空に解き放った心 - 第四話 プロポーズ
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プロポーズ
翔はしおりのことがかなり気に入っていた。おそらくしおりも翔のことを意識しているなと翔は感じていた。なんとしても、しおりを自分のパートナーにしたい。どうすればいいかを考え抜いた。しおりは、頭がいいのと同時に結構計算高い。自分に不利になるような条件などは敏感に感じ取る。ならば、身動きが取れないような環境に引き摺り込むことが一番の近道だと考えた。それまでにかなりの回数二人で食事をしながら今後のビジネスの話をした。そこで翔は考えた。ビジネス抜きの話ということで次のステップに進むことを提案しようと思っていた。しかし、計算高いしおりはそれでは納得しないだろうとわかっていたので、共同経営の話を持ち出すつもりだった。
桜の季節は終わりツツジが咲き乱れる五月に入ってから翔は意を決してしおりを呼び出した。六本木のアマンドで落ち合ったしおりと翔はしばらく歩いて近くのショットバーに入りテキーラのショットを注文し、翔はいきなり二杯のテキーラを煽った。しおりはびっくりして問いかけた。
「一体どうしたの。翔らしくないわ」
すでに二人は、お互いを名前で呼び合う間にまで進展していた。お互いに引かれてはいたが、あくまでもビジネスの関係から一歩踏み出そうとはしていなかったのである。しかし、この日は翔のほうが痺れを切らし、なんとかプライベートの関係に持っていきたいと思っていたのである。バーはまだ早い時間だったので他に客はいない。話をするなら今だと思い、テキーラの勢いを借りて話し出した。
「しおり、これまでビジネス上での関係維持を最重要項目みたいに話をしていたけど、僕の本音は違うんだ」
「えっ、どういうこと」
「これまで君をずっと見てきて、君と一緒になりたいと思っているんだ」
「えっ、それって、」
「あぁ、僕と一緒になってほしい。まだ少し時間はかかると思うけど、僕と一緒になって仕事も一緒にしてほしい」
「え、そんな急に。アルコールの力を借りていうことじゃないわ。でも嬉しいけど」
翔はこの反応を見て、今畳み掛けるしかないと思い話を続けた。
「最初に出会った時にビジネス提携をしたいと言ったよね。あれは、嘘ではないんだけど、本当は、僕と一緒になって会社を経営してくれそうな人を探していたんだ。ただ、今はコンサルティングしかしていない会社だから将来もっと大きな会社にするために、システム開発ができる優秀な人材を僕のパートナーにして将来は、コンサルから開発までを一気通貫で夫婦で運営していくというのが僕の描いている将来の計画なんだ。だから、しおり、僕と一緒になって共同経営してくれないか」
思いもよらない突然の申し出とプロポーズにしおりはちょっとびっくりした。さすがのしおりも一瞬言葉に詰まったが、頭の回転が戻り楔を打った。
「本気なの、翔。もしも私の経験だけを手に入れようとしているのなら、承知しないわよ」
「天に誓って違うよ。真剣に君と一緒になりたい。今の僕には、しおりとの将来が見えるんだ。親父が築いたコンサルティング会社をさらに発展させていくためにも、しおりの協力と愛がほしい。そしてそのために決断してほしいことがあるんだ」
「えっ、一体何を決断するの」
「今の開発会社をそろそろ辞めて我々の会社に入社してほしい。もちろん、今の会社を支援する立場は変えなくてもいい。ただ、コンサルティングの経験を積んでほしいんだよ。君に不利益になるようなことは絶対にしない。住まいとなるマンションも準備するし、会社の寮扱いにして家賃の発生もないようにする。それに、仕度金も準備するつもりだ。絶対に後悔はさせない。我々の会社に入って、開発部門を立ち上げた時の体制をイメージしてほしいし、開発部門の担当としてふさしい社員の人選もお願いしたいんだ。そして、最終的には僕と結婚してほしい。絶対に後悔はさせない」
「突然に誘って、すごい決断を迫るのね。でも翔の考えは理解できたわ。私の力がどこまで役立つか保証はできないけど、私も翔を好きになってしまったことは隠せない事実だから、一緒に走ることに賛成するわ」
「ありがとう。これでホッとした。今日、ノーと言われたらどうやって巻き返そうかなと考えていたよ」
「嘘ばっかり、翔の顔は自信満々だったわよ」
「いやいや、そんなことはないさ」
二人は笑ってカクテルを飲み干した。これからの二人の未来をお互いに想像しながら、六本木で分かれて帰った。翔は自分自身の計画がだいぶ進んだことにかなり満足していた。自宅に帰った翔は、里香に電話した。
つづく
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【小説】空に解き放った心
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