【SS】アリバイ #毎週ショートショートnote
夜の街に溶け込み、その存在がかき消されてしまうような男が歩いていた。繁華街を避け暗い裏道を顔を隠すように黒いサングラスをして歩いていた。迷うことなく一軒の古いバーに向かいドアを開けた。
「いらっしゃい」マスターの声がかかると男は、手袋をしている手を軽く挙げ、コートとハットを取りハンガーにかけ、いつものカウンターの一番奥の席に座り、バーボンを注文した。今の時間は日付が変わろうとする少し前だった。
にわかに店の前が騒がしくなった。けたたましくパトカーのサイレンが聞こえる。マスターが慌てて店の外に出て確認しにいった。
「ちょっと前に近くのマンションでガス爆発の事故があったみたいです」
男はニヤリと口元を歪め、グラスのバーボンを口の中に流し込んだ。男は殺し屋だった。ろうそくを半分に切り導火線をつなぎ、その先に少量の火薬をつけてカセットコンロが爆発するようにセットしておいたのだ。ターゲットは酔い潰れてベッドで眠っていたはずだ。
410文字
以下の募集への参加です。 (毎回ムズイお題に悩まされてます)
出題日 5月14日
お題 半分ろうそく
裏お題 三分豚足
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