの攻略本。

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16.お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力……はこう「動いた」

なぜ「お金」がそれほどまでに大きな影響力を持つのか。
その理由を、本書は歴史の事例を通じてくっきり示している。
いつの時代も「徴税システムの維持」は国家の根幹で、税が集まらないと軍事や公共事業が成り立たず、やがて社会不安や反乱、戦争や革命につながっていく。

古代エジプトが長く繁栄したのは、誠実に税を集める官僚(書記)が機能していたからだし、ローマが滅んだのは過剰な課税や腐敗が進み、信用が崩壊したからだという。
また、富裕層が税を逃れる“仕組みのほころび”を放置すると、国家そのものが揺らぐ事例は古今東西共通だ。
紙幣・為替・銀行・株式会社など、お金の流通を変える発明は常に大きなイノベーションをもたらす一方で、制度が一度歪むと破綻へ一直線。
結局、人々が信じられる仕組みを保てるかどうかが、長期的な繁栄と衰退を分ける。

本書を読むと、古代からずっと人類は同じ冒険と失敗を繰り返してきたのだとわかる。
タックスヘイブンやリーマンショックなど、現代の問題ですら「歴史あるある」と言いたくなるほど何度も登場している。

結局、「国家の盛衰も、新サービスの成否も、お金の流れ次第」というのが本書の一貫したメッセージだと感じる。
だからこそ、お金が歴史に与えてきた影響を知ることは、未来のデザインにも必ず役に立つ。
もしも私たちが技術を活かして新しい仕組みを創りたいなら、「通貨や税の失敗が招く崩壊の歴史」をしっかり学ぶのが大切なのだ。
本書は古代から現代まで多彩な事例を通して、「お金こそが歴史をドライブする」と鮮やかに教えてくれる。

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17.現代語訳 論語と算盤

中心にあるのは、道徳(論語)と金銭的な利益(算盤)のどちらか一方だけでは世の中もうまくいかない。
両輪を回してこそ、社会も人も発展する」という極めてシンプルで筋の通ったメッセージです。

お金のことばかり考えていると人の道を踏み外しかねないし、道徳だけを唱えても現実の生計や社会の豊かさは立ちゆかない。
そのバランス感覚こそが渋沢栄一の真骨頂だと感じました。
幕末の動乱期に「世の中を変えたい」と突き進み、フランスで最先端の資本主義に触れて大きな衝撃を受ける。
けれどもそれをただ真似するのではなく、「日本には日本の伝統や『論語』の考え方がある」と言い、欧米式の新しいしくみと古くからの倫理観をどう組み合わせるかを模索した。
その柔軟さが、この本を読んでいて何度も「なるほど」と思わせてくれました。

「士魂商才」という言葉も出てきますが、まさに武士のように筋を通しつつ、商人のように社会の役に立つものをつくって利益を生む。
その両面を兼ね備えた人を育てるべきだ、という考え方で、今の私たちが「かっこいい」と感じる企業や仕事人像にも通じる部分があるように思います。

もっとも、100年以上前の人物ゆえ「お国のため」といった表現や女性の社会進出への視点など、現代の感覚からすると古めかしく感じる点がないとはいえません。
また、「論語」「論語」と繰り返される箇所は説教臭いと感じる人もいるかもしれません。
でも、そうした時代的背景を踏まえても、「道徳心と実利は切り離せない」「正しいやり方こそが最終的には最強のビジネスにつながる」というメッセージは、今の時代だからこそいっそう重みを増していると思います。

「利益を追求するばかりでむなしさを感じる」「正しいことをしたいけれど、それだけでは食べていけないのか」――そんなモヤモヤを抱えている人は多いはず。
この本は、そうした葛藤に対し「道徳も利益も大事にしていいんだよ」と背中を押してくれる、ちょっと不思議な力を持っています。
難しい経済学や道徳の教科書というよりは、激動の時代を駆け抜けた先輩が自分の体験から導いた「世の中を動かすコツ」を語ってくれるような感覚。歴史上の大人物というより、身近なところで実践的にアドバイスをもらっているような読みやすさがあります。

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18.理性の限界 不可能性・不確定性・不完全性

「理性の限界」をテーマに、「選択」「科学」「知識」という三つの限界を論じた内容もとても興味深いが、それに加えて、雑多な人々のパネルディスカッションで書き表したそのスタイルが秀逸である。
こうしたテーマは、ともすれば形式的・抽象的で、閉じた世界の議論になってしまいがちだが、それを見事に現実の側に引き戻してくれるのが、このパネルディスカッションなのである。

登場するのは、「哲学史家」「数理経済学者」「論理学者」などの学問的立場をもつ人、「会社員」「運動選手」「大学生」といった一般的な立場の人、それに「フランス社会主義者」といった政治的立場を持つ人などさまざまで、一見、とぼけたことや的はずれなことを言わせてふざけているようだが、実はそこに著者の自戒・自省の念が込められていると感じた。

哲学的議論に対して、「だからそれがどうしたの」といった現実サイドから厳しい軽視を投げかけ、揺り動かしているのだ。
そうであってこそ哲学は、無意味な形式や抽象、あるいは硬直したイデオロギーに陥らずにすむと思う。
私は特に、「フランス国粋主義者」「ロマン主義者」の、それまでの議論を台無しにしてしまうような一言が痛快でおもしろかった。
著者のあとがきを読むと、執筆を始めてから本ができるまでに8年の歳月がかかったそうだが、それに値するだけよく練られていると思った。

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19.禅マインド ビギナーズ・マインド

読むと心が、スゥーっと静まり、
自然と思考と感情が明晰になる。
それはきっとこの本が、特別性を排除してるからなのかな?
そんな風に思いました。

特別性が無いが故に、誰でもが実践でき、誰でもがそれを体験できる。
そこが何より、素晴らしい点だと思います。

難しい技法や、何年も費やさなくてはできないような事に焦点を当てるのではなく、日常の一瞬一瞬に起こることがすべて修行であり、遥か遠くの出来事のことや、未来の目的の為に行うのではなく、今、目の前に起きていることに全集注する。
それが全てであると明言されていることに、目を見開かされ、心が晴れ渡りました。

こんなコンパクトで小さな一冊の本が、1、000ページ以上の辞書のような分厚い本に匹敵してしまう。
そんな経験を、きっと体験されることでしょう。

この本を読む縁(機会)が訪れた方は、ぜひ読みながら、毎日、小さくコツコツと実践されてみてください。
今まで学んできたことがすべて、クリアーになり、自然と統合されていくことに、きっと驚かれることと思いますよ。

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20.珈琲の世界史

世界中で飲まれているコーヒー。
飲み物の総消費量において、コーヒーは水、お茶についで世界第3位だそうだ。
しかし、私たちは身近にあるその飲み物についてどれくらい知っているだろうか?
本書は、先史時代から現在まで、起源に関する最新仮説なども取り上げながら、コーヒーが辿った歴史を扱っている。

本書を読んでいくと、アフリカ大陸(エチオピア)→イエメン→オスマン帝国→ヨーロッパ・・・というようにコーヒーが辿った歴史だけでなく、コーヒーに関する様々な社会的事象も知ることができる。
特に興味深いと思ったのは、4つのルートを通してヨーロッパにコーヒーが伝わった際に、各国の受容の違いである。

イエメンからコーヒーがイスラムやヨーロッパへ伝わった経緯や、オスマン帝国、清教徒革命、フランス革命、ナポレオンの大陸封鎖令、ボストン茶会事件といった有名な歴史的イベントとコーヒーの関わり合いが知ることができる。

この本のおかげで毎日のコーヒーに深みが出ました。
コーヒーは変わりませんが飲む気持ちが変わりました。
はるか昔、イエメンに現れたコーヒーの先祖に思いを馳せながら、今日もその香りと味を楽しむことにしよう。

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おわりに

いかがでしたでしょうか?
どの本もオススメなので良ければご一読ください。

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