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5月25日 ターミネーターの日 【SS】破壊

日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。


【今日は何の日】-ターミネーターの日

東京都港区虎ノ門に本社を置き、情報・通信業を営むパラマウント・ジャパン合同会社(現:NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン合同会社)の映画配給部門「パラマウント ピクチャーズ ジャパン」が制定。

SF映画の金字塔「ターミネーター・シリーズ」の第1作『ターミネーター』(The Terminator)が日本で初公開されたのが1985年(昭和60年)5月25日。記念日は、2015年(平成27年)で30周年となることを記念したもので、日付はシリーズ初公開の日にちなんで。記念日は一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録された。


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【SS】破壊

 形ある物体はいつかは壊れてしまう日が訪れることは避けられない。それは、我々が生活している地球でさえも例外では無いし、太陽もいつかは燃え尽きるだろう。ただ、我々人間の寿命と比較すると比べ物にならない長い時間がかかるため、誰も住んでいる地球が壊れるなんてことが現実になるなんて思ってはいない。もっとも思ってもどうにもならないので、気にすること自体が意味をなさないのかもしれない。

 しかし、遥かに遠い未来を異常に気にする集団が存在していた。現在のような生活を続けていると地球の寿命を縮めてしまうと真剣に考えている集団だ。それは非常に良いことのはずなのだが、この集団は「都市破壊集団」と呼ばれ、人々から恐れられる存在だったのだ。都市破壊集団は声明文を出した。

『我々は、遠い未来の地球の運命を憂いている。人間が今の生活を継続するならば、確実に地球の環境破壊は加速度的に進行し、人類は自ら滅亡のレールを作ることになる。よって、我々は現代社会を破壊することで環境破壊の進行を食い止めることを決断した。これから順に、世界中の大都市を破壊していく。それが一番の近道だと判断したからだ。巻き込まれたく無いものは大都市から速やかに避難せよ。まず最初のターゲットは東京23区。最初の破壊は今から一ヶ月後。千代田区の破壊から開始する。その後は一月に一回のペースで破壊していくことになる。地球の未来のためだということで理解してもらいたい』

 メディアは一斉にこの声明文を放送した。しかし東京に住む人たちは、にわかに信じることもなく、ましてや千代田区は住んでいる区民が都内では一番少ない区であり、ほとんどは他の場所から通勤してきているのが実態だったため、まだ自分のこととして捉える人は少なかった。しかしながら、国会議事堂が立っている場所でもあり、日本としてはもっとも重要な場所だったため、警視庁は血眼になって破壊の前兆を捉えようと必死に捜査を実施していた。

 手がかりになるようなものを見つけられないでいたある日の夜二時ごろ、音もなく飛んでいるドローンが国会議事堂上空に差し掛かっていた。ライトなどが付いてないため、黒い機体は闇夜に完全に溶け込み、肉眼での確認は困難な状態になっていた。ドローンから小さな箱が国会議事堂の屋根に投下された。

コトッ。ドカーン。

 ものすごい衝撃波が辺りを襲った。どうやらプラスチック爆弾のようだった。国会議事堂の屋根は大きく破壊し大きな穴が空いてしまった。警備員が駆けつけようとしていた時、ドローンがもう一機上空に現れ、穴の空いた国会議事堂の真上から二回目の投下が実行された。

ヒュー、ゴン。ドカーン。

 今度は空いた穴から爆弾が国会議事堂の中に落ち、床に衝突した衝撃で爆発した。そして議事堂の内部は壊滅的な状態になってしまった。とても討論ができる状態ではない。人々は爆破のニュースを受けて慌てた。一部ではパニック状態に陥り、東京を逃げ出していく人々も現れてきた。しかし、事態を冷静に分析しているものも現れ、警視庁や都庁と連携して対応する動きも密かに出てきた。夜中の誰もいない時に議事堂を狙ったということは、人を傷つけるつもりはなく、警告をしたいだけだったのだと考えたのである。

 今回はドローンを利用した攻撃だったため、即座に妨害電波を発生させる装置が導入され、次の攻撃に備えられた。千代田区の次は住民数で言えば中央区が狙われるかもしれないと考えられた。しかし、この後は一月経っても何も起こることはなかった。

 西暦2100年、地球温暖化が異常に進み、なんとか手を打たないと地球の寿命が縮んでしまうというリスクが表面化し、科学者たちは知恵を絞り合っていた。おりしも、タイムマシンのプロトタイプが完成し過去に戻ることが可能になった時だった。科学者たちは2023年に戻り、なんとか未来の運命を変えることを検討していた。そして「都市破壊集団」の創立を計画し、静かに時を待ち過去に戻った。未来を変更するためにはそれなりのリスクを覚悟する必要があった。そのため、過去に戻った数人の科学者は未来に戻ることを諦めることにした。自分たちが犠牲になることで地球の寿命を伸ばすことができるなら、命を賭ける価値があると考えたのだった。

 過去に戻った科学者たちは気づきを与えることを目的として活動計画を練った。そして声明文を発表し、実際に爆発事件を起こして見せたのだった。爆発は日本の中心でありながら、無人になる場所を選定した。それが国会議事堂だったのだ。全ては用意周到な計画に基づいていたのである。日本の中心を最も簡単に攻撃できるということを国民に知らせることで、警鐘をならすことが目的だった。だが、堕落した生活に慣れきった人間は、何も起こらない時間が長く続くと、恐怖体験でさえも忘れてしまう。未来から来た科学者はインパクトを与えることはできたが、それにより人々の日々の行動を変えるまでには至らなかったということを自覚してしまった。

『人間とはなんと愚かな生き物であろうか』

 未来の数人の科学者たちは過去に戻ってきたことを後悔していた。今後は全員が世界各地に散らばって論文発表や環境を研究している場所に入り込み、なんとか過去の人類が、誤った生活を続けないよう警鐘を鳴らし続けることに、自らの生涯を捧げようと誓い合ったのである。


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