【SS】ああ、腹がたつ
田舎の小学校に通っているクラス委員の正人は腹を立てていた。授業が終わって掃除の時間のことである。同じクラスに人をからかうことが好きな俊という生徒がいた。ヘラヘラして掃除をしないので、正人は俊に向かってよく怒っていた。
「おい、俊。さぼってないで掃除をしろよ」
「あー、委員長が怒ってる〜。へっへ〜」
俊はいつもふざけてばかりでまともに掃除をしたことがなかったので、正人は半分諦めながらいつも文句を言っていた。一度たりともまともに掃除をしたことがなかった俊は、ちょっと悪い奴らといつもつるんでいるような生徒だった。そのため、人の言うことを聞かないことが格好いいことなんだと思っていたのかもしれない。
ある日の給食の時間のことである。一緒に食べる担任の先生がなかなか来なかった。俊は自分の給食を平らげてしまったので時間を持て余したのだろう。正人の頭を後ろから接近して叩いて逃げ回っていた。バカにしたように教室内を走り回っていたのだ。まだ、先生の給食はそのままになっていた。
そこに先生が入って来た。教室内でドタバタしている俊と正人を見て、雷を落とした。
「やめなさい。こんな埃だらけになった給食なんて食べられないじゃないの。一体なぜ給食中に追いかけっこなんてしてるの」
「俊が僕の頭を叩いて逃げ回ったので追いかけて捕まえようとしてました」
「俊がそんなことで逃げるわけないでしょ。正人、あなたが何かしたんでしょ。この給食は罰としてあなたが片づけなさい」
俊が喧嘩っ早いことは先生も知っていた。だから、俊が逃げるなんてよっぽどのことをされたのだろうと推測したようだった。ふざけて逃げ回っていたなんて考えてもくれなかったのだ。正人はこの担任から嫌われていたと言うこともあり、信じてもらえなかったようだ。正人はぶつける先のない怒りを感じていたが、それ以上主張はしなかった。先生から嫌われていることを知っていたから。
少し前、教育方針のことで正人の父親が怒り心頭で、この担任に文句を言いに来たことがあった。正人はこれまでどの科目も成績が良かったが、この時の担任の時だけ何故か成績が落ちていた。しかし毎回のテストの成績は落ちるどころか上昇しているにもかかわらずだ。どうやら素行に問題があるということで成績表では悪い評価にされていたようだった。正人には全く心当たりはなかった。
どうも正人の父親が来て以来、前にも増して正人に対する風当たりが強くなってしまったのだ。結局正人はこの先生から理解してもらえることはく一年が過ぎ、悪い成績をつけられたまま、新しい学年になり違う担任のクラスに変わった。
同時に、正人を認めなかった当時の担任は、知らない間に別の学校への転勤となり、その後辞めてしまったらしい。聞くところによると、前の学校でも生徒を差別して問題を起こしていたらしく、今回は正人がターゲットにされたようだった。比較的真面目な子をターゲットにしていたらしいが理由はわからない。
新しい学年になり、正人は楽しく学校に通っている。俊という子は相変わらず、悪ふざけを続けてはいるようだが、正人の評価も元に戻り、何事もなかったかのような学校生活を送っている。
いたたまれないことや理不尽なことに腹を立てても、時間が経つと気にしなくなることも多いのかもしれない。一時の感情に駆られて取り返しのつかない行動に走ることだけは避けたいものだ。
了
🌿【照葉の小説】ショートショート集 ← SSマガジンへのリンク
🔶 🔶 🔶
いつも読んでいただきありがとうございます。
軽いコメント、お待ちしています。
「てりは」のnoteへ初めての方は、こちらのホテルへもお越しください。
🌿サイトマップ-異次元ホテル照葉
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければチップによるご支援をお願いします。皆さんに提供できるものは「経験」と「創造」のみですが、小説やエッセイにしてあなたにお届けしたいと思っています。いただいたチップは創作活動費用として使わせていただきます。