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5月26日 東名高速道路全通記念日 【SS】ハイウェイの謎

日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。


【今日は何の日】-東名高速道路全通記念日

1969年(昭和44年)のこの日、神奈川県足柄上郡大井町の大井松田IC~静岡県御殿場市の御殿場ICが開通し、東京から小牧まで346kmにおよぶ東名高速道路(東名高速)が全線開通した。

4年前の1965年(昭和40年)に開通していた名神高速道路(名神高速)とも小牧ICで接続し、東京と西宮の536kmが高速道路で結ばれ、関東・中京・関西を結ぶ日本の大動脈となった。


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【SS】ハイウェイの謎

 現代の日本は北から南までほとんど高速道路がつながっている。この五十年の間に日本の交通網は目まぐるしいくらいに発展しつながった。もちろん、まだまだ工事中の場所は数多くあるが、大きな幹線道路の接続ということを考えると終了していると言ってもいいかもしれない。しかも、東名に至っては第二東名までできているのだ。かなり前にはなるが、中国山脈を縫う中国自動車道でつながっていた箇所が山陽道という瀬戸内側の道路で接続されたようにどんどん便利になってきた。自動車専用のバイパス道路を含めたハイウェイの整備率はかなり高い。

 山を切り開き、トンネルを掘り、道を繋いでハイウェイを作ったことで、魔界へつながる結界を破壊したことに誰も気づいてはいなかった場所がある。結界が破壊されたことで高速道路での不可解な事故の増加や、走っている自動車の突然の消滅などニュースにならない部分で多くの問題が出始めていた。時折魔界から魔物がやってきてイタズラを繰り返すようになっていたのだった。

 魔物たちは空が雲で覆われている夜によく現れている。明るいところが嫌いなのだ。魔物たちが現れるとハイウェイの照明が消え、真っ暗になる。もちろんトンネルの中の照明も消え換気扇も止まってしまう。そう、トンネルの中は漆黒の闇の世界へ変わるのだ。魔物たちはこの暗闇の中でしばしばパーティを開くようになった。走ってくる車を待ち伏せるかのようにして、闇の中に引き摺り込んでしまう。囚われた車は、そのまま魔界に転送され、乗っていた人は魂を取られてしまう。最初は車も魔界の中に置き去りにされていたのだが、次第邪魔になったのだろう。車だけが捨てられるように魔界からハイウェイに戻され、路肩にエンジンがかかったままの状態で放置されるようになった。まるで神隠しに遭ってしまったかのように、無人の車だけが戻ってくるのだ。

 人間界では、失踪として扱われていた。不自然な失踪である。当然、見つかることはない。魂を抜かれた人間は魔界の中でその肉体が朽ち果てていくのだから。魔物たちは霧が多くトンネルも多いハイウェイがお気に入りのようだった。時折、自衛隊の隊列がここを通るのだが、魔物たちも面倒は避けたいらしく、自衛隊が通る時は何もせずにじっと闇の中から見ているだけだった。そして過ぎ去った後、一台ずつ車を物色し、できるだけたくさん人が乗っている自家用車に狙いを定め魔界に引き摺り込んでは魂を喰らっている。

 魔物たちは真っ暗になったトンネルに入ってしまった人間たちが恐怖の顔になり怯え始めるのを見て喜んでいた。走っている車のフロントガラスに張り付き、口を大きく開け、喜びながら笑って車内を覗く行為を繰り返していた。その喜びの声は走っている車の中まで不気味な声として聞こえてくるので、乗っている人間はより一層恐怖を感じることになる。女性だけで乗っている車などは、ほとんどパニック状態になり泣き叫ぶ声が車内に響き渡ることになる。

 ある時、魔界から放り出された誰も乗っていない車がいつものように路肩に止まっていたのだが、その車内にはスマホが落ちていた。すでに充電が切れていたが、鑑識で中身を確認してみると、真っ暗になった車内で泣き叫ぶ声が録音されていたのだ。どうやら偶然に録画をはじめたまま放置されていたようだが、真っ暗なので映像がほとんど写っていない。なんとか色合いを調整して再生したところ、フロントガラスにへばりついている得体の知れないものが写っているのが確認された。

 鑑識の警察官の一人は、そのかすかに写っている映像を見て魔物ではないかと思い、密かに知り合いの和尚に確認した。どうやら間違いなさそうだった。この和尚は代々結界のありかを伝える文書を守る役を担っている人だった。その文書を和尚が確認したところ、結界がある場所の山にトンネルが開通していたことがわかった。和尚と警官は警察内で対応できる事案ではないので秘密裏に対応することを計画した。

 暗闇に包まれそうな曇り空の夜、警官と和尚は前に車が放置されていた近くのトンネルの中で待機していた。トンネル内にある非常用通路に隠れ、時を待った。すると突然照明が消えたのである。すかさず和尚は蝋燭に火をつけ灯りを確保。念仏を唱えながら、壊れた結界の場所を探った。するとトンネルの入り口に近い部分に渦のような空間がうっすらと見えたのだ。和尚はすかさず、お札をその渦を目掛けて投げ込んだ。中から出てこようとしていた魔物たちは、飛んできたお札に遮られ、再び魔界へ押し戻されてしまった。それを確認した和尚はトンネルの入り口付近を四方から監視するかのようにお札を貼り付けた。お札同士の効力が相乗効果で不思議な力を出し結界の綻びに蓋をした状態になったのだった。すると渦のような空間が次第に消えてなくなり、トンネル内の照明も復活した。

 二人は照明が復活したトンネル内でしばらく様子を見ていた。車は問題なくトンネルを通過して行った。数日経過した同じような曇りの日にも念の為に確認に来てみた。どうやら結界は無事に閉じられたようだった。和尚たちは一安心して元の生活に戻り仕事をしていると、警官が数人やってきていきなり「高速道路における危険行為」を理由に事情聴取されることになってしまった。どうやら、照明が復活したのと同時に監視カメラも復活し蝋燭を持った和尚が怪しい動きをしているのが写っていたらしいのだ。

 和尚は、最近発生している失踪事件を憂いてお祓いにきたのだということで終始貫き通し、なんとか難を逃れた。何かを壊しているわけではないので、説教だけで済んだようだ。本来は感謝しなければならない行為だったにも関わらず、和尚は終始謝り、いつもとは逆に説教に耳を傾けて解放された。 


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