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5月3日 ごみの日 【SS】究極を目指して

日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。


【今日は何の日】- ごみの日

日付は「ご(5)み(3)」と読む語呂合わせから制定された日で、メジャーな記念日ですね。もう一度、排出しているごみを考え、少しでも減らす工夫をしたいものです。

ごみとは、使って役に立たなくなった紙くずや食べ物のくず、その他の廃棄物のこと。ものの役に立たず、ないほうが良いものという意味がある。

ごみの種類としては、燃えるごみ、燃えないごみ、粗大ごみ、資源ごみ(プラスチック、アルミ缶・スチール缶・びん、ペットボトル、古紙)などがあり、一般家庭から出るごみの分別方法は自治体によって異なる。これは1970年(昭和45年)に制定された「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」により、各市町村でその地域の実情に応じて適切な一般廃棄物の処理計画を行うことが定められているためである。


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【SS】究極を目指して

 今や日本の家庭から排出されるごみの量は凄まじい。それでも若干ではあるが減少もしているようだ。一日のゴミの量は東京ドーム百十二杯分で四千百六十七トンも出ている。一人当たりに換算すると一日で九百グラムのごみを排出しているらしい。ということは、一人一人が削減することができれば全体では相当な量に影響しそうだ。少なくとも二年前は東京ドーム百十五杯分だったようなので若干の削減を実現できているようにも感じる。地球温暖化と合わせてごみの排出量も大きな環境問題として捉えるべきである。

 ゴミを大切な資源として捉える動きは以前からあった。生ゴミは肥料へ作り変え作物に与えたり、大量に消費した貝殻は粉砕し道路を舗装する材料に使ったり、衣類は再利用で新しい衣類に生まれ変わったり、缶や瓶、ペットボトルも分別してリサイクルされたりはしている。一人一人の対応が功を奏したのか、企業努力の方が先頭を切って動いたのかは分からないが、人々はいろんな知恵を出し合いゴミ削減に取り組んではいるのである。

 しかし、ゴミが消えることはない。地球規模で見ると、開発途上国にゴミを捨てるために輸送している事例もあるくらいだ。自国の中で処理しなければいいということではないはずなのに誤った対応をしている国や業者は後を絶たない。そんな中、五味零治ごみ れいじという一人の男が立ち上がった。そして高らかに叫んだ。世の中からゴミ袋をやめてしまおうと。

 零治の信念は、誰にも相手にされなかった。誰しも自分が困るようなことはしたくないし、誰かがやってくれればいいと考えてしまうものだ。しかし零治は諦めることなく水面下での活動も続けた。そして、予算が厳しい行政に狙いを定め、足繁く提案活動を行った。その内容は、ゴミ袋を廃止する代わりに再利用する折りたたみ式ゴミボックスを各家庭に配布するというものだった。プラスチック製で四十センチ四方の正方形の蓋付きの箱だ。積み重ねられるようになっていて、各家庭で一人一個の割り当てを提案していた。何と箱ごとにICタグが埋め込まれ、ゴミボックスの持ち主がわかるようになっているのである。蓋があるのでカラスによる二次被害も防止できると考えた。そして、ゴミボックスを出した量に応じ課金される仕組みも導入するという内容だった。

 当初提案を受けた行政は、市民の反発が確実に起こる施策だと受け付けることすらしなかった。しかし、それとは裏腹に男は一軒一軒の家を訪問し丁寧に説明を続けた。スーパーなどとも提携すれば、家庭から排出されるゴミは激減させられるはずだということを。みんながゴミを減らすことで、子供達が威張って自慢できるような街にできるんだということを。次第に賛同者が増加していった。

 零治は自らの私財を投げ打ってシステムを開発し、分譲住宅地を開発している不動産ディベロッパーと契約した。およそ五百戸が生活する新たな開発区画で試験して実用化を目指そうと考えたのだ。この開発区画ではスーパーも誘致し活動に協力してもらう。ゴミボックスは自治会の管理物として住民の連携も視野に入れた。地域コミュニティ全体でゴミをなくす活動を活発化させたかったのだ。

 開発概要が発表され、一戸建てやマンションの計画が発表され「ゴミゼロを目指すクリーンな街」というキャッチフレーズのもと、住宅購入希望者の募集が始まった。すると、環境問題に対する意識が高い家族を中心に募集が殺到したのである。それをみていた各地の行政機関はそれまでの頑なな態度を軟化させ、零治のところには相談が殺到するようになっていった。零治はやっと手応えを感じ始めていた。

 このモデル地区となった開発区域では、専用のゴミ収集車も開発された。全自動電気自動車である。人の姿は無い。玄関前の指定場所に出されたゴミボックスを自動アームで回収しゴミだけを収集し、ボックスを洗浄して返却する仕組みが備わっている。住民は常に清潔なゴミボックスを利用できるというわけだ。また、回収の際にはセンサーが内容物を検知し遠心分離機で自動分別され個人ごとのゴミの量が実績データとして蓄積され、各家庭に配信される。この仕組みにより家庭では細かな分別が推進され、リサイクル可能なものは別途回収されるようになり、最終的なゴミは極端に削減されるという実績が出始めた。

 住民の意識の高さが前提となる街づくりではあるが、この機運が全国に広がれば必要最小限のゴミ排出の実現も夢ではないと零治は考えた。そのためには、新しく開発される分譲地での対応と既存住宅地での対応を分割して対策していく必要がある。どうしても行政を巻き込まないと前進させることが難しい。そんな時に各地の行政からの問い合わせは渡りに船だったのだ。そして現在、一気に活動を全国展開規模に押し上げる計画を作成中である。

 美しい日本かつゴミを排出しない国を目指し、零治は今日も国内の行政機関との調整に追われている。希望というろうそくに灯った小さな光をより大きな光として輝かせるために。


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