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【SS 1月15日】警視庁創設記念日

【今日は何の日ショートショート】- 警視庁創設記念日

 1874年(明治7年)のこの日、東京警視庁(現:警視庁)が創設された。もともとは警視庁は東京だけではなく全国で使える名称だったようだ。それが改訂を重ねた結果、東京都のみに許される名称として確立し今日に至っている。

警視庁


【SS】多様化した犯罪

 人々の生活様式が進化し、マンションが立ち並び高層ビルも林立する時代になった。航空機も日常的に利用できるようになり交通網は驚異的に整備された。特に東京の地下鉄の複雑さは類を見ない。街には監視カメラが溢れ、車での移動はどこにいてもカメラのターゲットになるようになった。

 そんな生活の複雑さに連動するように犯罪も多様化しつつあった。しかし、警察の人員は限られており、全ての事件を追いかける人材や設備は追いついていない。警察はどうしても重要な人命に関わる事件を優先して対応するようになってきてしまった。東京全体の治安を守る組織のトップである警視庁も例外ではなかった。確実に人員不足は深刻な問題となっていた。しかし、人員を増加するコストは捻出できない。結果として軽犯罪に関しては警察官を動員することがますます困難になりつつあったのである。

 そんな事情をせせら笑うかのように警察の人員不足を利用するかのような犯罪を繰り返す犯罪チームが東京に出現していた。防犯カメラが行き届いていない場所での置き引き、自転車泥棒、商店の店先に出してある商品の万引き、老人夫婦が営んでいる小さな食堂での無銭飲食など一つ一つは被害額が小さな事件だった。しかし犯人の手がかりはほとんどなく捜査も真剣には実施されなかった。被害届は受理されるものの捜査まで行われない案件がどんどん溜まっていた。

 軽犯罪チームは捜査されないことをいいことに、東京都全体を股にかけて犯罪を繰り返していた。被害額は全て合計しても多くて一日数万円程度。一案件で見れば数千円程度であった。警察官を動員するコストの方が高かったのだ。軽犯罪チームは面白いことを思い付いてた。それは自分たちの窃盗に対する一定の補償をする保険だった。軽犯罪に対する被害額の半分を保証する保険商品。取られた分の補填を取られた店が負担すると言うとんでもないカラクリだ。上限は年間あたり合計二万円の保証で月額五百円の保険料を設定し、一年間被害がなかった場合は三千円が返戻されるという保険だった。実際には保険は免許が必要になるのであくまでも闇保険だった。

 軽犯罪チームはこの保険の勧誘を始めた。掛金の安さに釣られ、すぐに個人商店などは飛びつき、あっという間に契約件数は口コミやSNSで広がり一万件に達した。これだけでも全てに三千円を返戻したとしても年間三千万円の収入に匹敵する。軽犯罪チームは五人で構成していたので一人当たりでも生活できる金額が確保できたのだ。そして、軽犯罪チームは時折軽犯罪を犯して一回数千円から多くても一万円の被害の窃盗を繰り返していた。商店側もある程度の損金は見越しているので少しでも補填されるならと加入するケースが増加していった。

 その頃警察ではサイバー犯罪の対策に力をいれていた。サイバー空間をパトロールしている一人が「小額窃盗被害の補填をします」と言う広告にに目が留まった。そしてサイバー犯罪を炙り出すための聞き込み捜査が始まってしまった。軽犯罪チームはそんなこととはつゆ知らず、いつものように小額の窃盗を繰り返していた。闇保険の対応はチーム内の一人が担当しており、ほとんどが小さい商店からなので電話での対応がほとんどだった。この電話番号がサイバー犯罪対策室に勘づかれてしまったのだ。

 小額窃盗で慎ましやかに生活を続けていた軽犯罪窃盗チームは「保険」を思い付いたばかりにそこから足がつき、一網打尽となり全員逮捕された。このことを知った大手保険会社は堂々と「小額窃盗被害の補填をする保険」を開発し商品化してしまった。そして皮肉なことに、逮捕された軽犯罪窃盗チームにアイデア料と市場調査費用としての対価を保険会社は支払った。その後、全国的に保健の有用性が広がり、契約件数は鰻登りに上がっていったそうだ。


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