【SS 12月19日】日本人初飛行の日
【今日は何の日ショートショート】- 日本人初飛行の日
12月17日は飛行機の日でライト兄弟が初飛行した記念日でしたが、12月19日はそれから遅れること3年後の1910年に日本人として有人飛行を実現した記念日です。残念ながら飛行機は日本製ではなくフランス製でした。
この日の記録は高さ70mで距離3000mだったそうです。飛行時間にして4分の鳥体験。当時としてはそれでも快挙だったのでしょうね。
【SS】翼のない飛行機
かつて有人飛行に成功したライト兄弟の後を追うように、日本でも有人飛行が実現した。しかし、二番煎じである。しかも機体はフランス製、日本で製造したものではなかった。それでも日本にも負けず嫌いは多くいる。何とか日本初を目指したいと何世代にもわたって秘密裏に進められた研究があった。
関係者以外知ることのできない研究で、国会議事堂の地下深くに研究室が作られていた。この研究室はそれほど広くなく、ここでは基礎的な研究が行われていた。そして、その研究成果がいよいよ実現しようとしていた。
果たして何を研究していたのか。総理大臣には知らされていたが、総理大臣の任が解かれても口外することは禁止されていたくらい、徹底して秘密が守られていた。研究は1910年に始まり、現在2060年、長い年月をかけやっとその成果が花開こうとしている。基礎研究の成果は自衛隊の飛行場でテストされることとなった。その場所は九州にある航空自衛隊春日基地だった。
全ての準備は揃った。一見すると自動車のようなものが運び込まれた。自動車と同様にタイヤも付いている。しかし屋根の部分や後ろの部分はどうやら太陽パネルが設置されているように見え、フロント部分は細かな無数のセンサーのような突起物がついている。
関係者の説明が始まった。記者はいない。まだ秘密のテスト段階のようだ。
「これから、重力制御を応用したテクノロジーで有人の空中移動試験を行う。これは強い磁場を作り出し、反重力状態を維持することで空中に安定して浮かび、さらに作り上げた磁場を細かくウエーブさせて前進や後退など進む方向を自在に制御することができる移動体である。いわば翼のない飛行機である。動力源は電力ではあるが、ソーラーパネルおよび今回新たに開発された空気が機体に衝突する際のエネルギーを電気に変換することで全ての電力を供給することを実現できている」
実験は開始された。ドライバーというかパイロット役の担当者が運転席に乗り込んだ。そして記録するための担当者が助手席に乗り込んだ。スイッチが入れられ、機体は音もなく2メートルほど上昇し、安定して停止している。そしてパイロットがアクセルを踏むと機体は前方に移動した。ハンドルを回すことで磁場が制御され機体を思った方向に進むことも問題なくできた。素晴らしい成果だった。その場にいた誰しもがこの光景に感動し拍手が鳴り止まなかった。
テストは問題なく終了し、全世界に公表するために、一週間後公開テストが実施されることとなり、いきなりの発表に世界中が驚いていた。急遽組まれた中継番組やネット配信の準備が整い、新しい翼のない飛行機が披露された。そして、翼のない飛行機は、5人の乗客とパイロット、助手の7人を乗せた状態で、春日基地を飛び立ち青い空を旋回したのち、鹿児島に向かって飛び立った。今回の初フライトは鹿児島往復である。しかも、鹿児島で着陸はしない。時間の計測と安定性を確認することが目的だった。
無事に、鹿児島空港上空までの往復を終え、春日基地に戻ってきた時、記者たちは驚いていた。ネット配信された各国でも驚きを隠せなかった。何とかかった時間は往復でたったの40分だったのだ。つまり福岡-鹿児島を20分で移動したのである。この快挙はギネスに登録され、世界記録とされた。しかも、新技術というおまけ付きである。世界中で拍手喝采が沸き起こり各国のニュースのトップを飾った。
「日本人の快挙 ! 世界で初めての技術で安定飛行。翼のない飛行機の誕生」
この日は、日本が再び技術大国であると世界にアピールできた記念日となった。今後は、数百人の人を乗せた新しい飛行機としての開発が着手されることとなり、空の移動手段に革命が起きたのである。世界はより近くなった。
了
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