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2月20日 世界社会正義の日 【SS】正義の騎士

【今日は何の日】- 世界社会正義の日

 社会正義は騎士道にも登場するような古くからある発想である。近代になり概念として、人権や平等主義、累進課税などを通した収入や財産の富の再分配などが定義された。

 社会的に公正な世界を目指す運動の概念としても定義され2008年に制定され、翌年から国際デーとして実施されるようになった。


【SS】正義の騎士

 現代社会を作って来た歴史には、多くの発明など人類の発展に寄与することも多い。またその逆で一部の支配層の欲望を満たすためだけの歴史も多い。そんな長い過去の歴史において一つの拠り所となったものに宗教の存在が大きかった。同じ信仰を持つものは仲間として認識することで敵と味方を作ることにもなった。また、支配欲は同一宗教内のエリアにおいても自分の領土を大きくしたいという願望のため、他人の領土を何とかして獲得したいという欲望に支配され争いを起こした。

 理由はともあれ、争いごとに巻き込まれるのは何時もなんの罪もない人たちであり、領主のために戦うことを誓ったのが騎士たちだった。騎士の地位や名誉は上がると同時に騎士としての行いの規範も確立する。だが愚かな人間は全てが正義のために行動するわけでもなかった。崇高な考えを持っていた騎士がいたとしても騎士は主人が望むことを実現するために働くことになる。ここで、騎士たちの中には矛盾を抱くものと己の利益を考えるものが混在することになった。

 戦いにおいて勝利しても、その戦い自体で犠牲になったものたちの悲しみは消えることはない。そんな時、ある一人の騎士は騎士道を極めることの矛盾を日々感じ始めていた。騎士である限り、みんなが平和で安心して生活できるような世界を築くことはできないのではないか。自分たちの領土を守るために戦うという行為自体が果たして正しい行為なのかと悩んだのである。

 人望あるその騎士は、自分が立ち上がって公正な国家を築くしか道はないといつしか信じ込んでしまった。その騎士に賛同する騎士たちが集合したが、賛同しない騎士たちはそのことを国王に報告し反逆罪として断罪しようとしていた。その結果、騎士たちの間で争いが起きた。なんとか勝利した人望ある騎士たちは国王に詰め寄り自害させた。そして自らが国王となり、国民に対し公平な国を創っていくことを高らかに宣言した。だが国民の目は冷ややかだった。どうせまた国を建て直すためだと言って重い税を取るのだろうと誰しも考えていたのだ。

 国王となった騎士は新たなる課題に直面していた。国庫の蓄えがほぼ無くなっていたのだ。それに加え、内紛のせいで騎士は大幅に少なくなっていた。補充するにもお金がなければできない。そこで新しい国王は、商売人の中で財を築いている家から強制的に寄付させるように騎士たちに命じた。取り立てに向かった騎士たちは、商売人からたんまり賄賂をもらい国庫にはわずかな金を入れることを繰り返した。いつまで経っても国庫が潤わない国王は焦った。どこで間違ったのだろうかと。彼が理想とする国家は金銭で困るような国家ではなく誰もが安心して生活できる国家だった。しかし、彼は優秀な騎士ではあったが優秀な経営者ではなかったのだ。ましてや戦略家でもなかった。心の優しい真っ直ぐな人間だったのだ。

 だが、そんな国王の心の中を察して活動してくれる騎士や国民はほんの一握りしかいなかった。そう、国王のことをよく知っている人たちだけだったのだ。国王は取り返しのつかないことをしたのだろうかと反省するようになってしまった。正義を愛する騎士の姿はもうどこにもなかった。だが時間だけは過ぎ去っていく。国力はみるみる落ちていった。裕福な商人たちは見切りをつけて他国へと去ってしまった。農民たちはなんとか残ってくれていたが土地はどんどん痩せ細り収穫量も目に見えて落ちていった。同時に騎士たちももらえるお金や食料が少なくなり一人抜け二人抜けしてほとんどが霧散してしまった。国王はつぶやいた。

「これが現実なのか。理想とする社会や国家は作ることはできないのか。ただ私が無能だっただけなのだろうか」

 国はみるみるうちに衰退した。機を見計らっていた隣国の王は自ら先頭に立ち兵を率いて攻め込んできた。城門の前で隣国の使者が声高らかに叫んだ。

「抵抗することなく門を開けよ。さすれば人々の命は保証しよう。我らの国王は偉大なる国王である。公正な世の中を作らんがためやって来たのだ。抵抗するようなら我が強大な軍を持って攻撃するぞ」

 城の窓から大軍を見ていた国王は、少し前まで自分の部下だった騎士たちが大勢混ざっているを確認して涙した。そして、命じた。すでに覚悟はできていた。

「すぐに開門して騎士たちを招き入れなさい」

 そして王は誰もいなくなった玉座のある部屋で一人ひざまづき、胸の前で手を組み最後の祈りをした。

「いつの日か本当に公正な世の中となりますよう、人々の心から邪悪な欲望を消し去ってください。私には力不足でした。もうすぐ私は神の下に召されることになるでしょう。これからの子供達や民のためにそちらでお役に立てれば嬉しい限りです。引き続き我が民へのご加護をお願いいたします」

 静かな祈りが終わった時、雪崩れ込んできた隣国の騎士たちに国王は無惨にも斬首された。それも見慣れた顔の騎士だった。国王は微笑みながら振り下ろされる剣を受けた。振り下ろした騎士の目に光るものが流れていて、それが国王が最後に見た光景となり天に召された。


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