見出し画像

11月8日 世界都市計画の日 【SS】区画整理

日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。


【今日は何の日】- 世界都市計画の日

アルゼンチンの都市計画学者カルロス・パオレーラ(Carlos Paolera、1890~1960年)教授が1949年(昭和24年)に提唱。

英語表記は「World Urbanism Day」または「World Town Planning Day」。

世界都市計画機構の設立を目指したもの。また、住みやすい共同社会を実現する役割を確認し推進する日である。この記念日は4大陸の30ヵ国以上で祝われている。


🌿過去投稿分の一覧はこちら👉 【今日は何の日SS】一覧目次

【SS】区画整理

 世界中の国は止まることのない国同士の争いや自然災害で、国土が疲弊する様を経験したり、自国では起きていないものの、その悲惨な状況を目の当たりにして何らかの措置を講じなければならないと考えていた。そんな折、各国の意見をまとめ国連に議題として持ち上げた国がいた。小国ではあったが、言い出してくれたことに他の国は感謝していた。

 小国が国連に提案したのは、世界中の都市を再整備する計画だった。政治のための建物や軍事施設を国民の住居と完全に切り離すという計画だった。自然災害に関しては、住居が保護される形となり戦争の際は標的から外れやすくする狙いがあった。もし、実現すれば、各国とも軍事施設が衛星から丸見えになってしまうため、そのこと自体が争いを未然に防ぐ国同士の牽制になると考えられた。小国の代表は補足した。

「それぞれの国の主要機関を各国から監視できる都市計画を実現することで、不要な戦いは避けられるはずです。しかし、そのためには各国が国民を大切にするという姿勢が大切です。国民を盾にする考えを持っている国は潰されるべきなのです」

 この意見に、動向を見守っていた大国も重い腰を上げ、賛成した。世の中が平和な世界を作ろうと一歩踏み出した瞬間だった。戦争や災害で住んでいたところを追われてしまった人たちも拍手して喜んでいた。

「もう、私たちのような難民を作らない世界を実現してほしいわ」

「全くだ。我々は、平和に仲良く生活していたいだけなんだから」

「でも、ずる賢い国がいたらどうなるのかしら」

「その時は周りの国が支援してくれるのを期待するしかないな」

 世界中の国々の見え隠れする思惑の中、主要都市の再整備計画が始まった。しかし、率先して実施したくないと考える国々が多いため、いろんな理由をつけて整備が遅らされていた。特に大国は、都市が大きいにも関わらず、様子見の期間が長く取られ遅々として工事は進まなかった。

 結果的に先頭を切って整備が進んだのは、戦争で壊滅的な被害を受けた都市がある国と自然災害で壊滅的な打撃を受けた経験がある国だけだった。大国が遅々として進んでいないことを知った戦争被災国は都市の中心部を国民の住居地域として区画整理を実施した。そしてその周りに政府機関の建物を作り、さらにその外側に軍事施設を建設した。さらに、空からの攻撃に備え、なんと地下都市の計画まで実行していた。地上を整備しながら、地下都市も同時に作るという工事を実行していたのだ。もちろん財源は厳しかったのだが、国の予算のほぼ全てを投じて都市に住む住民の積極的な労働提供を得て進めていった。これだけ大規模インフラ整備を秘密裡に進めること自体が世界初のことだった。地上の再整備はプレハブ住宅を中心として街が作られていった。破壊されることを前提とした街づくりに他ならなかった。地上の建設状況は他国へも映像が流され、そのことが逆に各国からの支援に繋がり、資金が流入してくるいい流れになった。そうしているうちに、案の定、大国は整備計画の中止宣言を次々に出していった。軍備強化に予算を投じるためだった。

 戦争で壊滅的な状況になった国は、なんとか地上の街は十年の歳月をかけて復活した。最も、プレハブでなければもっと時間はかかっただろう。なので、この都市には高層マンションやビルは無くなってしまった。その分、住民は地下に潜ったのだ。普段から寝る時は地下の部屋で寝るようになり、昼間の活動時だけプレハブの家を基点として動くようになっていった。地下都市はまだまだ工事中だ。もう少して物流のための地下道路は完成する予定だ。地下十五メートルにトンネルは掘られているため、地上を攻撃されたとしても被害は最小限に抑えられる計算だ。それに地上の道路を作る際に、重要な部分の道路は舗装の下に五センチの鉄板が敷き詰められているのだ。住民たちは結束力が強く、地下都市のことは一切口外することはなかった。それどころか、他国に緊急避難していた元住民にも連絡をとり、徐々に元の人口に戻り始めてもいたのだ。一人戻り、二人戻りして、街の中では知り合いが戻ってきたことを喜んでいる住民がいた。

「やぁ、久しぶりだな。やっと街も復活したらしいので帰ってきたよ。復興の作業、ご苦労様。感謝してるよ」

「おかえり。いやー、あなたたちの外からの仕送りがどれほど助かったことか。その代わり、あなたたちの住居もちゃんと準備できたから安心して使ってくれ」

「ありがとう。色々と街の情報は暗号で流れてきていたから、大体のことは知っているんだ。これからは僕も工事を手伝うよ」

「ああ、みんなで力を合わせて、戦争に巻き込まれても逞しく生き残るまちづくりを目指して行こう」

 こうして、世の中に知られることのない初の区画整理された地下都市の誕生となったのである。戦争が世界から無くなることを誰しもが望んではいるが、ここの住民は再び戦争が起きたとしても、自分たちを守れるような街づくりを目指してこれからも地下都市の拡充をしていくのだろう。


🙇🏻‍♂️お知らせ
中編以上の小説執筆に注力するため、コメントへのリプライや皆様のnoteへの訪問活動を抑制しています。また、ショートショート以外の投稿も当面の間は抑制しています。申し訳ありません。


🌿【照葉の小説】今日は何の日SS集  ← 記念日からの創作SSマガジン

↓↓↓ 文書で一覧になっている目次はこちらです ↓↓↓

一日前の記念日SS


いつも読んでいただきありがとうございます。
「てりは」のnoteへ初めての方は、こちらのホテルへもお越しください。
🌿サイトマップ-異次元ホテル照葉


#ショートショート #創作 #小説 #フィクション #今日は何の日ショートショート #ショートストーリー #今日は何の日 #掌編小説 #超短編小説 #毎日ショートショート

いいなと思ったら応援しよう!

松浦 照葉 (てりは) よろしければチップによるご支援をお願いします。皆さんに提供できるものは「経験」と「創造」のみですが、小説やエッセイにしてあなたにお届けしたいと思っています。いただいたチップは創作活動費用として使わせていただきます。